編集室より

2018年1月27日から2月6日に開催される「たかさき絵本フェスティバル」はご案内のようにかこさとしの展示会史上、その会場規模、出展画数、購入できる著作の幅、ゲストの多彩さなど、何れをとってもこれまでに類のないものです。一人の著者のみの展示というのも、このフェスティバルでは異例のことだそうです。

中でも、一冊の本の全ページの画をしかも4冊分展示することは注目に値します。特に『小湊鐵道沿線の旅 出発進行! 里山トロッコ列車』は、原画ならびに下絵も全ページ分、かこさとしの手書き解説を含めて展示致します。2016年、かこさとし卒寿の作品を是非まじかでじっくりご覧いただけたら幸いです。あとがきをご紹介しましょう。

あとがき

(引用はじめ)
老化の為、とみに世情にうとくなった私がトロッコ列車を知ったのは、望外にも小湊鐵道石川社長より、パンフレット添画の依頼を受けたに始まります。地域の方とともに、着実熱心に進めてこられた計画の、健康であることと未来性に感動し、陋筆を省みずお手伝いすることとなり、下絵を進めていたおり、俊敏な出版社の目に留まり、列車運行を目指しての絵本を作ることになりました。

せっかく見ていただく読者には読者に少しは良い内容をと、いただいた資料を読むうち、房総は縄文人の先祖の人たちの遺跡点在の地であり、壬申の乱にまつわる古代史伝説や、「南総里見八犬伝」のモデル女性の寺、さては磁場逆転層の所在など、歴史、文化、自然科学に至る総合多元の由緒の地域であることを知り、それらをできるだけお伝えしたいと思い、ご繁忙の中、石川社長に何度も下絵や原稿を詳細に点検、教示をいただくとともに、温かい励ましをくださったことに感謝いたします。

以上がこの絵本出版の経過ですが、どうぞ、機を見て、里山トロッコ列車に乗車され、房総里山の自然と文化を体験されるようお勧めして、あとがきとします。
かこさとし
(引用おわり)
尚、本文の漢字には全てふりがながありますが、ここでは省略しています。

上は本作あとがきのページ。
尚、展示会情報にもあるように1月27日には、小湊鐵道石川社長、この本の編集者、偕成社・千葉美香氏と加古総合研究所の鈴木万里の三人が展示会場の絵の前で語るトークイベント「かこさとしの仕事を語る」が開催されます。