2022

2月は如月・衣更着(きさらぎ)という他に、令月・麗月という言い方や表題のような呼び方もあると『こどもの行事 しぜんと生活2月のまき』(2012年小峰書店)の冒頭に紹介されています。いずれも寒さ厳しい2月の特徴をとらえた表現で命名した人々の思いに納得させられます。

節分、そして立春で一年が始まりとする二十四節気と月の満ち欠けをもとに数える旧暦(太陰太陽暦)と私たちが現在使っている新暦(太陽暦)の関係をこの本ではわかりやすい図で示し紹介されています。

閏年が必要な理由として、地球が楕円形で太陽をめぐる地球の軌道が螺旋状であることなど驚くような科学的事実の説明もあります。そして2月が短いのは長い歴史があることを、古代ローマのロムルス、ヌマ、ユリウス・カエサル、ユリウス、そしてグレゴリウス13世の暦が一覧表に整理されていて、非常に興味深いものです。

初花月の花とは梅見月ともいうように、一番に咲く木の花、梅の花のことで、巻末の歴史年表を見ると中国から伝わった暦によって日本の行事やしきたりが行われるようになっていったことがわかります。

余談ですが、このシリーズに登場するネコは2月生まれなので中国語の2の発音にちなんでアルと名付けられています。

2022/01/17

海底火山

地震、津波、火山という言葉が毎日報じられ、2年前コロナ禍が始まった時と同様に関連の記事や歴史に対処方法のヒントはないものかと慌てて探している自分がいます。

地震が起きるたびに見るのが『地球』(1975年福音館書店)。あらためて見たこの場面(p23ーp24・上)の右端、海の中の「火山岳」が噴煙をあげています。そして次の場面(下)では太平洋の真ん中あたりにある「火山岳」の下のマグマだまりも描かれていて、そのさらに右には中央海裂とあります。

地球はその7割が海に覆われているわけですから、海の下にも火山があることは、明神礁や西之島の例があるのに、軽石の被害が出るまでその重大さを深刻に受け止めていなかったように思います。

以前にご紹介した『ひをふくやま マグマのばくはつ』(2005年農文教)には、その明神礁や西之島(上)のこと、日本各地の火山の歴史とともに、ベスビオス火山の噴火でポンペイの街が火山灰に埋もれ多くの人々が犠牲になったことがかかれています。

そして本の後ろ見返しには〈せかい かくちの かざん〉(上)が地図に点で表されていて、驚いたことに海底火山も含まれています。それを見るとニュージーランドの北北東、トンガ王国の付近にたくさんの火山が並んでいることが(下)示されています。大西洋や南極海にもしるしがあり海底火山ということでしょう。

ふだん目にすることができない海の中や海底を含めて地球を知ることの大切さを、被害の様子がわからない心配の中、痛感しています。

『かこさとしあそびの大星雲』は10巻からなるシリーズで、その8巻目『いまはむかし れきしのあそび』(1993年農文協)は、火を初めて使った人の歴史からこの本が書かれた1990年初頭までの歴史的出来事とその年代の覚え方など、歴史に親しめるよう工夫された27場面から構成されています。

前見返しには「じんけんせんげんのもとのぶん」が描かれるなど、全部ひらがなで書かれる本文でありながら、内容は大人もうならせる本格的なものです。「人権宣言」の絵の次には「かこさとしから、おとなのひとへ」として「れきしという活劇大作品の楽しさをーーー」と題する、以下のようなメッセージがあります。

(引用はじめ)
かつて歴史は暗記ものといわれ、ツマラナイ、キライ、イヤナ学科とされてきました。しかし、古今東西の英雄美女の活躍や、わくわくする事件など、ケンランで豪華、時に非常冷厳な社会を描いた比類のない大作品なのに、どうして楽しく学ぶことができなかったのか不思議です。どうか、この本の愛読者の中から、ヘロドトスやトインビーのような歴史家が出てきてほしいと願っています。
(引用おわり)

宗教、政治の出来事だけでなく、日本の平安時代の女流文学やルネサンスにも触れ、最後には「せんそうがなんどもおこった」と20世紀の戦争で戦った人の数や亡くなった人や怪我をした人の数、使った弾薬の量やお金もわかりやすくまとめられています。

最後の場面のタイトルは「きょうというひは あす れきしとなってゆく」で「きみもあたなも れきしをつくる ひとりのにんげん」とあります。

あとがきをご紹介しましょう。

かこさとし あとがき 「歴史年号ことば遊びについて」

(引用はじめ)
歴史とは大河のように、いろいろなものをとかし、うかべ、流してゆきます。すごいじけんやすばらしい人が、どうしてそうなったのかを知ることは、これからどう世の中が動いてゆくかを予知する大きな目安となります。そのためにはその時、まわりでは、他のところではどのような状況であったかを考える必要があります。そのため年号を知るのが大きな手がかりとなるので、いくつかの「年号のことば遊び」を記述しました。もっとよい「歴史年号ことば遊び」ができたら教えてくださいね。
(引用おわり)

2022/01/08

獅子舞

獅子舞を見ることはめっきり少なくなりましたが、思い浮かぶのは上の絵(『こどものカレンダー1月のまき・偕成社)のような赤い頭に緑の胴体で、元気に動き回って曲芸をしたり、見ている人の頭をかんで邪気を払ってくれると言われています。そもそも獅子とは一体何のことなのでしょうか。

英語ではライオンダンスといいますが、ライオンというとアフリカのライオンが想像され、中国ではアフリカのライオンが元になっている伝説上の動物だそうで、色合いなど日本の獅子とはイメージが異なります。

『こどもの行事 自然と生活 1月のまき』(2011年小峰書店)には日本の獅子舞について次のような説明があります。

(引用はじめ)
奈良時代より前に、中国からつたわった、豊作と健康を祈り、悪魔をおいはらうおどりです。いのしし、鹿、とら、りゅうなどの「しし頭」をつけておどります。
(引用おわり)

岩手の獅子踊りの頭にはシカの角があるのも納得です。かこは幼い頃、生まれ故郷の武生(たけふ)で見た伊勢大神楽の演じる獅子舞に感動したそうで、「振袖ししまい」として紹介しています。
 

『ならの大仏さま』(1985年福音館2006年復刊ドットコム)には、752年、大仏開眼法要の式典に続き披露された海外の芸能として伎楽の獅子舞の様子も描かれています。こうした長い歴史を経て様々な流れで獅子舞は現在にも伝わってきているのです。2022年が佳い年でありますように。
 

寅年といえば『だるまちゃんととらのこちゃん』。
だるまちゃんがとらのこちゃんと土絵具でペンキぬり遊びをしていたところ、これが思わぬ評判になって、街をカラフルにしたり、クルマも色鮮やかに変身。おまけに、とらのこちゃんのお父さんから本物のペンキをお土産にもらって、だるまちゃんはニコニコ大満足です。とらのこちゃんとシマシマ模様のだるまちゃんが大変印象に残る絵は「干支にちなんでトラの絵本」として絵本ナビでも紹介されています。

かこは寅年生まれで、12歳になるお正月に母親に次のように言われたと『過去六年間を顧みて』(2018年偕成社)にあります。
(引用はじめ)
「今年は寅年で哲(さとし)も兄ちゃんも当たり年だよ、当り年というとよいことがあればとびきりよいことがあって、悪いことがあれば大変わるいことがある。だから哲も兄ちゃんも一生懸命やってよいことがあるようにしなさい。」
(引用終わり)

今から84年前の新年の一コマです。この年、かこは中学校の入学試験に見事合格を果たし、入学にあたって父親が語った言葉を書き留め、小学校生活六年間の記録である、この画文集を次のように結んでいます。

(引用はじめ)
そうだ。今年は僕の当り年だ。化学博士という目的をめざし、友と約束したこと、父母の教えを胸にとめ勢よく進んでいこう。
(引用おわり)

かこのその後の人生は是非、伝記『かこさとし 遊びと絵本で子どもの未来を』(2021年あかね書房)をお読みください。

トラが主人公の作品には『とらのことらちゃん』という紙芝居(2003年全国障害児福祉財団)があり2021年刊行の『かこさとしと紙芝居ー創作の原点ー』(童心社)でも紹介しています。
寅年、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

絵本ナビ「干支にちなんでトラの絵本」の紹介は以下でどうぞ。

だるまちゃんととらのこちゃん

広報小山