編集室より

葛飾北斎が「富嶽三十六景」を制作していた頃のこと、1827年江戸で小栗忠順が、10年後ヴェルニーがフランスで生まれました。1853年7月8日(嘉永6年6月3日)アメリカの軍艦4隻を率いるペリー提督が来航。この三人は神奈川県横須賀を舞台に鎖国から開国という怒涛のような時代に相見え生きることとなりました。
(下は表紙。右からヴェルニー、小栗、ペリー)

勘定奉行として日本の将来を考え近代的造船所の建設を推進した小栗は、1868年薩長軍に倒されます。造船所建設によって横須賀を近代工業技術の基地に育てたヴェルニーとともにその功績は忘れてはならないものです。彼らを支え、ともに協力した数々の人々についても知ることができる歴史物語であり、その生き様に圧倒されます。

あとがき 加古里子(かこさとし)

(引用はじめ)
この本に描いたのは、徳川幕府の末期から明治の初めにかけての激しく動いた時代です。鎖国から開国、国内の対立と戦争、社会の乱れと生活の不安など、当時の人々の苦難を思い、たびたび絵をかく手がとどこおりました。

そうした厳しい中、さらに難しい立場に出会いながら、自分の道をそれぞれ貫いた先人の立派な行いから、人間はどう考え、力を使い、行動しなければならないかを、この絵本を通じて、ぜひ学んでほしいと願っています。
(引用おわり)

尚、2017年7月15日ペリー公園(横須賀市久里浜)で「水師提督ペリー上陸記念式典」が行われインターネットでも生中継されるとのことです。
下は本作、ペリー神奈川上陸のようす(一部)