編集室より

2016年6月に復刊された「世界の化学者12か月」(偕成社)は、絵でみる化学の世界シリーズの最終第6巻として1982年に刊行された「かがやく年月 化学のこよみ ー化学の偉人と科学の歴史ー」を復刊したものです。

ご参考までにそのシリーズ6巻の題名を記しておきます。
1原子の探検 たのしい実験ー原子・分子と実験の話ー
2 なかよし いじわる元素の学校ー元素の性質と周期表の話ー
3 ふしぎな化学の大サーカスー最新の化学と技術の話ー
4みんなの生命 くらしの化学ー自然と生命化学ー
5 ひろがる世界 化学の未来ー資源とエネルギー話ー
6 かがやく年月 化学のこよみ ー化学の偉人と科学の歴史ー

これらの本を小学生の時に読んで、現在は化学者として活躍されている方もいらっしゃいますし、最近は、中国や韓国でも翻訳されて読まれています。

左が1982年版、右が2016年復刊の「世界の化学者12ケ月」

著者は工学博士(応用化学)で技術士(化学)ですから、このシリーズの企画を40年近く前に日本化学会からいただいた時には、お役に立てることに大きな喜びを持って執筆していました。

「世界の化学者 12か月」では月ごとに、化学の歴史上重大なできごととそれにまつわる化学者が紹介され、この部分が本の核となっています。他には、その月に関係する「化学 花ごよみ・味めぐり」という楽しく、ちょっと物知りになれるコーナーとその月その日生まれの科学者の欄もあります。閏日もあって366日が科学者の誕生日。自分と同じ誕生日にうまれた科学者が誰なのかがわかります。

「世界の化学者12ケ月」6月のページには、スズランのにおいやアジサイ、バラの花の色素について記載。本の下部、黄色く見える部分が年表。

さらに、全ページ通しで科学年表・化学の歴史があり、その最初の事項は「紀元前150億年 宇宙で大爆発(ビックバン)おこる 宇宙に、物質とエネルギーがひろがった」とあります。1982年版の最後は、「1981年 福井謙一博士、ノーベル化学賞受賞(日本)」で、「✳︎このあとは、みなさんが書きくわえてください」となっていました。

復刊までの34年の月日が流れる間には様々な出来事があり、十数項目を新たに追加しました。復刊本の年表の最新事項は「2016年 米大学など国際研究チームが、重力波初観測に成功」です。この次にはどんなことが記されることになるのでしょうか。

理科が苦手という方にも親しみ易い内容になっていますので、是非、日々の生活の中にある化学の世界の楽しさに親しんでいただけたらというのが著者の願いです。