編集室より

この本は小学2年生の理科の副教材として半世紀以上前に出版されたものです。

表紙の丸メガネはかこではなく一回り年上の物知りだった兄。右側の少年が、子ども時代のかこです。小学生時代の虫取りの思い出を語りつつ、昆虫とは、動物とは、と知らず知らずに生き物に興味が深まるような内容です。『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』(2021年文春文庫)に綴られている、生まれ故郷、福井県越前市での幼き日のかこの姿と重なります。

あとがきをご紹介します。

(引用はじめ)
私は小さい時、この作品に出てくるような川や野原で、虫や風や水を友達とし、自然を相手に毎日を送りました。その自然の中での遊びは、どんなに後の勉強や仕事や考えや生活のかてになったか分かりません。今から思えば、本当に貴重な毎日だったと思っています。

この頃は、都会と言わず農村と言わず、近代化の波に乗って、どんどん自然が失われています。単なる昔なつかしさからではなく、子どもたちが成長し、発育する上に、自然が失われていくことは、やがて大きな影響を与えることだろうと心配しています。

けれども、まだまだくふうすれば、子どもたちにとって自然は残っています。自然の中の遊びを大事にし、互いに励まし、刺激しあって、この偉大な教師に接する機会を与えてくださることが、私の希望です。加古里子
(引用おわり)

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