編集室より

2016/06/08

断面図

「だいこんだんめん れんこんざんねん」は、ユニークな書名です。
このタイトルだけですと一体なんの本なのか見当がつきません。野菜の本?それとも残念無念な結果に終わるお話?いいえ、これは断面についての科学絵本です。実はこの「だいこんだんめん れんこんざんねん」 (1984年福音館書店)の出版より10年以上前の1973年に断面についての科学絵本、その名も「だんめんず」が同じく福音館書店より刊行されています。

小さなお子さんが断面を知るにはみじかな果物や野菜を切って見るのが一番ですが、「だんめんず」では、 食器や花瓶、楽器や車、郵便ポストの断面図も登場します。方眼紙には家の平面断面図つまり地面に水平に切ったものを上から見た断面図と、垂直に切った断面図が描かれ、断面図が設計において大切な役割であることをやさしい文で説明しています。

「だんめんず 」最終場面。裏表紙の絵の断面図になっています。

「だんめんず」より。画面右下は方位磁針と水平を測る水準器。

そういえば、「あなたのいえ わたしのいえ」も家の断面を見ながらその機能についてページが進んでいきます。科学絵本「かわ」は鳥瞰図ですが、「海」や「地球」は断面図により場面が展開していきます。これらの本では、自然や人、人間が作り出してきた様々な物が描きこまれていますので断面図といっても親しみやすく詩情もある場面が繰り広げられます。圧巻は地球の断面図です。

「地下鉄のできるまで」より

「地球」より

現在はMRIで人体の輪切りの断面図を見ることができるようになり、ソナーで海底の地形を知ることができるようになりましたが、見えない物の内部を理解するのに大切な断面という方法を小さいお子さんに示し理解し納得していただく絵本には、科学的に見、考える手助けの第一歩となればとの著者の思いが込められているのです。

あそびの大星雲「くしゃみやおへそのあそび」にはMRI自体の断面図とMRIで撮れる画像を紹介しています。


『だんめんず』は6月14日から千葉県稲毛駅前・こみなと稲毛ギャラリーで開催される展示会「90&99ミライへのコトバ展 かこさとしと小湊鉄道」で展示致します。エスカレーターはこんな仕組みなんだ、ということが一目瞭然の断面図を是非、会場でご覧下さい。