編集室より

「かこさとしと地域のつながりを知って、これからのまちづくりを考えよう」のテーマで地域のみなさんと話し合い

加古は、1952年から川崎でセツルメント(ボランティア)活動として毎週日曜日に地域の子どもたちを相手に子供会や絵を描く会を指導していました。

その地域とは、幸区古市場(さいわいくふるいちば)で、三角ひろば(現在の古市場第二公園)で遊んだり、紙芝居を見せたりしていました。

川崎市政100年の2024年4月にはそのことを示すプレートが広場に設置されましたが、地域の方々にその当時の加古の活動や目指していたものを知っていただき、地域のこれからのまちづくりを考えようと、地域に関わる高校生や地元の子どもや子育てに関わる方々が古市場1丁目町会会館に集まりました。

さまざまなアイデアが出され、これを元にどんな企画が今後展開されるのか楽しみです。

三角ひろばでは、暖かくなってきた土曜日の午後ということもあり、子どもたちが遊んだり、犬連れの方々が談笑する姿が見られました。

『リレートーク 言葉の力 人間の力』(2012年 佼成出版社)で加古と対談したこともあり、交流があった中村桂子氏による『今 地球は? 人類は? 科学は?』(藤原書店)が出版されました。副題は「生命誌研究者、半世紀の本の旅」。

帯には、「科学者とは」「人間とは」「こころ」「AI」「戦争」⋯を問う59冊を書評、とあります。

全9章の中の第6章「子どもたちへの眼差し」で、加古里子による『伝承遊び考』全4巻(2006年〜2008年小峰書店)の紹介とそこで加古が訴えている問題提起と警鐘に触れています。

社会や環境が急激に変化している現在こそ、いずれもお読みいただきたい本です。

「孫が絵を付け かこさん遺稿が絵本に」

2025年2月5日に出版された『くらげのパポちゃん』はかこさとしが1950年から55年にかけて書いたもので2021年に見つかり、孫の中島加名の画描によって絵本となりました。

創作当時、かこさとしは目の前にいた戦争で家族を失った子どもの心に寄り添い、「パポちゃん」の大海原での冒険を通して、戦争がもたらした悲しみと憤りを伝えたかったに違いありません。

朝日新聞こどもの本棚 くらげのパポちゃん

みなさんの「こころの玉手箱」には何が入っているのでしょうか。

ヨシタケシンスケさんによる『からすのパンやさん』の思い出が紹介されました。

日本経済新聞 こころの玉手箱 からすのパンやさん

加古にとっては,小学生時代、母から小銭を渡されて、学校前の文房具屋さんで買う、ジャムをぬった食パンを食べるのが大変嬉しかった、と晩年になってからも繰り返し懐かしそうに話していました。

それぞれのパンについては公式サイトの左下にある50周年記念特別サイトをご覧ください。

「友に薦めたいこの1冊コンクール」

読売新聞によると、小学生を対象にした「友に薦めたいこの1冊コンクール」で『ピラミッド』(1990年偕成社)を取り上げた小学6年生が、約4000点の中から最優秀賞(藤嶋昭賞)に選ばれ2月16日に表彰式が行われました。

『ピラミッド』はその建造の歴史、背景、文化などを絵や図表を駆使してわかりやすく、詳細に説明していて、こどもから大人まで読み応えのある大型絵本です。

毎日新聞『ピラミッド』を読んで最優秀賞

2025年2月28日のタウンニュースでも報じられました。

タウンニュース2025/2/28

手ぬぐい

投稿日時 2025/02/02

大正15年生まれの加古は、幼い頃、小川で小魚をとるには、手ぬぐいがもってこいだった、とその手順を詳しく『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』(2021年文春文庫・上)に挿絵付きで紹介しています。

そして若い頃も手ぬぐいを愛用していました。そんな姿が絵本の中に登場しています。
『わっしょいわっしょいぶんぶんぶん』(1973年偕成社・下)の裏表紙、腰に手ぬぐいで子どもを肩ぐるましているのは加古の姿、そのものです。ねじり鉢巻やほおかむり、姉さんかぶりの人もいます。



そして表紙(下)にも手ぬぐいの人、ひと⋯。

2024年に新装版が刊行された『かこさとし新・絵でみる化学のせかい』(講談社)にも、麦わら帽子をかぶり、首に手ぬぐいを巻いた加古が描かれています。

『からすのパンやさん』にも⋯

サイチどんも

パンやが焼けた?!

圧巻は、この面々の手ぬぐい姿!

こちらは2025年1月に重版になった『かっぱとてんぐとかみなりどん』(復刊ドットコム)の最終場面です。昔話の時代、手ぬぐいが必需品だったのがよくわかります。

そんなこんなで、加古作品の一場面が手ぬぐいになったりしました。

当サイトのニュースにも掲載されています。

手ぬぐい

講演会のテーマは先週と似ていますが、今回は特に『秋』の朗読が中心でした。

対象は中学生以上、若い世代の方にも参加いただきました。
かこさとしが体験した戦争について、様々な著作の中に登場する戦争や争いの物語を読みながら、どうして戦争が起きるのかを考えるきっかけとなることを願い、お話ししました。

『秋』(講談社 )の他には、『かこさとし童話集』(偕成社)の1巻「ゾウの王国 アリの王国」の全文、3巻「スピッツベルゲン協会の集まり」、『人間』などの一部を朗読、ご紹介いたしました。

大変熱心にお聴きいただき質問や感想も活発に発言してくださり、戦後80周年の今年、今一度立ち止まって、過去を振り返り、未来を考える時間を持つことの大切さを痛感した一日でした。

化学というと実験室の中でするもの、難しいというイメージをお持ちになるかも知れません。

しかしながら、『かこさとし 新・絵でみる化学のせかい』シリーズ①の本書をご覧いただくと、私たちは、毎日の生活の中で化学を使い、役立てていることが、お子さんたちにもわかっていただけることでしょう。

それこそが化学を専門にしていたかこさとしが伝えたかったことです。
化学ってそういうことなのか?!目からウロコの絵本になるかも知れません。

本書を2025年1月23日、朝日小学生新聞でご紹介いただきました。

朝日小学生新聞 化学のせかい

栃木子どもの本連絡会の45周年を記念して宇都宮中央図書館にて鈴木万里が「かこさとしが子どもたちに伝えたかったこと」というテーマで講演しました。

加古は1983年この図書館で講演をしたこともあり、はじめて伺う場所でしたが、40年以上を経て同じ場所で講演することに感慨を覚えました。

会員の方々と一般の方も参加されて大変熱心にお聴きいただき、講演後もご感想を直接伝えてくださる方々があり、加古の本の話題が続きました。

加古の子ども、少年・青年時代のことやセツルメント(ボランティア)活動、そして『童話集』に込められた思いなど、作品をご紹介しながらの1時間半でした。