編集室より

愛媛県歴史文化博物館で開催中の「かこさとし絵本展」の見どころを学芸員さんの解説で紹介するシリーズの第7(最終)回は、『こどもの行事しぜんと生活』(2011年小峰書店)について。

かこが『日本伝承の遊び読本』(1962年福音館書店)を書いたのはまだサラリーマンであった頃です。セツルメント活動で川崎の子どもたちと接し、子どもたちがあそんでいる石蹴りや絵かき遊びの多様性、柔軟性、創造性に目を見張り子どもたちが持っているすばらしい力に気づきました

各地で遊びを収集、29万点の資料を系統別に分類、そこには科学者としての視点と絵かき遊びの言葉の素晴らしさに感嘆する文学の心がありました。

『こどもの行事しぜんと生活』12巻では、月ごとに全国そして各地に伝わる行事にこめられた、先人たちのこどもの健やかな成長や生活の安心を願う祈りと知恵をわかりやすくひもといています。このような時代だからこそ、もう一度長い間伝えられてきた思いを探り、未来へ向けて考えるヒントにしたいものです。

展示会では、『伝承遊び考』4巻(小峰書店)の膨大な資料の一部、『こどもの行事しぜんと生活』12巻の表紙を全てご覧ただけます。お楽しみください。

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  • 2020年7月25日 愛媛新聞・愛媛県歴史文化博物館「かこさとし 絵本展(7)」