編集室より

「ぼくのいまいるところ」(童心社)は1968年に出版されました。作は、かこさとしですが、この時の画は北田卓史さん、後に改定され現在に至るものの画は太田大輔さんです。

加古による画は、ほぼ同じ内容の紙芝居「ぼくがいるとこどーこだ」(童心社、1971年)でご覧いただけます。

かこ・さとし かがくの本1「ぼくのいまいるところ」のあとがきをご紹介します。

大きな世界と小さい自分の存在の尊さ

(引用はじめ)
「きりなし絵」というのをご存知ですか?子どもが絵本をみている絵があります。よく見ると、その本の絵は子どもが絵本をみているところで、そのまた絵本の絵が本を見ている子どもで・・・と、どこまでもつづく絵のことです。

わたしは小さいとき、こういう絵が大すきでした、そしてふと気がつくと、その絵本をみている自分がその絵の当人じゃないかと思いつき、おもしろさと、ふしぎな気分にいつまでもひたったものです。

この本はそうしたことをめざしています。

わたしたちは、無限という宇宙空間と時間の流れの中に生きているといいます。

そうした大きな、広い、長い中での存在というもの、それを認識するということは、とてもむずかしいことですし、大切なことであると考えます。

「きりなし絵」で気づいたようなことを、小さな子どもたちが、「存在」とか「認識」といったむずかしい熟語は使わないでも、感じとってくれたらというのが、作者のねがいです。 かこ・さとし
(引用終わり)

紙芝居「ぼくがいるとこどーこだ」(全12場面)の表紙絵

「ぼくのいるとこどーこだ」第4・9場面