編集室より

かこさとしの絵本には、あとがきが多く書かれ「おうちの方や先生方に」著者からのお願いが語られています。お子さんの時に読んだ絵本に、こんなあとがきがあったとは大人になって初めて気付いた、と驚きを込めた感想を言ってくださる方が間々あります。

今では絶版になってしまいましたが、1975年に出版された「 行事とあそび こどものカレンダー 」(偕成社)という12巻のシリーズがありました。1巻が1ヶ月分になっていて毎日、2ページごとに季節にちなんだ遊びや自然現象の解説、行事等が紹介されているほか、<きょうのひと><きょうは どんな ひ>のコラムがありました。その4月のまきのあとがきをご紹介します。(かな使いは本のままです)

(引用はじめ)
この本にこめた私のねがいは2つあります。

一つは、こどもにカレンダーとして、この本から、きょうやあしたという日のできごとを知っていただきたいということです。その日におこった事件や生まれたり、死亡した偉人たちを知り、なぜそんなことが起り、偉人たちがえらいと称せられたのかを、将来考えるこどもになってほしいとねがっているのです。もしその日が、そのこどもやまわりの人の誕生日にあたっているなら、できごとや偉人によせて、心からのはなむけの言葉とはげましを、ケーキよりも何より、あたえていただきたいのです。どうぞコラム欄をこどもたちに読んであげてください。

もう一つは、私が約25年ほどのあいだにこどもたちと遊びの中で試してきた、さまざまな形式と方法を使って、たのしさの中で考え、自らすすんでちえをみがいてゆくよう工夫と効果を、このほんのねらいとも、ねがいともしてあります。おとなの考えで判断せず、もしおとなも、こどもの世界にとびこんでゆかれるなら、失礼ですが、あなたも1つか2つかは、かしこくなられることだろうとおもいます。

みなさま方のよきお力ぞえををえて、このささやかなねがいが達せられるなら、作者の幸いとするしだいです。(引用終り)