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本 よみうり堂 「ほやほや」

北の大地に雪が消え初夏を迎えると一面に咲くスズランの花、それがアイヌの言葉でヌプキナです。1980年この本が出版された時のかこさとしの「あとがき」に込められた思いを受け継ぎ復刊にあたった編集者が心に響く言葉でこの本を紹介しています。

残念ながらそのままを掲載できませんのでかこさとしの「あとがき」を再度ご紹介いたします。

あとがき

(引用はじめ)
同じ人間でありながら、肌の色や風習が違うと言うだけで、地球上では、いまだに争いや憎しみが絶えません。しかもそれは、中近東やアフリカの例に見るように、人間の心を救うはずの宗教がさらに対立を激しくさせていたり、インディアンや黒人問題に見るように、文明や開発の名のもとに非道なことが行われてきました。そしてそれらの事は、何も遠い国の古い事件ではなく、この日本でも起こっていたし、今なお形を変えて行われていることに気づきます。

強大な武器や圧倒的な経済力、あくどい策略によって、勝者は輝かしい歴史を書き上げます。しかし、反対にそれによって奪い取られ、追いはらわれ、閉じ込められた側には、わずかな口伝えしか残りません。そうした小さな伝説や名残の中から、ふと耳にした白いヌプキナ(すずらん)の花の物語は、涙の連なりのように私には思えました。汚れた栄光で見失ってはならないものを、埋もれてはならないものを、この国の中で、この国の子どもたちに知ってほしいと思ってまとめたのが、このお話です。 かこさとし
(引用おわり)
本文は縦書きで、全ての漢字にふりがながあります。
2020年4月11日から7月5日までニセコにある有島記念館で開催される展示会では、この作品の絵も展示します。

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  • 2020年4月6日讀賣新聞 『青いヌプキナの沼』(2020年復刊ドットコム)紹介