講演会レポート

2022年11月18日、福井県越前市にて講演会を開催しました。駅前の植栽にも雪吊りが施され冬支度の整った武生でしたが、好天に恵まれ、晩秋の紅葉に彩られた村国山(写真中央、手前は〈コウノトリの大空散歩〉の遊具)を望む、かこの墓所がある引接寺のお堂が会場でした。

コロナ禍で全国紙芝居大会の2021年プレ大会と2022年夏の本大会が中止となり、関係者一同は大変落胆されましたが、それを振り払うかのように当日は紙芝居に関わる大勢の方々がご参加くださいました。

前半は紙芝居『ゆきこんこん かぜこんこん』の上演とかこの手描き紙芝居のご紹介。紙芝居をもとに作成された幻灯「ぼくのかあちゃん」と「自転車にのってったおとうちゃん」も上映し、当時の様子に思いを馳せました。

熱心なご質問が相次ぎ、和やかに楽しく紙芝居やこどもを話題に全体で1時間半ほどの会でした。

久しぶりにかこのふるさとの皆様とゆっくりお話しすることができ温かな気持ちに包まれたひとときに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

翌2022年11月18日、福井新聞朝刊に写真入りでご紹介いただきました。一部ですが以下に記事があります。

福井新聞「紙芝居遊びを創る一歩」

開催中の「かこさとしの世界」展、会期半ばの2022年11月6日、秋晴れに恵まれた群馬県立館林美術館に出かけました。
美しい紅葉を見ながら館内へ。

ギャラリートークの代わりにスペースをゆったりとって対面での講演会を致しました。

展示作品を中心に、主に加古のデビューまでの作品を見ながらその背景、「かこさとしの世界」がどのように立ち上がっていったのかをお話しました。


また、川崎セツルメント活動のご紹介を兼ね、サプライズとして渋谷Bunkamuraで初公開した、かこの描いた幻灯用の下絵をもとに作成した「ぼくのかあちゃん」と「自転車にのってったお父ちゃん」をご覧いただきました。

詳しくは、『かこさとし 子どもたちに伝えたかったこと』(2022年平凡社 )で紹介しています。また、同名の手描き紙芝居子は『かこさとしと紙芝居 創作の原点』(2021年童心社)や『かこさとしの世界』(2019年平凡社)に掲載されています。

この2作品はかこがセツルメントで直接関わった子どもたちの書いた作文をもとに、舞台となる製鉄所をかこが見聞してまとめ上げた作品です。戦争や過酷な作業の中で父親を亡くした子どもとその家族の気持ちが痛いほど伝わり、会場の皆様は大変熱心にご覧くださいました。

1時間半ほどの会でしたが、講演後ご来場の方々とお話することもでき、心に残るひとときでした。

本展示会では写真コーナー(上)以外でも、広い館内で写真撮影ができる場所がありますので是非、記念にどうぞ。

長女と編集者・松居直さんの娘

2019年7月15日、小松にある「空とこども絵本館」でかこさとしを世に送りだした福音館書店の名編集長(当時)の松居直氏のご長女で児童文学者の小風さちさんと鈴木万里の対談が開催されました。

前日にNHK「日曜美術館」加古特集の再放送が放映されたこともあり、予想をはるかに超える二百人以上の方々が所狭しと座られ熱心にお話を聴いてくださいました。


デビューのきっかけなった、一枚の絵「平和のおどり」をめぐる不思議なご縁で絵本を書くようになった経緯や『かわ』や『だるまちゃんとてんぐちゃん』が出版されるまでの著者と編集者とのやりとりを資料を見ながら追い、絵本作りに生涯をかけた、かこさとしと影で支え続けた松居氏の熱意にしばし思いをはせました。

県外からの方、20年以上前にかこさとしの講演を聴いたことがある、読み語りをしているなど対談後も皆様とお話させていただきました。

会場となった「空とこども絵本館」は松居氏から寄贈された貴重な絵本や書籍を所蔵し、その一部を公開しています。加古が自ら描いた「かこさとしフェア」のポスターやこの館がオープンした際に贈った「色紙」など、ここでしか見ることができないものもあり、興味深く拝見して後ろ髪引かれる思いで小松を後にしました。

写真は、かこさとしのデビュー作『だむのおじさんたち』(1959年福音館書店)
対談の様子は、上記タイトルで記事として掲載されました。以下でご覧ください。

https://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20190717/CK2019071702000071.html

2017年9月9日午後2時より1時間ほど、加古総合研究所の鈴木万里が約50名の皆様にお話をいたしました。かこさとしがセツルメント活動をする中でどのようにして子どもたちと過ごし、子どものことを知り得るようになったのかを焦点に手描きの紙芝居作品(下の写真は1953年作)をご覧頂きながら探る内容でした。
ご覧いただいた約100枚の写真には、未公開の紙芝居作品もありその内容、目的、描き方などそれぞれに込められた意図をご紹介しました。

山形、東京など遠方からご参加の方々もあり聴衆の皆さんは大変熱心に耳を傾けてくださり質問コーナーでは、思い出を紐解きご質問くださる方、研究会での感想を伝えてくださったり卒論のテーマに関連してのお尋ねなど30分程の時間内で十分なご説明がしきれず申し訳なく思いました。

若干の補足をここで付け加えさせていただきます。
1953年、かこさとしが第一回平和展に出展した「平和のおどり」(わっしょいわっしょいのおどり)の審査員であった内田巌画伯からその絵葉書を受け取った内田路子(のち堀内誠一氏夫人)さんは、かこさとしが活動していたセツルメントに参加、当時アルバイト先であった福音館書店松居直編集長にかこを紹介することとなりました。これがきっかけでかこさとしは、1959年デビュー作『ダムのおじさんたち』を出版することになりました。

上の写真はふるさと文学館「医と文学 -杉田玄白からかこさとし・山崎光夫まで-」の撮影コーナー。会場では本展開催にあたり最新のかこさとしインタビュー映像もご覧いただけます。会期は18日(月・祝)まで。

2016年7月3日、愛知県刈谷産業振興センター小ホールで開催された講演会には他県からご参加の方もあり150人以上の皆様が集まられ熱心に耳を傾けてくださいました。

講師は、加古総合研究所の鈴木万里。100枚以上の写真・画像をご覧いただきながら、加古のデビューまでの三十数年間を振り返りました。

自然の中で鋭い観察眼を養った幼年時代。絵を描くことに目覚めた小学生時代。文学に興味をもった高校時代。演劇研究会に入っていた大学時代、そして社会人となりセツルメント活動で子どもたちと過ごした試行錯誤の日々で生まれた物語や紙芝居の数々。

皆さん、興味津々でご質問からも加古作品をこよなく愛読してくださっていることがわかりました。お答えする中で、加古が唯一自ら企画した「美しい絵」出版のいきさつもご披露しました。

講演会場とは別の部屋いっぱいに、加古の著作が並べられていました。中には、本年復刊された「しろいやさしいぞうのはなし」の元になった「ぞうのむらのそんちょうさん」や「わたしのかわいいナミちゃん」「ゆきこんこん あめこんこん」(いずれも偕成社)など、今となっては大変貴重な本もあり、皆さん手にとってご覧になっていました。

中心話題であるセツルメント活動のご紹介パネルも掲示しました。

残念ながら全員は写っていません。。。列の端の方、せっかく並んでいただいたのに失礼いたしました。。。

「ゆきこんこん あめこんこん」(1987年)
この作品は2部からなり、第1部は、なかじままりがコンクールに応募し入選した紙芝居で、画面は第2場面。第2部は、かこさとし「ひが さんさん あめ ざんざん」。

あとがきの最後の部分を引用します。
(引用はじめ)
子どもたちが知っている、親しい主人公たちが、野山や風雪や太陽の光のなかで、自然につつまれ、のびやかに生活する喜びを、この二部作で伝えられたらと考えています。
(引用おわり)