編集室より

2017/01/20

雪のことを思いきり書きたい。雪国育ちの加古の願いが実現したのが「ゆきのひ」(1966年福音館書店)でした。

その12ー13ページ(上の写真)に描かれている町の通りは、福井県越前市の方々によれば、駅前から伸びるあの道がモデルに違いない。新潟県長岡市の皆さんは、あれは雁木通りだ、と。半世紀前の面影を残す場面の数々は昭和をよく知る読者の皆さんには大変懐かしいものとなっています。

「だるまちゃんとうさぎちゃん」(1972年福音館書店)(上の写真)は次のような言葉で始まります。

「さむくなりました。
ゆきが こんこん ふりました。
そして どっさり つもりました。」

お子さん向けの雪の本といえば、「ゆきのひのおはなし」(1997年小峰書店)(上の写真)でしょう。辺り一面銀世界に遊ぶこどもたちの白い息が見えるような、けれども心が温かくなる作品です。

「あそびずかん ふゆのまき」(2014年小峰書店)には表紙(下の写真はその一部)のみならず、雪遊びのいろいろがのっていますし、「こどもの行事 しぜんと生活」の2月の巻(2012年小峰書店)には、様々な雪の呼び名が紹介されていてその数の多さに驚きます。

「地球」(1975年 福音館書店)では雪山と冬眠中の動物が描かれ(下の写真)、「ダムのおじさんたち」(1959年福音館書店)や「万里の長城」(2011年福音館書店)の吹雪の場面は科学絵本であっても効果的に印象深い場面を作りあげています。

「からたちばやしのてんとうむし」(1974年偕成社)の最後の場面(下の写真)、雪に埋もれた落ち葉の下でのてんとうむしたちの会話が聞こえてくるような、静けさに包まれつつ春を待ちわびる気持ちがにじむくだり、ここにも雪国の生活をしる著者らしい思いがこめられているようです。