編集室より

秋の夜長、文学作品にまつわる話題です。

一つは夏目漱石。
漱石の小説は各社から文庫でも発行されていますが、金園社という出版社から1969年に刊行された『坊ちゃん・虞美人草』の挿絵をかこが描いています。絵本をかくようになる以前に、文学や美術雑誌などの挿絵を時折、描いていたことがありました。どのような経緯で、漱石の小説の挿絵をかくことになったか、分かりませんが、ご依頼をいただき、漱石を「もう一度読まなくちゃ」といっていた加古の言葉が私の記憶に残っています。

文庫ですから、線画で着色はありません。かこの「坊ちゃん」はこんなイメージです。右下にサインがあります。

もう一つは、ヒュー・ロフティング作、ドリトル先生シリーズ。その中の7番目『ドリトル先生と月からの使い』(井伏鱒二訳・岩波少年文庫)の2000年の新版以降に、かこさとしの解説が巻末にあります。

そこで述懐しているように加古自身もこの物語シリーズのとりこになった一人で、解説のタイトル「引力・魔力・四つの魅力」とあるように、ドリトル先生の物語が興味深く感じられる理由を分かりやすく分析しています。どうぞ、合わせてお読みください。