2017

2017/12/13

かるた

なんともほのぼのする絵は、『こどものカレンダー1月のまき』(1975年 偕成社)のあとがきに添えらているものです。

筆者が小学生だった頃、「カルタ」はポルトガル語だということを習いびっくりしたのを覚えています。「かるた」とひらがなで書かれるようになったのは、長い年月が過ぎ日本の文化にすっかり馴染んだ証拠だと聞き、言葉の表記一つにも文化の歴史があることを知り感動しました。

百人一首を覚える宿題が出たのは中学生の時でした。かこさとしの出身地・越前市は、かるた競技が大変盛んで名人位やクイーンを多く輩出しています。競技かるたは、スポーツとも言えるほど機敏な反応が必要で、それには口の形による呼気の差まで聴き分けられることが要求されると聞きました。幼い頃から聞いている音、例えば名前の最初の音などには特に早く反応できるそうです。

それほどのことはできないまでも、お正月には「かるた」でいつもとは違う時間を楽しまれてはいかがでしょうか。冒頭の絵の『こどものカレンダー』には、地域による「いろはかるた」の違いなども紹介されていて、それぞれの地域のかるたも楽しいことでしょう。

かこさとしによる「かるた」もあります。上は、「だるまちゃんかるた」(福音館書店)、下は「かこさとし おはなしのほん かるた」(偕成社)。いずれも読み札は全部ひらがなです。絵本とは別の面白さをあじわっていただけたら嬉しいです。どうぞ良い新年をお迎え下さい。

サンタクロースが登場する絵本ー1ーでご紹介した『サン・サン・サンタひみつきち』の翌年に出版された絵本『ゆきこんこん あめこんこん』(1987年偕成社)にもサンタクロースが登場します。

左側が表紙、右側が裏表紙です。観察力の鋭い方はなぜ太陽が出ているのだろうと思われたことでしょう。実はこの本は2部構成になっていて第1部は「ゆきこんこん かぜこんこん 」第2部は「ひがさんさん あめざんざん」です。このような構成になった理由は、あとがきに説明がありますのでご紹介しましょう。

あとがき かこさとし

(引用はじめ)
この絵本は、2人の作者による二部作から成り立っています。(1)「ゆき こんこん かぜ こんこん」は、なかじま まりが幼稚園のとき、紙芝居コンクールに応募したもので、入選した紙芝居を、絵本の形に構成しました。(2)「ひが さんさん あめざんざん」は、かこさとしが(1)の続編として作ったものです。

子供たちが知っている親しい主人公たちが、野山や風雪や太陽の光の中で、自然につつまれ、のびやかに生活する喜びを、このニ部作で伝えられたらと考えています。
(引用おわり)
本文は縦書きで全ての漢字にふりがながありますが、ここでは省略しています。

サンタクロースがいるのか、どうか?これはお子さんにとっては大問題です。疑問を投げかけられた大人にとってもこの問いに答えるには思案がいるものです。この永遠の謎に対して歴史に残る名文を書いた記者さんのようにはいかないまでも、なんとか夢をこわさずこたえたい、そんな時に役に立つかもしれない絵本が『サン・サン・サンタ ひみつきち』(1986年偕成社) です。

この本によると今のサンタはソリではなく、もっと現代的なもので世界中にプレゼントを届けるのです。そのプレゼントは秘密の工場でつくられているのですが、(秘密基地なのに見返しには地図があります!)その工場ときたら、おもちゃ、オモチャの大集合。かこさとしが描くのですからその数と種類は半端なく期待を裏切りません。
『サン・サン・サンタ ひみつきち』のあとがきをご紹介しましょう。

あとがき かこさとし

(引用はじめ)
キリスト教徒の少ない日本の子でも、クリスマスはとても楽しい待ち遠しい日となっています。特に、それはサンタの存在によって、鮮やかに、そして、快く印象づけられています。しかも、その事は地球の北の冬、氷雪や厳しい寒さと強く結びついています。それゆえでしょうか、全世界からサンタ宛の手紙に、北欧フィンランドの郵便局が返事を送り続け、子どもたちの夢にこたえています。

もちろん、夏である南半球の子どもたちも、サンタの来訪を待ちわびています。何世紀も前から伝えられているように、たった1日で地球のすみずみの各家庭を、いっせいに訪れることができる不思議なサンタの謎と、その秘密の全部を、すっかり明らかにしたのが、この本です。どうぞ、まだ知らない子どもさんがいたら、そっと、この本を渡してあげてください。
(引用おわり)
なお、本文は縦書き、漢字には全てふりがながありますが、ここでは省略しています。
下はあとがきに添えられている絵。サンタからのプレゼントに喜んでいます。

クリスマスツリーというと何を思い浮かべられますか。絵本や映画の場面、あるいは実際にご覧になった思い出の光景でしょうか。

今頃の時期になると、アメリカでの事ですが、クリスマスツリー用に注文していたモミの木を学校の校庭や公園などに届けられた大きなコンテナまで取りに行き、なんとか車に押し込んで持ち帰ったことをその芳香とともに思い出します。

そういう木はクリスマス用に栽培されたものですが、そもそも昔は、モミの木を切り出すことからしたそうです。『みごとはなやかなあそび ーあそびの大星雲 3』(1992年農文協)(上の写真左側)には、易しくクリスマスツリーの由来が書かれています。右側は『こどものカレンダー12月のまき』(1975年偕成社)の前扉です。

日本の門松に根引きの松を飾るのに通じる思いがクリスマスツリーに込められいるのは人間の心理を考えると興味深いものです。



加古作品の中では、行事の本や季節の遊びとともに沢山のクリスマスツリーが描かれていて、上の写真は『こどもの行事 しぜと生活 12がつのまき 』(2012年小峰書店)の裏表紙(右)と本文でクリスマス・ツリーを紹介しているページです。

クリスマス・ツリーが主人公の絵本もあります。年少版こどものとも129号〈12〉として刊行された『きれいなかざり たのしいまつり』(1987年福音館書店) です。その折り込み付録には著者による「クリスマス・ツリーの絵本」と題する解説がありましたのでご紹介します。

クリスマス・ツリーの絵本

加古里子

(引用はじめ)
この絵本は12月にちなんでモミの木の飾りと、そのまわりでの集まりや遊びいわゆるクリスマス・ツリーを題材にしています。

気の早いところでは10月ごろから、こうした飾り付けが行われ、各地各所でさまざまな工夫や出来栄えが競われています。そのきれいできらやかな様子に、子供たちはわくわく心をはずませます。いわばすっかりこうして気運づくり、下地ができているのですから、こんな良い題材を用いないテはないでしょう。

ところが、これまでクリスマス・ツリーは、サンタの絵本の片隅の、背景の、小道具といった脇役でしかありませんでした。今回は主役の、主題にえがいたーーーというのがこの絵本で作者の私が意を注いだ第一の点です。

第二は、そうしたクリスマス・ツリーを描くために、縦長の画面、それぞれのページが縦につながって次々に展開する手法を用いたことです。いわゆる「右開き」「左開き」ではなく「縦めくり」の組み方と造本を編集部にお願いしました。絵の都合で縦にしたり横にかいたりではなく、読者の理解と興味をの持続連繋(れんけい)のため、一貫性のある冊子の展示を借用したのです。

第三の最も留意した事は、日本ではクリスマスが盛んであっても、読者が全員キリスト教徒やその家族ではないと言うことです。

さりとて、キリスト教をぬきにしたクリスマス・ツリーは形骸(けいがい)となってしまいます。そこでキリスト教の習慣や行事の言われを述べるのではなく、広い宗教性をこの絵本にもりこむように努めました。ダ・ヴィンチの模写を、しかも2枚ある「岩窟(がんくつ)のマドンナ」のうち、ロンドン美術館の方を選んだのも、こうした願いからです。作者はキリスト教はもちろん他のどんな宗教でも、真に誠実な方には常に尊敬を抱く者ですが、この絵本の願いが幼い読者の心に届くの大きな喜びと思っています。

(引用おわり)
*ロンドン美術館とあるのはロンドン・ナショナルギャラリーを指しています。

『きれいなかざり たのしいまつり』の一場面。

冬になると編み物をしたりお子さんたちの間では、あやとりが流行ったりします。指についての絵本、『かこさとしからだの本6 てとてとゆびと』(1977年童心社)をご紹介します。

この本は、指の名前から始まり、指を使ってできる様々な動作、人間の進化と指の関係、手偏のつく漢字まで、指にまつわることを様々な視点から分かりやすく伝える絵本です。指を使うこと、使えることの大切さが自然に理解できるようになります。

あとがきは以下の通りです。

(引用はじめ)
この頃は、日曜大工とか"ドウ・イット・ヨア・セルフ"か言って大人の方々が、さかんに手作りを楽しんでいらっしゃいます。結構なことです。

しかし、おとな以上に手を動かすことが、子どもには大切で必要です。
けれども、それは、なんでもかんでも手を動かすことが、器用になればよい、わき目をふらず動かしていればよというのではありません。

考える、工夫する、思案するーーーそうした大脳の働きを誘い、対応しているからこそ大切で大事なのだということをくみとってていただきたいのが、私の願いです。
(引用おわり)

あとがき冒頭のカタカナ部分は"Do it yourself."の事です。

上の絵は前扉で、こういった手遊びも子どもの成長にとって必要なものだと気付かされます。

2017年12月10日まで開催の「だるまちゃんとあそぼ!かこさとし作品展」(藤沢市民ギャラリー)でこの本の表紙にもなっている場面を展示しています。

今から40年前に描かれた絵本です。当時の日本では公共の場での禁煙どころか、禁煙という発想がまだまだありませんでした。最近は受動喫煙に関しての認識も広がりましたが、大気汚染など地球規模で考える必要のある問題が残されているように思えます。

あとがきをご紹介します。

あとがき

(引用はじめ)
人間は、自分の有利になることや益することに貪欲であり、不利で悪くなることには決して手を出さないものだーーーと思いがちですが、それには「目先だけの」とか「感覚的に」とかを付け加える必要があるようです。

自分の子には決して悪いことや不利になることをしないはずの両親のなんと70%が、同室でタバコを吸っておられる例が、このことにあてはまります。

その上、「ずーっと赤ん坊の時からすってますけど、何ともございませんよ。」というお母さんなどいらっしゃるものですから、もっと次元の高い指導やしつけは、もっと「目先だけ」、「感覚的な」程度に止まっているのではと疑わしくなるわけです。

ともかく、今や空気は、残念にも高価で貴重なものとなりつつあるのは事実のようです。困ったことです。
(引用おわり)

尚、かこさとし・からだのほんシリーズ10巻のうちの第2巻『たべもののたび』は越前市絵本館で展示中ですが、2017年11月12日までとなります。どうか、お見逃しなく。

年賀ハガキの発売が話題にのぼり、来年が気になる時期になりました。

昨年(2016年)NHKラジオ深夜便「人生のみちしるべ」でお世話になったアンカーの村上里和さんのインタビューが「母の友」(福音館書店)2017年11月号の特別記事「ラジオが好き」に掲載されています。その中で絵本のこと、朗読のこと、そしてかこさとしのインタビューを聞かれた方からのお手紙のことなどが語られています。

「ラジオ深夜便」の放送で反響をよんだ「珠玉のことば」が週ごとに記されている「NHKラジオ深夜便日記手帳2018」には2016年の番組で放送されたかこさとしの言葉も登場します。(下の写真、日記帳の右下にかこさとしのことば。)様々のお立場の50人を超える方のことばには、深く心に響くものがあります。

毎年発行されてきた「かこさとしおはなしのほんカレンダー」ですが、来年は大きなサイズになって家族の予定が書き込める月ごとの「からすのパンやさん一家ファミリーカレンダー」となります。毎月、からすたちが皆さんのスケジュールをしっかり見守ります。

今年もあと2ヶ月余り、どうぞお健やかにお過ごし下さい。

藤沢市民ギャラリーで「だるまちゃんとあそぼ! かこさとし作品展」が始まりました。

本展の特徴をご案内します。
第1に「だるまちゃんシリーズ」8作品全てからの出展で特に『だるまちゃんととらのこちゃん』の全画面がご覧いただけ、これは今までの展示会ではなかったことです。それに加え、だるまちゃんの下絵や珍しいものもあります。

第2に、これも展示会初登場の1952年制作の大きな絵「おもちゃの国に朝がきた」をご覧いただけます。かこがセツルメントでボランティアとして活動し始めた頃、子どもたちにお話しをしたり遊んだりするために描いたものです。

第3には、藤沢にちなんだ作品を展示しています。江ノ島水族館で取材をして内容を確認した『クラゲのふしぎびっくりばなし』(2000年 小峰書店)や藤沢市の姉妹都市である中国・昆明市に関する『万里の長城』(2011年福音館書店)や、本年、文化勲章を受けられた藤嶋昭先生との共著『太陽と光しょくばいものがたり』(2010年 偕成社・下の写真)もあります。

他には「からすのパンやさん」「どろぼうがっこう」(いずれも1973年偕成社)や最新刊『コウノトリのコウちゃん』(2017年小峰書店)など約50点が並びます。是非お出かけ下さい。

下の写真のだるまちゃんとくまさかせんせいは会場出入り口脇に設置されご自由に写真を撮れます。(展示会場内での撮影はご遠慮下さい) また、だるまちゃんしんぶん号外もあります。

おはなし会

尚、11月18日(土)にはお話し会が11時からと13時からの2回あります。参加無料、申し込み不要ですので当日会場にお越し下さい。時間は30分から40分の予定です。

1967年の『だるまちゃんとてんぐちゃん』、翌年の『だるまちゃんとかみなりちゃん』に続き『だるまちゃんとうさぎちゃん』が出版されたのは1972年、こどものとも2月号としてでした。その時の折り込みふろく「絵本のたのしみ」(下の写真)に掲載された著者による解説をご紹介します。

かこさとしによる解説

(引用はじめ)
私が「だるまちゃん」の絵本を書くに至った動機は、日本の子供たちにふさわしい、日本的な風土や香りを伴った筋と内容、主人公でつづってみたいと思ったのに発しています。外国の優れた絵本を見る度に、そこに出てくる登場者や脇役たちの服装やしぐさや背景や、ときには手にもつ小道具や刺繍の模様に、ちゃんと風土に培われた意味があり、民族性がいきづいていることに気がつきました。優れた翻訳家や解説の努力によっても、埋めつくせないよさがあることがうらやましかったのです。狭い偏った国粋主義などではなく、しかしやはり日本の風土に育ち、日本の言葉を語り、日本の歴史の中に生きていく子供たちには、バタ臭いものや無国籍的なストーリーより、はっきりと日本的であって、しかも現在の子どもにふさわしいものが一つぐらいあってよいだろうと模索しはじめました。

そんな折、たまたま目にしたソビエトの「ビショリーエ・カルチェンキ」と言う幼年雑誌の中に「マトリョーシカちゃん」と言う楽しい絵物語を見つけました。ソビエトの民族人形であるマトリョーシカのところへ、いろいろな玩具たちが遊びにきて、相手がいないと思ったら、マトリョーシカの体の中から、次々と人形があらわれ、皆と楽しく踊りをしたという話です。感心した私は、まずい訳で「紙芝居」と言う雑誌に紹介しましたがこのときの示唆から、日本の郷土玩具や民族説話に主人公を求め、「だるまちゃん」を選ぶようになりました。

こうしてできたのがだるまちゃんシリーズと呼ばれる絵物語や絵話です。まっ赤な衣とひげと大きな目を持つ「だるま」は、日本の子どもたちはもちろん、大人の方にも好まれ愛される素晴らしい典型だったので、興のおもむくまま、とらやかっぱや白ぎつねや三猿や龍やくじらや金時やらとの交流交絡する話を次次作ったのですがそのうち三つだけが絵本となり、読んでいただいているという訳です。

ところが求められるまま、前述した動機などをご紹介すると、中には「日本の代表といっても、だるまは元はインドじゃないか」と言われる方がおられました。さすが博識の方は世に多いもので、もとはといえばインド香至国第三皇子であることや慧可断臂(けいかだんぴ)の禅宗の祖であることは指摘の通りです。しかしあの眼光の鋭い菩薩達磨師の像は、中国文化が磨きあげ、それが日本に渡来したものということがいえましょうが、木彫りや張り子のだるま(傍点あり)にまで化して、敬愛し民族化したとき、それはインドや中国のものではなく、私たち日本のものといってよいでしょう。純粋な土着性だけを日本とするなら、騎馬民族や南方漂流民としてのわれわれの祖先を排除しなければならぬという妙なことに至ります。

さて、こうして誕生した「だるまちゃん」に遊びとしての要素をもりだくさんおりこんだのが「うさぎちゃん」との物語です。しかしその中に慧眼(けいがん)な方は一種場違いな人物が見えがくれするのにお気づきでしょう。丹下左膳と座頭市です。戦前チャンバラのすきな子どもたちは丹下左膳ごっこにあけくれていました。戦後はチャンバラどころか遊ばなくなってしまいました。そしてこの二人とも障害をもちながら悪に敢然とたちむかった人です。この二人を創作された林不忘さんや子母沢先生に感謝しながら、なぜ、こんな伏線をしたのかを、大人の方はその教養でちょっと考えていただければ幸いです。
(引用おわり)

上の写真は裏表紙、左端の雪だるまに注目。

『だるまちゃんとうさぎちゃん』は、11月8日から12月10日まで藤沢市民ギャラリーにて開催の「だるまちゃんとあそぼ! かこさとし作品展」にて2場面を展示。また11月16日より越前市ふるさと絵本館にてほぼ全場面を展示いたします。ぜひご覧下さい。

すっかり秋らしくなり『そろって鍋もの にっこり煮もの』が嬉しい季節になりました。

食いしん坊の誰かさんは、夜寝付けない時に、羊の数を数えるのではなく、おでんを食べるとしたら何からどんな順番で食べようかなあと想像するそうです。そんな事をしたら尚更目が覚めてしまいそうですが、この本の1ページは、おでん鍋を囲む笑顔の一家の会話(下の写真)から始まります。まずは前見返しにある〈この本のねらい〉をご紹介します。

〈この本のねらい〉

ゆっくり煮こんでほしい

(引用はじめ)
食べものを煮たりたいたりという事を物理化学的に味気なくいえば、食品を水とともに加熱する工程となるでしょう。しかし、その水の量や加熱処理の時間、温度によって「煮こんだり」「煮つめたり」「煮っころがしたり」といういろいろな料理となり、それにふさわしい大きさや深さや形や材質の加熱容器がさまざまな鍋となって登場します。

それでは、一体どんな煮たきの操作によってどんな料理に変わるのか?どんな処理を行うために、どんな鍋が用いられのかーーーどうぞこの巻でゆっくり煮こみ、とっくり煮つめてみてください。
(引用おわり)

さらに著者の言葉が続きます。

煮たきもののかくし味発見!

(引用はじめ)
煮たきすることは熱を加え食品をやわらかくするだけでなく、「ふるさと」とか「おふくろ」といった味がわきでる不思議な様子を4~5、6~7ページにのせてあります。

煮るものといえば、あなたの一番好きな、おでんのたねはなんでしょうか?20〜21ページの絵(下の写真・一部)の中にあれば幸いです。

こうした日本の煮込みものは、シチュー(10〜11ページ)とか、ポトフやボルシチ(12~13ページ)とかと、どうちがうのか、ぜひおたしかめください。

そして全国のなべものめぐり(24~31ページ)や見返しの煮もの、汁ものの日本地図によって、忘れていたなつかしい味を思い出していただきましょう。

このように、この煮もの、たきものの巻は各所にちりばめた、いろいろなかくし味をお楽しみいただく発見の絵本です。
(引用おわり)
尚、漢字には全てふりがながあります。

最後のページには、次のようにあります。

寒い季節の暖炉の魅力

(引用はじめ)
日本でも外国でも寒い地方では、冬一日中暖炉を燃やし続けます。その熱源を生活している人々は見逃しません。湯をわかし、薪や衣服を乾かし、なべをかけます。こうして暖炉を必要とする生活は、暖炉を使っての料理や、それを囲んで集う家族や隣人との接触親和の場をつくります。したがって暖炉という熱源は、単に料理づくりに役立つだつだでなく16〜17ページ(下の写真・一部)にご紹介したように、まわりをかこむ人々を結びつけ、心をあたため、会話や笑いをはずませていくという事です。この不思議な魅力、すばらしい威力を北国の冬の暖炉ばかりでなく、いろいろな煮もの、たきもの、なべものが秘めている様子をお知らせしたのが、この巻です。北国の冬生まれ一人として、この本をお読みいただいた事を感謝し、南国生まれ方にも、この食べごとを見つけられるよう祈ります。
(引用おわり)

さらに、後ろ見返しには著者から読者の皆さんへの言葉があります。

台所の代表は何か?

(引用はじめ)
簡単に台所を、絵であらわすにはどうしたらいいでしょうか?魚や野菜をかいても店屋さんと間違えますし、ガスレンジや冷蔵庫は、よほど上手でないと手提金庫が物入れになってしまいます。という訳で、一番早くてやさしいのは「なべやフライパンのある部屋」というあらわし方だと言うことになりました。やはりなべやフライパン(これも浅い片手鍋の1種です)は、台所を代表する道具であることがわかります。

この台所の代表は、その役目である煮たきのための、食品と水を収めておく容器としての機能と、熱を加え、伝える、種々の材質の壁を持っています。さらにフタのあるなし、持ち運びのための柄や取手、通気穴や中底のあるものなど、多くのなべが工夫され使われている様子を、どうぞあらためて見てください。
(引用おわり)

鍋ものだけあって著者の熱い思いが伝わってきます。それにしても、おでん好きの様子、さては、、、?!