編集室より

『こどものカレンダー』は各月ごとの12巻からなるシリーズで、日めくりカレンダーのように、毎日1見開きにその日にまつわる出来事の紹介や、季節の行事、自然、文化、芸術などバラエティー豊かに紹介する絵本です。

このシリーズを読んで育った方が大人になられた今、それで得たさまざまなのことをきっかけに知識や興味を広げることができたと話してくださいます。

1976年、加古がちょうど50歳のときに刊行されたこの本のあとがきをどうぞ。

あとがき ーおうちの方や先生へ かこさとし

(引用はじめ)
こどものカレンダー3月のまきをおとどけします。
3月はすばらしい月です。

来月から新しく園や学校にはいる子がいるでしょう。また、一年上の級に進む子もいるでしょう。

ですから、この3月は、これから開かれる新しい場への期待の月といえます。

その新しい場に新たな考えをもって立ち向かうとき、子どもは大きな成長をとげます。知恵も力も考え深さも飛躍的にのびるものです。

3月を充実しておくるよう、どうぞ、努力なさり、新たな成果を喜びあえるようにご指導ください。

私事ですが、この3月末日で、私はもう一つ年をとることになります。ですから、私にとっても今月はとくべつな月なのです。

ではお健やかにお過ごしください。
(引用おわり)
本文は縦書きで、漢字には全てふりがながあります。

こう記した42年後の3月31日に加古は92歳の誕生日を迎え、その年の5月2日に永眠いたしました。