編集室より

2025年10月から併用開始となった藤沢市村岡市民センターで2026年1月25日、「 かこさとしをめぐる人々」と題し講演会をいたしました。

今回は2025年鈴木愛一郎が福井新聞に6回シリーズで連載した「日曜エッセー」を元に鈴木万里が案内役となって鈴木愛一郎がお話しました。

取り上げたのは、直接、間接に かこさとし(1926-2018)が巡り合った人々でその思想や生き様に影響を受けることとなったのです。

上の顔写真、左上から菅忠道(かんだたみち1909-79)、イエンス・シースゴール(1910-91)、田村茂(たむらしげる1906-87)、レオポルト・インフェルト(1910-91)、ヘンリー・スペンサー・パーマー(1838-93)、馬場宏二(ばばこうじ1933-2011)の6人の方々についてでした。

いずれもその人生において戦争やそれに由来する差別や弾圧など多くの苦難を乗り越え学問や教育、文化向上に邁進した、そこに加古は尊敬の念を抱き、自らを叱咤激励していたに違いありません。

会場となった市民センターの多目的ホール入口

定員に近い皆様がお集まりになり、広々としたホールをいっぱいに使ってゆったりお座りいただけました。

メモをとりながら、大きく頷かれながら大変熱心に講師の言葉を聴いてくださり、かこさとしについて知りたいというお気持ちが伝わってまいりました。

最後にご質問にお答えし、講演内容とも関係する絵本複製画5枚について、そのお話の誕生経緯などをお話しいたしました。

お若い方にもご参加いただき、また今回も加古作品を通じて新たな出会い、再会があり大変嬉しく存じました。ありがとうございました。

なお、本講演の元になった福井新聞の記事は当サイトに掲載しておりますので、ご覧いただけたら幸いです。

行事とお話し(3) 節分

投稿日時 2026/01/22

節分・立春については『こどもの行事しぜんと生活2月のまき』に詳しい説明があります

節分の「豆まき」は園やご家庭でされることでしょう。筆者は大人になってからも欠かさず行なっています。

こどもの頃はベッドの上にもまいて、夜寝ながらかじったものです。美味しいというより、いつもとは違うことができる楽しさを味わいました。

そんな節分の夜、豆を拾いにきた子どものお話が『童話集⑤〈日本のむかしばなし〈その2〉』にあります。題して「節分の夜」。

犬が吠えたり、猫が警戒、ネズミがキリキリしますが、その子の様子を聞いて皆拾った豆をあげたり親切にしてくれます。さてこの子はいったいどこからやってきた誰なのでしょう。

このお話しの最後はこうです。
「寒い節分の夜のことです。あすから春がくるという夜のおはなしです。」

この小さなお話しを読んだら、きっとみなさんの心にもほんの少しですが、暖かさが生まれるのではないかと思います。ぜひどうぞ。

いったい誰の手なのでしょうか

「ん」の話

投稿日時 2026/01/16

「ご幸運に恵まれますように!」の願いを込めて「ん」についてです。

しりとり遊びでは「ん」で終わる言葉に注意して遊ぶわけですが、意外と多いものです。いっぽう、「ん」で始まる言葉はそうそう簡単に思いつきません。

ところが、昭和時代の子どもたちが楽しんだ絵描き遊びでは、この「ん」から始まるものがあるのです。それを面白く感じた加古が、なんと絵本の題名にしてしまったのが『んちゃんがまめたべてのあそび』(農文協)で、現在は『遊びの大事典大宇宙編』としてまとめられています。

ご存知のように絵描き遊びでは直線や丸などの線がきや数字、へのへの・・・のようにひらがなも活用しますから、「ん」もこどもたちにとっては使わない手はない、ということなのでしょう。語尾の「ん」も含め、ここぞとばかり見事に「ん」を活用しているのはあっぱれです。

『ありちゃんあいうえお かこさとしの71音』(2019年講談社)には、次のようにあります。

(引用はじめ)
こどもたちのことばの習得は「あいうえお」の順序ではなく、半濁音やマ行の方が先となる。
(引用おわり)

したがって、いわゆるあいうえおと濁音、半濁音の71音で始まる言葉に絵が添えられているのですが、「ん」は次のようです。

五十音図最後の「ん」ですが、カルタではどうなっているでしょうか。
「かこさとし おはなしのほん かるた」(偕成社)では

「とんぼ あめんぼ てんとむし すいれん にんじん あかだいこん」と文章ではなく「ん」がつく言葉が並びますが、残念ながら「ん」で始まる言葉はありません。

『だるまちゃんかるた』(福音館書店)はこうです。
(引用はじめ)
ん、なんだ 
ん、ん、わかった
んとこしょ
(引用おわり)

どの一音もそうですが、「ん」」もその調子や音の長さ、上げ下げでさまざまな感情を伝えられます。「ん」に注目して絵描き遊びやカルタをどうぞお楽しみください。

馬が主人公の紙芝居があるのをご存知でしょうか。
これは実話をもとに1992年全国心身障害児福祉財団のために描き下ろしたもので、全国の施設に寄贈されました。
天然記念物に指定の宮崎県都井岬の馬と地元人々との交流が心にしみる作品です。

『だるまちゃん・りんごんちゃん』(2013年瑞雲舎)は「だるまちゃん」がりんごや人形劇で有名な飯田へ出かけるお話しです。お話の中に人形劇もあるという入れ子構造になっていて、その人形劇で重要な脇役となるのが白馬です。

そして『童話集④日本のむかしばなし〈その1〉』(2023年偕成社)』にも登場します。馬を盗もうとする馬どろぼうがさんざんな目に合うという「のきばとんとん、ふるやのもりぞう」のお話しは笑い話としてよく取り上げられますが、実はこのお話が長い間人々に語り継がれてきた本当の意味について、この本の「はじめに」で加古の言葉を引用してご紹介しております。合わせてお読みいただけたら幸いです。

洋の東西を問わず、かつて生活に重要な役割をはたしていた馬。
「馬力を出して頑張ろう」という現在の私たちの相棒はかつての馬ではなく、いったい何なのでしょうか。

生誕100周年を迎えるかこさとしについて神戸新聞「正平調」で今年生誕100周年の他お二人方々とともに紹介されました。取り上げらた三人のメッセージはいずれも現在の私たちに向けられたものだと結んでいます。

写真の本は豊富な写真と挿絵があり、 かこさとしのメッセージを伝えるものです。特に伝記は小学生にわかるよう平易な言葉で書かれているものの加古の思いの真髄を伝える深い内容ですので、大人の方にもおすすめいたします。

『人間』(福音館書店)のあとがきに添えられた絵は、洞窟絵画の模写

毎年恒例の干支探し、今年は午(馬)。

人類は人力で動かしていた道具を牛馬に頼るようになり農業や輸送などに大きな力を得ました。また、古くから身分の高い人は馬を移動手段として活用していました。

『かこさとし 新・絵でみる化学のせかい⑤未来の化学 資源とエネルギー』の最初の場面を見ると、馬がそこここに描かれ、様々に利用されてきたことがわかります。

海外に目を向ければ、冒頭に載せた洞窟絵画に始まり、ピラミッドの時代、そしてヨーロッパをはじめ世界各地の絵画作品にも数多く見つけることができますので、それを伝える加古作品にも枚挙にいとまがありません。

紀元前1296年カデシュの戦いでのラムセス2世『ピラミッド』より

『万里の長城』より

『絵でみる化学のせかい③』より

日本の古い時代については『富士山大ばくはつ』(小峰書店)や『ならの大仏さま』(復刊ドットコム)などに多く描かれています。

800年ごろの延暦の噴火を見つめる馬を連れた人

864年・870年の貞観の噴火『富士山大ばくはつ』より

聖武天皇の時代745年の出来事『ならの大仏さま』より

お祭りや行事で馬を見ることもあります。
流鏑馬もその一つでしょう。

『こどもの行事しぜんと生活9月のまき』より

また、そうした大切な馬ですから郷土玩具にも登場します。だるまちゃんすごろくで見てみましょう。

「おくにおもちゃめぐり」青森の【やわたごま】

「おくにおもちゃのいろはすごろく」のちゃぐちゃぐうまこ(岩手)

皆様の地域には馬にまつわるおもちゃや逸話がおありでしょうか。

すっかりデジタル、電化生活の中にいる私たちですが、馬をきっかけに人間の歴史を振り返ってみるのはいかがでしょうか。(つづく)

今年2月に発売された『くらげのパポちゃん』(講談社 かこさとし・文 中島加名・絵)を2025年福井の文化回顧の欄でご紹介いただきました。

かこさとしの没後に本作の遺稿(1950年〜55年作)が見つかりました。この作品を創作したことは加古自身が記したの作品リストや存命中に刊行された本のリストにも掲載されていました。しかしながら長い間その所在が分かりませんでした。

コロナの自宅待機期間の終わりごろの4年前に発見されたものの、絵はなかったのです。そこで、孫の中島加名が絵をつけ絵本として出版することができました。

戦後80年という節目の年に絵本の形でかこさとしのメッセージをお届けすることができ、遺族として深く心に残る2025年の出来事となりました。

行事とお話し(2)大晦日

投稿日時 2025/12/26

大晦日で思い出すお話は「笠地蔵」。これは小学校の教科書でも読みました。現在でも載っているようです。

この物語の筋はかえず、加古の言葉で表現したのが『童話集⑤ 』(偕成社2023年)に収録されている「じっさとばっさの年の暮れ」です。

いつ読んでも、つましい暮らしのおじいさんとおばあさんの深いおもいやりに心ふるえ、暖かな気持ちになります。

短いお話です。あわただしい日々ですが、お読みいただけたらと思います。

2025年をふりかえって

投稿日時 2025/12/24

展示会

今年は展示会に恵まれた一年でした。
1月には前年から続く福井県セーレンプラネットでの「宇宙のえほんとおもちゃ 〜かこさとしの科学絵本〜」、3月には「絵本でたどるいのちのふしぎ 加古里子かこさとしxいのちのたび博物館」(いのちのたび博物館)と科学系の展示会場が続きました。これらの展示会では模型や標本と絵が見事に組み合わされ、年齢を問わず楽しんでいただくことができました。

夏には、かこさとし生誕100周年の先取りでもありましたが、この100年間の日本の歩み、特に戦後80周年という節目の年、さらには市制85年の藤沢市の多大なご協力で、市政施行85周年記念事業無料展示会「かこさとし作品展 〜これまでの100年、そして未来へ〜」を藤沢市アートスペース、藤沢市民ギャラリーの2カ所で盛大に開催していただきました。

このことは2025年12月25日号広報藤沢で「2025年の出来事」(7月)として取り上げられています。

広報ふじさわ 2025年12月25日号

また、本展示会を機に加古の生まれ故郷越前市との交流が本格的に始まり、4月の鈴木恒雄藤沢市長の越前市訪問に続き山田賢一越前市長が藤沢市にお越しになられました。越前市広報に令和7年の出来事として掲載されています。

2025年 越前市この1年

いのちのたび博物館での展示会

藤沢での展示会チラシ

また「古往今来・発車オーライ!」(市原湖畔美術館)では常設展示会場に特別に『出発進行!里山トロッコ列車』の原画を春から秋にかけての長い期間展示していただきました。

くらげのパポちゃん

没後7年ながら、新刊『くらげのパポちゃん』(講談社 かこさとし・文 中島加名・絵)を出版がかないました。かこさとしの原稿発見のニュースを伝えていただいてから2年をかけて刊行に至り、その間の様々をNHKのニュース番組などで報じていただきました。

また、本作および『秋』をNHKラジオで朗読していただいたことは、戦後80年の節目の年に貴重なことでした。

藤沢での展示会では、加古の孫中島加名による絵を初披露、関連のトークイベントでは江ノ島水族館のスタッフの方々からのくらげについて貴重なお話しを伺うこともできたのは思ってもみないことでした。

パポちゃん大好き!と、10月下旬、清泉小学校の5年生に招かれて直接お話しする機会をいただき、この交流は深く心に残っております。

11月には藤沢市や奈良県大和高田市の平和式典で朗読していただくなど出版の年に多くの皆様ご披露したり、お目にかかってお話しする機会が多くあり、感謝の念にたえません。

こうして今年も直接にそして公式サイトなどを通じて あるいは各地の書店さんや図書館さんのおかげで、多くの皆様に発信することができ、ご感想や反響を知ることとなり大変励みになりました。誠にありがとうございました。

皆様のおかげで、みのり豊かな一年となり深謝申し上げます。来年はかこさとし生誕100年を迎え、展示会の企画もあります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、どうか佳き新年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます。

絵本館でもパポちゃん刊行にちなんだ催し

藤沢の展示会で初公開

行事とお話し(1)クリスマス

投稿日時 2025/12/18

ある行事がめぐってくると読むお話し。かつて読んでもらったことを思い出したり、もう一度読み直したりするお話。みなさんにはそんなお話がおありですか。

クリスマスといえば筆者は幼稚園の頃に読んだ「マッチ売りの少女」や、チャールズディケンズの「クリスマスキャロル」が思い浮かびます。そしてクリスマスの日に子どもたちに化学のお話をしたマイケルファラデーこそクリスマスの精神を現す科学者であったのではないかと感じます。

上の写真にあるように『世界の化学者12か月』(偕成社2016年)で紹介しています。

クリスマスには、やはりサンタクロースのお話が読みたいという方におすすめは『サン・サン・サンタひみつきち』(2019年白泉社)です。

「ひみつきち」でつくられるたくさんのおもちゃの数といったら!物尽くしというよりそのおびただしい洪水のような数に驚かれことでしょう。クリスマスといわず、筆者は1年中見て楽しんでいます。

夜空をゆくトナカイロケットに注目

裏表紙にもかわいいおもちゃ