編集室より

2021/02/14

10年目の311

あと一月で、10年となる東日本大震災。昨年も同じ時期に「編集室よりー作品によせてー」で、同じ絵を使って書きました。この出来事は決して風化させてはならず、毎年同じように思い出し、その歴史を未来へ語りつなぐ必要があるはずです。

記憶にとどめ伝えるべきと判断し、出版社にすでに渡してあった『こどもの行事しぜんと生活 3月のまき』(2012年小峰書店)の原稿を差し替え、急遽描いたのがこの絵です。その大切な役割を果たすことを念じて、今年もあえて同じ絵を掲載します。

本来なら昨年夏に開催のはずだったオリンピック誘致でも語られた、この震災からの復興はどうなっているのでしょうか。時間を経て忘れられる出来事は多くありますが、記憶からは消えても残り続ける事実があるのではないかと思います。

卒業式がたけなわで新たな希望をいだいた春のあの日。それに続く事故で不安に覆われた日々。その中でも光を受けて芽吹き花をつけ成長する植物にあの時ほど励まされたことはありませんでした。

東日本大震災被災地の支援拠点として重要な役割を果たした岩手県遠野市にこの夏[こども本の森 遠野]が開設されるのは明るいニュースです。10年目の311に向き合いたいと思います。

上の絵は『がくしゃもめをむくあそび』(1992年農文教・下)の一場面、「げんぱつのもんだい」