編集室より

2020/10/21

『どうぐ』

どうぐ、と言うと特別なものを連想しますが、『どうぐ』(1970年福音館書店/2001年瑞雲舎)によれば、スプーンも歯ブラシも定規も立派な道具です。

この場面にある道具には、見慣れないものもあるかもしれません。ざるや物差しは竹、カナヅチの柄は木でできているようですが、今ではすっかりステンレスやプラスチックなどにかわってしまいました。

かこの書斎に今でも置いてある道具です。木製の三角定規は珍しいかもしれませんが、これはかこの兄が使っていたものです。折尺も木製。

下は『ことばのべんきょう くまちゃんのいちにち』(1970年 福音館書店)の台所風景です。この本も今から50年前にかかれた本ですから、昭和時代そのものです。石がのった樽は、もう都会では見かけることがなくなりました。かこのサイン「さ」が入っています。

昭和時代には、物差しも、洗濯ばさみも、お風呂のおけも木でした。下は同じ本の掃除の場面。見えませんが掃除機に加えて、このようなものの名前が紹介されています。ちりとりに右にあるのはシュロのホウキ。ホウキといえば、今は観賞用として人気のコキアは、昔はほうき草と言われて乾燥してホウキを作ったそうです。

日本の伝統的な手仕事にはそれにふさわしい道具が数々必要で、かつては自分で作ったり、専門の作り手がいたのですが、伝統産業を担う人が減り、道具を作る技や人がいなくなったことで、伝統文化そのものが継承されなくなってしまったときいたことがあります。

せめて自分の身の回りの道具を大切に、なるべく天然素材を利用したいと思います。