編集室より

かこさとし あそびの大星雲1 「ひみつのなぞときあそび 生活機器の内部の秘密」(1992年農文協)の前見開きには、下にあるような絵と著者から大人の方に向けたメッセージが記されています。

かこさとしから、おとなのひとへ 「くらしの機器のひみつと なぞなぞ遊び」

(引用はじめ)
子ども時代ふしぎなわけを知ろうとつとめ、なぞをとこうと問いつづける時があります。大勢の中には、めんどうな手数や工夫に挑み、時間を忘れてとりくも子がいます。その時その子にとってそれが楽しく、面白く、うれしいからでした。

疲れた大人は、そうした行動をイヤな仕事や労働や勉強の類だと言いますが、その時その子にはとてもすてきな、ぴったりと合った最高の遊びだったのです。

この巻には私たちの生活や身近な暮らしに関係のある器具、用具、機械の見えない内部の様子や、知らない秘密のからくりを「なぞなぞ遊び」「なぜなぜごっこ」をおりまぜておさめました。

それは科学技術や発明考案で大きな功績を残した先人の、真の英知や苦心の重点を知ってもらうと共に、その先人たちも幼少の頃、なぞに迫り、なぜと追及していたように、たとえ少数でも未知への挑戦をよろこびとする、未来のアルキメデスやエジソンたちに、仲間としての声援を贈りたかったからです。どうぞ楽しんで下さい。
(引用おわり)

この本は、鍵、ピアノ、電池、鉛筆削り、ボール、テレビなど身近にあるものから地下鉄工事、電波望遠鏡、人工衛星などの仕組みやその内部にある秘密を絵とわかりやすい文で紹介しています。中には大人が読んでも「そうだったのか!」と思うものもあります。

そして加古のメッセージにあるように本を開けるとすぐに、なぞなぞあそび①がでてきて、このなぞなぞは合計20問もあります。次から次からへと明らかにされる秘密にきっと夢中になってしまうことでしょう。

あとがきを記します。

知的よろこびは遊びの最高

(引用はじめ)
少々品の悪い表現で子どもを「ガキ」といいます。その飢えた鬼の如き食欲の塊が、食事も忘れて遊びに熱中するのは、決して珍しいことではありません。そして意外にもそれは自動警報つき鉱石ラジオカーの配線のハンダづけだったり、全天星雲星団早見表の下図作成だったりで、大人を驚かせます。

このことは、その子どもがもっている全エネルギーを傾注する対象にめぐり会う時、すばらしい集中力を示すということ、知識獲得や、思考といった知的自発自立行動が次元の高い遊びとなって魅惑歓迎されていることを示します。そうした知るよろこびと考える楽しみの遊びの本として見て頂ければ幸いです。
(引用おわり)

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