出版情報

紙を使って楽しめる「ぺぱぷんたす」(小学館)は、この雑誌を切ったり工作して遊ぶことができるユニークなものです。付録の見本をお手本にさらに自分で最初から作ってみる楽しさは格別です。

かこさとしの『てづくり おもしろ おもちゃ』(2021年小学館)にある「スピード写真」と「紙の子犬」が特別に登場。あっという間に面白いてづくりおもちゃが出来上がります。不思議なスピード写真にきっとびっくり、可愛い子犬は素敵なペットになること間違いなしです。お楽しみください。

この本の表紙、裏表紙と前扉の下書きが現在渋谷Bunkamuraで開催中の「かこさとし展」で展示しています。下書きを見比べると、表紙の絵は下絵の絵から変化していることがわかります。どうぞご覧ください。

この本はもともとアメリカ向けの英語による出版でした。2021年、英語版日本語版を同時出版しています。お役に立てれば幸いです。

2021年は出版に恵まれた一年でした。

かこ自身の作品に孫の中島加名の挿絵を加えた『くもとり山のイノシシびょういん』(福音館書店)や、初公開の多数の写真を掲載し、かこの人生に迫る、鈴木愛一郎による伝記『かこさとし 遊びと絵本で子どもの未来を』(鈴木愛一郎・文/あかね書房)が出版されました。

また、かこの紙芝居についての貴重なエッセイと手描き紙芝居を含む全紙芝居について鈴木万里が解説を加えた『かこさとしと紙芝居 創作の原点』(童心社)も誕生しました。

これまでに出版されたものに新たな写真や挿絵を加えて文庫化した『だるまちゃんの思い出 遊びの四季 ふるさとの伝承遊戯考』(文春文庫) は『未来のだるまちゃんへ』とともに、お読みいただきたい、かこさとし珠玉のエッセイです。

1986年にアメリカ向けに出版された幻の『Chock Full o’Fun』(小学館)が、2021年日本で出版され、その日本語版『てづくり おもしろおもちゃ』も同時に刊行されました。

かこの初稿から60年以上の時を経て世に出ることとなった『秋』(講談社)は、かこの青年時代の衝撃的な戦争体験を一人称で語る絵本で大きな反響がありました。
2022年2月号MOEでは「先人たちの絵本」として紹介されています。

これぞ絵本といえる可愛らしい『うさぎのパンやさんのいちにち』『たろうがらす じろうがらす』は、『からすのパンやさん』とは違う様々なパンやからすの表情が魅力的です。

また、時代を大きく先どりしてSDGsを扱った『かわいいきいろのくじらちゃん』はその美しい絵と深い内容に心打たれることでしょう。

こうして2021年新たに出版された10冊の本は趣やテーマは様々ですが、いずれもかこの思いが滲み出ています。

そして2022年には『かこさとしと紙芝居』の作品リストで触れているように「かこさとし自選集」シリーズが出版の予定となっていますし、かこが精魂込めた絵本が復刊されます。どうぞご期待ください。

2021年11月4日伊勢新聞・6日琉球新報・8日佐賀新聞・9日河北新報・静岡新聞・10日埼玉新聞・中国新聞・山陰中央新報12 日熊本日日新聞 22日神奈川新聞 24日京都新聞 26日山陽新聞. 12月5日宮崎日日新聞 7日 奥羽日報

今年を振り返るのは少し気が早いかもしれませんが、2021年11月に上記各紙で報じられたように、2021年は出版に恵まれた1年でした。
1月には、『くもとりやまのイノシシびょういん ー7つのおはなしー』(福音館書店)がでました。これは読み聞かせ・語りを目的にかこが書きためていたお話で、コロナ禍のステイホームで苦しい中、気持ちの和らぐお話として楽しんでいただいたという嬉しいお声が届いています。

かこさとしの伝記が初めて出版されたのも今年でした。初出の写真も豊富でかこさとしを知るには、必読です。わかりやすい言葉でかこの内面を伝え、生きる意義を考えさせられる、お子さんにも大人にもおすすめしたい一冊です。上記の新聞記事では著者の言葉を引用し詳しく紹介しています。

日本エッセイスト賞を受賞した珠玉のエッセイが文春文庫として登場したのは5月。ここにも貴重な写真やかこの挿絵がさらに加えられ、深い洞察が数々の思い出話の中に散りばめられ、読みやすい作品です。

加古が興味を持って研究した子どもの遊びは、子どもの成長にとって不可欠で、それにより想像力と創造力を育てる原動力になります。そのお手伝いとして、身近にあるものを使って自分でおもちゃを作る楽しさを紹介する『てづくり おもしろ おもちゃ』(小学館)は、1968年アメリカで発売された『Chock Full o’Fun』の日本語版で、この7月に英語版の復刻と合わせて出版されました。

復刊といえば、『うさぎのパンやさんのいちにち』『たろうがらす じろうがらす』『かわいい きいろのクジラちゃん』(いずれも復刊ドットコム)が次々に復刻され、こんな絵本があったとは!」と驚きを持って手に取っていただいています。

そして大きな反響を呼んだのが、絵本『秋』(講談社)。一人称で語られる18歳のかこが目にした戦争の凄惨な出来事はこれまでかこが語ったことがないもので、秋の美しい風景と対象的で胸にせまります。後年かこが子どもたちのために人生をかけて、とりくんだのはこうしたことがあったからなのです。

かこ作品の中でおよそ4分の1を占める紙芝居については、まとめたものがありませんでした。そこで、一冊の本にして8月に出版されたのが『かこさとしと紙芝居 ー創作の原点ー』(童心社)です。かこ自身による紙芝居の歴史や考察などを収録、現存する自作の紙芝居全てのあらすじも掲載しています。研究資料としても読み物としても面白いこの本について、記事では詳しく紹介しています。

また、記事では加古総合研究所が資料画像等を提供した長野ヒデ子氏による『かこさとしの手作り紙芝居と私』(石風社)についても合わせて伝えています。

このように2021年には新刊、復刊合わせて10冊が刊行され、いずれもかこさとしを知るのに欠かせないものですし、新しい情報に富み、読んで面白い、見て楽しいものばかりです。是非ご覧ください。

もう半世紀以上も前のことになります。筆者が小学3年生だった時、お父さんの絵を描くという課題が出されました。それにはまずお父さんに日頃はどのような仕事をどんな所でしているのかを聞いてきましょうと言われました。

当時、かこは化学会社の研究所に勤務していましたので、白衣を着てフラスコを振っている絵を描きました。級友には母子家庭の子もいて、なんだかかわいそうな宿題だと思ったことが強く心に残っていて、父の日や母の日をお子さんたちに向かって話題にすることができないまま長い時間が過ぎました。

昨年の夏、小松市立 空とこども絵本館のお招きで小風さちさんと父のことをお話しする機会がありました。小風さんは、かこを絵本の世界にデビューさせてくださった福音館書店の編集長(当時)松居直さんの御息女で、2011年には出版に関しての講演のため松居さんご家族と北京旅行をした楽しい思い出もあり、小風さんがご一緒ならと、慣れないお話を引き受けた次第でした。

その時の講演「父の話をしましょうか〜「かこさん」と「松居さん」〜を編集、一部加筆したものが2020年3月31日、かこの誕生日に合わせて出版されましたが、ちょうどコロナ禍でお手元に届くのが遅くなってしまいました。ようやくご要望にお応えできるようになりましたので、改めてご案内致します。

本の編集や、執筆にご興味のある方、娘の目から見た父親の姿が垣間見える本冊子をお読みいただけたら幸いです。
詳しくは以下でどうぞ。

父の話をしましょうか

Twitterも是非どうぞ。

ブックスタート

特集 「今、家の中の たのしみを考える」

特集は、絵本作家の皆さんの提案する家の中でできるお楽しみアイデアいろいろ。そんな趣旨にそって「だるまちゃんとあそぼう!」とクイズとぬりえが再登場しました。
1969年に掲載されたものの再録で、当時のかこは視野も正常できれいな線のだるまちゃんとだるまこちゃんがクイズを出題しています。お楽しみください。

『ラジオ深夜便 珠玉のことば』(2020年NHK出版サービスセンター)

〜ラジオが伝えた名言、金言150〜

ラジオ深夜便放送30周年記念として「いやしのメッセージ150を厳選」と帯にあります。

様々な分野で活躍した方々の言葉には、説得力があり、いつもの日常が奪われてしまっている感が強い今、言葉の力に励まされます。かこさとしの言葉も収録されています。

2020年3月15日まで越前市ふるさと絵本館では『むしばミュータンスのぼうけん』を展示。16日から18日までは展示替えの為休館いたします。
3月19日からは『だるまちゃんととらのこちゃん』を全点展示いたします。尚、3月24日までは高校生以下の入場をご遠慮いただいております。ご了承ください。

このウイルス禍で全国各地の美術館などが休館中ですが、収束したら巡ってみたい絵本関連の施設を紹介する『全国 大人になってもゆきたい 私の絵本めぐり』(下・2020年株式会社GB)が3月16日に出版され、福井県越前市にあるかこさとしふるさと絵本館も紹介されています。

北海道にこの4月ウポポイというアイヌの人々の文化を紹介する国立博物館が開館するそうです。

2020年年2月25日に復刊された絵本『青いヌプキナの沼』(2020年復刊ドットコム)はアイヌの兄妹とを主人公にした物語です。あとがきをご紹介します。

あとがき

(引用はじめ)
同じ人間でありながら、肌の色や風習が違うと言うだけで、地球上では、いまだに争いや憎しみが絶えません。しかもそれは、中近東やアフリカの例に見るように、人間の心を救うはずの宗教がさらに対立を激しくさせていたり、インディアンや黒人問題に見るように、文明や開発の名のもとに非道なことが行われてきました。そしてそれらの事は、何も遠い国の古い事件ではなく、この日本でも起こっていたし、今なお形を変えて行われていることに気づきます。

強大な武器や圧倒的な経済力、あくどい策略によって、勝者は輝かしい歴史を書き上げます。しかし、反対にそれによって奪い取られ、追いはらわれ、閉じ込められた側には、わずかな口伝えしか残りません。そうした小さな伝説や名残の中から、ふと耳にした白いヌプキナ(すずらん)の花の物語は、涙の連なりのように私には思えました。汚れた栄光で見失ってはならないものを、埋もれてはならないものを、この国の中で、この国の子どもたちに知ってほしいと思ってまとめたのが、このお話です。 かこさとし
(引用おわり)

本文は縦書きで、全ての漢字にふりがながあります。
2020年3月28日から7月5日までニセコにある有島記念館で開催される展示会では、この作品の絵も展示する予定です。

「うみにうまれ いのちをつなぎ」大中恩作曲 かこさとし作詞

『パピプペポーおんがくかい』(2014年偕成社)では、いろいろな動物たちが、次から次へと歌や踊りを披露する楽しい音楽会が繰り広げられます。その最後の演目「うみにうまれ いのちをつなぎ」の言葉に作曲家大中恩(めぐみ)先生が曲をつけて下さり、その楽譜がカワイ出版より刊行されました。

実は、大中先生とかこさとしには不思議なご縁がありました。長くなりますが、お読みいただけたら幸いです。

かこさとしが大学を卒業する直前、大学近くに住む小学生を招待して「夜の小人」という三幕の童話劇を上演しました。演劇研究会のメンバーだったかこが脚本を手がけた最初で最後のこの劇を大学一の大きな教室で演じたのは、もちろん演劇研究会の仲間でした。この劇には踊りあり合唱ありで、演出、踊りの振り付け、舞台装置、衣装デザインなどもかこが担当しました。ただ、劇中歌の作曲は、大中恩先生にお願いしました。

大中恩先生は当時、かこが住んでいた板橋区の高校で音楽を教えていらして、その学校の演劇部の舞台装置や衣装デザインのことで、かこがお手伝いをする機会があったのがご縁で知りあったそうです。恩先生のお父様は島崎藤村の歌詞で有名な「椰子の実」を作曲された大中寅二先生で、恩先生ご自身ものちに「犬のおまわりさん」や「サっちゃん」をはじめ多くの名曲を作られました。

話を「夜の小人」に戻します。大中先生はこの上演にあたり、合唱団を連れて来てくださり前日に大学近くのお寺で練習したそうです。このことは2016年秋、不思議なご縁で大中先生がかこを訪ねて来てくださった時に先生から直接伺いました。

2016年のこの訪問で、大中先生とかこは、70年近い時を経て再会することになったのですが、そのきっかけはこうでした。夏の終わりのある日、かこにNHK特報首都圏の番組スタッフから一本の電話がかかってきました。同世代の作曲家の方に歌詞を提供してもらえないか、という内容でその作曲家は。。。と説明が続きましたが、大中先生の名前が出るや、かこは「存じ上げているので喜んで」と即答。まさか過去にこの二人に接点があったとは、電話をかけてきた方も思いもよらない事でした。

程なくして、腰痛のあるかこのために2歳年上の大中先生が御奥様とともに会いに来てくださいました。かこはいつ用意したのか大中先生への色紙をしたためておりました。そして大中先生は、御奥様が見つけてくださった、かこの公式ウェブサイトの冒頭にあることば「こころとからだ よりたくましくあれ よりすこやかであれ よきみらいのためにー」に曲をつけてきてくださったのです。御奥様の歌声でご披露していただき、尚更大感激で、70年の空白があっという間に埋まり旧交が深まりました。

絵本『パピプペポーおんがくかい』(偕成社)の最後の場面(上)、いろいろな動物たちが次々にステージで歌った後、全員で歌う「うみにうまれ いのちをつなぎ」で始まる詞に大中先生は心ひかれるとおっしゃり、曲を作ってみましょうということになりました。このやりとりの一部が「特報首都圏」で放映され、その番組でこの曲の完成を知りました。番組スタッフは曲が放映直前に出来上がっていたことをサプライズにしようとかこにあえて連絡しなかったと後で聞きました。とにかく、テレビの前で曲を聴きかこは相好をくずしておりました。

『うみにうまれ』の曲はその後2017年9月30日、大中先生の指揮で先生の合唱団「メグめぐコール創設20周年記念演奏会」のフィナーレとして発表してくださいました。思うように動けないかこに代わり筆者がこのコンサートに伺い大中先生にご挨拶したのが、先生にお目にかかれた最後となってしまいました。翌年2018年5月にかこが、そして12月に大中先生がこの世を去りました。

再会を喜んでいた二人の不思議なご縁でうまれた2つの曲が、2019年9月1日に楽譜になって出版されました。歌曲集「アマリリスに寄せて」に「たくましく うつくしく すこやかに」と「うみにうまれ いのちをつなぎ」が収められ、また後者はピースも発売されています。90代の二人の「魂の交流」によって遺された音楽に親しんでいただけたら、と願っております。

次々に登場するこまった状況の動物たちが、自分の出来ることを他のためにしてあげることによって、皆がこまった状況を乗り越えることができるというお話。困難を解決するにはどうしたら良いかを小さいお子さんにもわかるように温かな雰囲気の絵で描いています。

1986年偕成社より刊行された同名の絵本を再編集の上、新たなあとがきを加え復刊したものです。
1986年の発行時のあとがきをご紹介します。

(引用はじめ)
子どもに接する大人の態度で大事なのは、「明るく、はっきり、ゆったり」といういことです。毎日の生活や長い人生は、決して良い時ばかり続くとはかぎりません。こまった問題やむずかしいイザコザにぶつかります。そんな時、身近な信頼しているおとなが、どんな様子であるかが、子どもにとって大きな影響を与えます。
問題を、子どもからかくしておきながら「暗く、不可解で、せっかち」な態度を示すほど、子どもを悲しませ、悩ませるものはありません。
「明るく、はっきり、ゆったり」立ち向かう大人の姿から子どもは生きる力をひとつひとつ学びとってゆくように、このお話のこぐまたちから困難をのりこえる力を読みとってほしいと思います。
(引用おわり)

上の写真は後扉で、このページには2017年版に際しての著者の言葉が加えられています。お読み下さい。

新版について

(引用はじめ)
この絵本を最初に出して頂いたのは、30年前の昭和時代の末で、社会は一応平穏を謳っていましたが、日本海中部地震/つくば科学万博/グリコ事件/日航ジャンボ機墜落など、様々な問題が発生していました。私は三つの大学の講義と、その間全国各地の講演でとびまわっていて、接する学生や教師、家庭の人々がいまひとつ意欲や覇気の乏しいのが気になっていました。せめて子ども達に持っている力や才智に応じた共生助け合いの心と、未来に生きる情熱を持ってもらいたいと念じて 作ったのがこの作品です。その私の願いが今も変わらないのが、少しさみしい気がしている所です。愛読を感謝します。
かこさとし
(引用おわり)

以下から白泉社MOEの絵本ニュースをご覧下さい。

http://www.moe-web.jp/character/kako.html