編集室より

2018/07/01

夏の準備

真夏日、猛暑日と連日の暑い日々、夏の涼やかさを演出する団扇は今が仕上げの大忙しの時期だそうです。

昔は「左団扇」などという言い方もありましたが、1964年東京オリンピックが開催された頃は、エアコンどころかクーラーと呼んで家庭に一台あれば上等でした。

だるまちゃんがてんぐちゃんに出会ってまず気になったのがうちわ。家中のうちわや扇子を集めるこの場面でおかあさんが抱えている漢字が書かれたうちわに注目して下さい。ここにあるのは加古にゆかりのある文字ばかりなのです。

「加」があります。高校生の時、俳句を中村草田男先生に習いその影響で本名「さとし」をもじって「三斗子」としていたことがありました。その「斗」。のちに紙が貴重で三文字ではなく二文字しか印刷されなくなってしまったため「里子」と書くようになりました。

「涼」「早」は、漢詩を作る時のペンネームからきていますが、うちわにはぴったりです。ご存知のように、ずらりと並んだうちわや扇子の中にはだるまちゃんの欲しい物がなく、ヤツデの葉を見つけるわけですが、このヤツデは建物北側の日陰でも育つので日本家屋では洗面所の外あたりに植えられていることが多かったように記憶しています。そのせいか昔の人は不浄だとか言って生け花などには使 わなかったと聞いたことがあります。一方で縁起がいいと好まれる方もあるとか。いずれにしても見かけたらすぐにわかる、てんぐちゃんのうちわに負けない形です。

かこさとしのふるさと、越前市は言わずと知れた越前和紙が有名で、手漉きの和紙でこの場面に出てくる図柄のうちわも作られています。そんな光景が報道されていましたのでご紹介しておきます。

http://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000014893