編集室より

イースター・復活祭はその名の通りキリスト復活を祝う日ですのでキリスト教徒にとっては非常に大切なものです。2019年4月に「こぼれ話」でご紹介しましたが『こどもの行事 しぜんと生活』(2012年小峰書店)には、「キリストが金曜日に十字架にかけられてなくなったあと、三日目の日曜日によみがえったことをいわう、キリスト教のまつりです。」とあります。春分後の最初の満月の後の日曜日とされ2020年は4月12日です。

キリスト教徒が多い国では、こどもたちは卵に色を塗って、それを隠して探すのを楽しみます。卵型やウサギをかたどったチョコレートが売られたり、うすいピンクやブルー、レモン色などカラフルで優しい色の飾りやお菓子が売られ、春の到来を感じる嬉しい行事ですが、今年はそんなこともままならない状況で心配です。

時間がたくさんあるのでしたら、ちょっと慎重に作らなければならない卵の殻を使った工作はいかがでしょうか。『かこさとし あそびの本 さわやかなたのしいあそび』(2013年復刊ドットコム)に復活祭の紹介とともに卵の殻で作る金魚や動物の作り方があります。生卵の中身を出すには両側に小さな穴を開けて息を吹き込む方法もありますが、いつものように大きくわって、中身ををだしてからきれいに洗って、紙をはり、顔を描いたり、紙などでヒレや目耳など貼って思い思いのデザインをお楽しみください。

最後に昔のイギリスで復刊祭の休みに起きたある出来事をお知らせしましょう。
時は1856年、18才のパーキン青年は、マラリヤ病によくきくキニーネという薬を人工的に作ろうと実験室にこもりましたが、「試験官の底には、どろりと黒いまるでコールタールのようなものしかでき」ませんでした。しかし、当時の化学者にはかえりみられなかった「まるできたないごみための泥」のような物質の中にも、「なにかよいものがかくされているかもしれない」と考えたパーキンは実験を続け、ついにすみれ色の世界最初の人工染料を発見することに成功します。

この逸話は『科学者の目』(2019年童心社)第3話「泥のなかからすみれ色を見つけた少年の瞳 ウイリアム・パーキン」(上)からの引用です。春に咲く、スミレ色のきれいな色の染料を復活祭に見つけたこの青年は、その後も様々な苦心と努力を重ね化学界の発展に力をそそいだのでした。