編集室より

「はじめに」にあるようにこの本は、『あそびの大宇宙全10巻』(1990〜1991年)を492ページの一冊に再構成編集したものです。著者の言葉をご紹介します。

はじめに

(引用はじめ)
私は戦後、川崎の戦災跡の工場労働者住宅街で、会社に勤めながら子ども会を25年間していて、遊びのもつ野生的な楽しさと生きる意欲を、子供たちから教わりました。その後、会社を退職し、六つの大学で10年間、児童文化と行動論の講義を担当しました。

その折、「遊びの本」出版の依頼を受けたので、子どもたちから受けた遊びの多彩な楽しさと、大学講義の基軸である、子供の成長発達の推進力を込めて記述したのが『あそびの大宇宙』で、思い出深い著書です。

今回、新書を出版にあたり、嬉しい懐かしさと共に、新しい読者の方々に、当時の子供たちの生き生きとした行動と生き抜こうとする力が伝わるなら、最高の幸いです。
かこ さとし
(引用おわり)


『てんとむしバッタくんのあそび遊びのこん虫曲芸団』

かつての第6巻『てんとむしバッタくんのあそび遊びのこん虫曲芸団』は、この事典ではパート6として同じタイトルで登場し、単行本の時のあとがき「ムシは子どもと同格、同類」も収録されています。啓蟄も間も無く、お読みください。

(引用はじめ)
よく、「子どもの目のたかさで」と言われるように、同じ条件、状況下にあっても、大人とちがった強度や印象でこども等に投影することを知らねばなりまでん。その子どもの視点に適合する対象のひとつに身近にいる虫たちがあります。この巻は、そうした「生きているおもちゃ」昆虫や、身近にいて「相手となってくれるともだち」の、いろいろムシたちの遊び集です。「虫たちが可哀そう」とか「虫をとる子をみたらやめさせよう」という視点や「うちの子はムシなんかより、ずっと高級」という考えに対し、子どもとムシたちにかわって、形をかえた抗議が、このパートです。どうぞ、よろしく。
(引用おわり)