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地球上最大の動物であるクジラは、それだけでも魅力的です。1950年、かこが24歳の時に作った45場面にも及ぶ長い紙芝居に『青い鯨』という作品があります。(2021年刊行の『かこさとしと紙芝居』の表紙もこの『青い鯨』の一場面です。)当時はまだ、子どもたちのために何をしたら良いのか分からず、人形劇や紙芝居を学ぼうとしていた時期です。

『青い鯨』は紙芝居の形式ではありますが、実験的な構成でさまざまな角度から見た鯨の姿を描きながら平和を問う大人向けの内容で、描かれる鯨は場面によって色が異なり多様なデザインが目を引きます。

この作品の最後に登場する黄色い鯨が「青い鯨」を孤独から救う大きな役割を持つのですが、この黄色い鯨という発想は『青い鯨』から35年を経た1985年、全国心身障害児福祉財団のために描いた紙芝居『きいろいくじらちゃん』に引き継がれています。

それを絵本化したのが本作『かわいいきいろのクジラちゃん』です。 テーブル型の氷山やなだらかで美しい曲線の鯨の背中、そして黄色。これらは『青い鯨』で表現していたものでもあります。

親子の愛情と、きいろい色ゆえにいじめられる子どもクジラの悲しみと、みんなと一緒に遊びたいという切実な願いが大自然の力で叶えられる最後の場面は感動的でまばゆいばかりです。かこさとしの長年の願いがこめられた『かわいいきいろのクジラちゃん』は心に残る希望の一冊となるに違いありません。

かわいい きいろのくじらちゃん

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  • 2021年9月25日刊行『かわいいきいろのくじらちゃん』(復刊ドットコム)