編集室より

2020/01/01

ネズミ

明けましておめでとうございます

2020年は干支頭のネズミ年にあたりますので、ネズミ探しから始めましょう。
おめでたいイメージの『だるまちゃんとだいこくちゃん』では、この二人の様子を見守り、一緒になって心配したり喜んだりで、ネズミちゃんは愛らしさ満点です。

『たっくんひろちゃんの ちょうちょうとっきゅう』(1973年小峰書店)の表紙(上)で列車の先頭、お話の中(下)では最後尾にいるねずみくんは、小さいながら大きな表情で物語を盛り上げています。

『にんじんばたけのパピプペポ』(1973年偕成社)では、こぶたたちから人参を取り上げる悪役として「ねずみどん」が登場しますが、最後には、にんじんをもらってすっかり元気になり手伝いに精をだします(下)。

その続編『パピプペポーおんがくかい』(2014年偕成社)では、ねずみの「チマちゃん」がなわとびで見事な飛びっぷりを披露している姿に目が釘付けです。

『ことばのべんきょう 1 くまちゃんのいちにち』のねずみちゃんは猫にじゃんけんで勝ったり、大きなうさぎさんを泣かせたり、イタズラですが憎めません。

ネズミが主役の絵本の筆頭は残念ながら絶版の『ねずみのしょうぼうたい』(1985年 偕成社・下)です。

このネズミたちの表情は非常に説得力があり、その目力は大変なものです。小学生の頃から火災予防のポスターを描いては賞をいただいていたという、かこさとしだけあって迫力があります。

紙芝居にもネズミが主人公のものがあります。『バンちゃんねずみとミミンガー』(1986年全国心身障害児福祉財団・1995年『ばんちゃんの大ぼうけん』に改題、表紙を含めて14場面・下)は、お父さんお母さんの言うことを聞かないねずみのバンちゃんが怖いミミズクのミミンガーに遭遇。ところがそのミミズクは目がわるく怖いどころか、不思議な木の葉をくれます。バンちゃんはその葉の力でみんなを助け、めでたし、めでたしというお話です。

『ばあばねずみじいじねずみ』(2001年全国心身障害児福祉財団、表紙を含めて12場面・下)は、かこ自身がじいじと呼ばれるようになった頃の作品で、年老いたねずみ夫婦がのんびり旅を始めるのですが最後に思いもよらぬ大ぼうけんをして安住の地を見つける物語です。

人間で描くとえげつなくなってしまうのでネズミに任せている物語もあります。「かこさとし お話こんにちは」という各月ごと12ヶ月にちなんだ絵入の読み物シリーズが1979年偕成社から出版されました。現在は絶版ですが、この4月の巻(上)におさめらている、長屋の花見ならぬ「ねずみの花見」(下)は、大賑わいのねずみたちが登場。

同シリーズ12月の巻には「ふとっちょネズミ」。この主人公ふとっちょネズミは、会社の社長で、金儲けの悪巧みに使う社員を募集。どちらのお話も猫が登場してオチとなります。

クマにしてもネズミにしても実際は人間に害を及ぼすこともあるわけですが、物語や絵本では、どうしてこんなに可愛くなってしまうのでしょう。

画面がねずみ色になってきてしまいましたが、最期の一枚、下の絵はおそらく1980年代に描かれた5センチ四方に満たない小さな挿絵、ネズミの餅つきです。ということで、次回はお餅をテーマにご紹介致します。