編集室より

2019/04/14

モグラ

日差しが強くなり地上で活発に動く生き物たちに目がひかれる時期ですが、地中で冬眠することもなく暮らしている最大の生き物がモグラです。ミミズや昆虫の幼虫などを食べ、自然環境のバロメーターともいわれるモグラを加古作品の中に探してみます。

『モグラのもんだい モグラのもんく』(2001年 小峰書店)は、モグラの生態、日本の農業とモグラの関係、「とおかんや」や「いのこうち」などの行事の紹介、世界の歴史の中で見る農業の変遷と問題点を、あまり馴染みがないゆえに誤解されているモグラにかかわる様々な点を軸にしながら考える、かこさとしならではのユニークな構成、展開の科学絵本です。

地中に巣やトンネルがあり、同様にトンネルをほるネズミの悪さがモグラのよるものと誤解されていることが多いのだと詳しく説明されています。『地球』(上・1975年 福音館)でも、そのネズミとともに描かれています。

土をほる、といえば『あそびの大星雲 1 ひみつのなぞときあそび』(下・1992年 農文協)の地下鉄工事のシールド掘削機の説明の場面、地上近くの部分に描かれています。

動物好きのかこですから、デビュー作品『ダムのおじさんたち』(1959年福音館/復刊ドットコム)にも、モグラが登場です。ドリルで岩を砕くおじさんたちと一緒に石運びを手伝うウサギやリス、カブト虫やてんとう虫、カニに混じって下の画面右端にいます。

科学絵本『あなたのいえ わたしのいえ』(1969年 福音館)では、家が家たる条件の一つ、床があること、の必要性を説く場面で、モグラが顔を出します。

『にんじんばたけのパピプペポ』(1973年 偕成社)では、よぼよぼもぐらどんが、にんじんを食べたおかげですっかり元気になりーーー

その続編『パピプペポーおんがくかい』(2014年 偕成社)では、ねずみのチマちゃんや、りすのトンちゃんたちと一緒に元気いっぱい大縄跳びをしているモグラに声援を送りたくなります。

皆さんの周りでモグラの痕跡を見かけることはありますか。それは豊かな自然がある証拠なので是非、まずは『モグラのもんだい モグラのもんく』に耳を傾けていただけたらと思います。