編集室より

もちろん「うどん」という植物はありませんので「うどん」の花はないわけですが、うどんは何から作られているのかに興味を持っていただこうというのが、この題名が意図するところです。この本は文のみかこで、前がきにあたる[この本のねらい]には次のようにあります。

(引用はじめ)
「めん類」を描いたこの巻は、食物シリーズの中でも異色の1冊でしょう。
幼い子供は、発達の度合いに応じた合理性と系統性を求めます。草は草色、土は土色と知ると、なぜ水は水色ではなく無色か知りたがります。そばはそばの花からみのると知ると、うどんはうどんの花からできると類推します。こうした疑問や合理性を大事にしながら、おいしさへの関心と正しい知恵がぐんぐん麺類のように伸びて欲しいと作られたのが、この絵本です。
(引用おわり)
それでは、あとがきのご紹介です。これは小さな読者も読めるように全てひらがなで分かち書きとなっています。

あとがき

(引用はじめ)
「めんるい」だけを かいた こどもの ほんは この えほんが はじめてでしょう。
なぜ かいたの?ときかれれば こどもたちが だいすきだからです。 
どうして すきなの?といえば つるつる たべやすいからです。
どうしておいしいの?とたずねられれば おねだりして こんばんの しょくじを「めんるい」に してもらって たべて みれば わかることでしょう。
どうか ためして みてくださいね。
(引用おわり)

そんな訳でうどんが食べたくなったけれど、レシピに困ったら、麺類なんでもおまかせの『からすのそばやさん』(2014年偕成社・上下)にご相談ください。色々ありますよ。ゆうやけうどん、まよなかうどん、みけねこうどん、わんわんうどん、ごちそううどん・・・寒い時には暖かいものが嬉しいですね。

2021/01/07

オーロラ

オーロラという言葉が神秘的に感じられるのは、その光と色が幻想的な上に、宇宙で起きる現象だからでしょうか。 

日本の空では、北海道の一部を除いてなかなか見られませんが、本の中で眺めてみましょう。

宇宙のことですから『宇宙』(1978年福音館書店)で確認すると、30ページ(上)、地球の極の上空にオーロラが描かれています。その原因については38ページに次のように説明されています。
(引用はじめ)
ときどき たいように ばくはつや じきのみだれが おこると バースト とよぶ つよい でんぱや たくさんの りゅうしが あたりに とびちります。そのみだれや りゅうしが ちきゅうに そそぐとき じきあらしとなって つうしんの じゃまをしたり うつくしいオーロラの もとにになったりします。
(引用おわり)

題名にズバリ、オーロラとある『よあけ ゆうやけ にじやオーロラ』(2005年農文協)では、太陽の光と熱に関して、太陽や月のかさ、陽炎や逃げ水、蜃気楼、そして後ろ見返しではブロッケンの輪、反射虹についてもふれています。

そして、さらに太陽の出す電気を帯びた粒による不思議な現象としてオーロラを「たいようかぜと くうきが けいこうランプのように きれいな ひかりを つくったもの」と、紹介しています。

オーロラを背景に物語のクライマックスがおとずれるのは、『サン・サン・サンタ ひみつきち』(2019年白泉社)です。クリスマスのお話でしょ?と思われるかもしれませんが、お話の前半は、クリスマスのために長い時間をかけて氷の下で進む、秘密の作業が次第に明らかになって、きっと目が釘付けになります。そしてオーロラの出現とともに隠れていたものの姿が次々あらわれます。

科学絵本であれ、ファンタジーであれ、オーロラは私たちの心をひきつけることに変わりありません。

2021/01/01

丑、牛、うし

明けましておめでとうございます。
年頭恒例の干支探し、丑年にちなんで牛を見つけましょう。
なんといってもまず第一にあげられるのは『だるまちゃんとてんじんちゃん』(2006年福音館書店)の黒い牛です。上は表紙です。てんじんちゃんは、学問の神様、菅原道真公のことで受験生の合格祈願を込めてこの絵からはじめます。

藤沢市役所1階ホールに新年仕事始めの日から展示するのもこの一枚です。お近くの方は是非ご覧ください。

菅原道真公は845年、丑年の生まれ、亡くなった時に公を運んだ牛が動かなくなってしまったこともあり、爾来、牛は天神様のお使いと信じられているようです。

絵本では「てんじんちゃん」のお手伝いで「だるまちゃん」も牛の世話をしています。

紙芝居に『かわいいモウちゃん』という作品があり、まさしく牛が保育園に通うというかわいいお話です。
牧場に牛がいる絵は『地球』(1975年福音館書店)にもあります。

『あそびの大事典 大宇宙編』(2015年農文協)〈パート3 しかくまぶたちゃんのあそび〉は、〔遊びのどうぶつ大行進〕とあるように、色々な種類の動物による楽しい遊びの紹介があり、{うしさんのあそび}は、「もーいいかい」「もーいいよー」のかくれんぼです。絵の中に隠れている牛の数は何匹でしょうか。

おうし座にはアルデバランという星があり「冬の六角形」の一つであると『子どもの行事しぜんと生活12がつのまき』(2012年小峰書店)や『ふゆのほし』(1985年偕成社)に紹介されています。

七夕祭りの彦星、牽牛の絵が『かこさとし お話こんにちは7月の巻』(1979年偕成社・下)にあります。

牛の文字がつく名前で思いうかぶのが「牛若丸」。『かにちゃんオーエス かめちゃん オーエス』(2007年全国心身障害児福祉財団)というジャンボ絵本では牛若丸が弁慶と現れて、綱引きで力を貸します。

難しい名前ですが僧侶の鞭牛(べんぎゅう)は江戸時代、南部藩大飢饉を目の当たりにし、食料を運搬するには道が必要と自らツルハシをふるって工事にあたりました。『土木の歴史絵本第1巻 くらしをまもり工事を行ったお坊さんたち』(2004年瑞雲舎)でご紹介しています。現在盛岡市民文化ホールで開催中の全国巡回展「かこさとしの世界展」(2021年1月31日まで開催)の会場で原画を展示しています。

郷土玩具の中にも牛がかたどられたものがあるようですが、お正月にお家で楽しみたい『だるまちゃん すごろく』(2016年福音館書店)には、茨城の「わらうし」と福島の「あかべこ」が登場しています。

2021年の干支さがしはすごろくの場面で上がりです。
本年が皆様にとって佳き一年となりますようご祈年申し上げます。

2020/12/25

万里の長城

この年末年始はお家時間が長くなりそうです。そのお供に「6000年の時間と2万1000 km」の長い長い「万里の長城」の歴史を紐解いてはいかがでしょうか。上は『万里の長城』(2011年福音館書店)の表紙カバーです。

カバーをとると、下のような絵が現れます。

文章はかこさとし、絵は中国の常嘉煌さんとかこが分担しました。万里の長城だけあって、出版には長い時間かかり、またそれと同じくらい長い時がかかって、ようやく中国でも出版されました。

現地に行くことはすぐにはできませんが、まずはこの本でこれほど長い時間と空間にわたる壮大な歴史をじっくり味わっていただけたら幸いです。あとがきをご紹介します。

(下は前扉)

あとがき

(引用はじめ)
この本は、長城の大きさや古さを伝えるだけでなく、その背後にある中国の長い歴史とユーラシア大陸との関係がどうであったか、特に、他民族と共存して発展するにはどうしたらよいか、世界じゅうの地域紛争の解決を示す雄大な実例として読んでいただくことを願ってまとめました。また、徒歩で長い距離を歩き通した中国や外国の長城探検家の方々の行動と熱意にはげまされて、日中の文化を愛する者が心を一つにして分担作業してできたものです。

この本を読まれた方が機会をつくり、現地の長城に接し、先人の多くの努力と思いを体得されることを願って終わりとします。では、再見!さようなら!
(引用おわり)
全ての漢字にはふりがながあります。

雪だるまつくりは雪がなければできない遊び、しかも雪質により丸く固められない場合もありますから、これができるのは天の恵みです。とはいえ今年はいきなり大雪に見舞われた地域も多くご苦心されていることでしょう。

雪だるまは、一人で小さく作るもよし、力を合わせて大きく作るのも愉快です。だるまちゃんたちが雪だるまを作る場面から始まる『だるまちゃんとうさぎちゃん』(1972年福音館書店・上)。面白い雪だるまが出来上がり、大喜びのうさぎちゃんたちを見ているだけで、こちらも嬉しくなります。

『ふゆのほし』(1985年偕成社・上)の前扉の雪だるまの目鼻は炭やたどんのようで時代を感じます。

『子どもの行事 しぜんの生活』12月のまきや2月のまき(2012年小峰書店・下)の表紙や裏表紙、前扉にもいたずらっ子がつくったような雪だるまが見えます。この2枚は1月のまきの表紙と合わせて、現在盛岡市民文化ホールで開催中の「かこさとしの世界」展(2021年1月31日まで)でご覧いただけます。

雪だるまができたら次は雪合戦。ゆきのひの遊びは止まるところを知りません。『ゆきのひのおはなし』(1997年小峰書店・下)のさあちゃん、ゆうちゃんたちの楽しそうな様子を見ていた雪だるまたちは、なんと雪合戦を始めます。。。大人が見てもワクワクしてくるお話の絵は、越前市ふるさと絵本館で全場面を展示しています。(2021年3月22日まで、ただし2020年12月28日から翌年1月5日までは休館)

一人ではできない雪合戦は、ちょっと今のご時世では難しいのかもしれませんが、かこが子どもの頃の男の子たちは、それこそ夢中だったようです。その様子を伝えるのが『過去六年間を顧みて』(2018年偕成社)の四年生の時のこの場面もふるさと絵本館で展示していますが、まさにやんちゃの盛りです。

(引用はじめ)
二つ三つと塊が手頭に当たる。五つ目の塊が僕のほっぺたをかすめた。(中略)勝ったと思うとさっきのいたさがなおいたくなった。
陣に帰ってかちどきを上げた。さっきのいたさをわすれて大きな声で
「万歳!」
と叫んだ。今でもそのことを思いだし、雪合戦の愉快だったことをいたかったことをつくづく思い出す。
(引用おわり)

『ゆきのひ』(1966年福音館書店)の校庭では、ニコニコ見守ると先生とその脇で妙に落ち着いている犬と屋根のスズメ。熱戦から外れて長靴の雪を出している子、滑ったり転んだり、雪玉作りに専念したりとその様子は見飽きません。

寒さ厳しい毎日です。どうぞお大事にお過ごしください。

2020/12/13

「つながる」

非常事態宣言が出された2020年春『ならの大仏さま』(1985年福音館書店/2006年復刊ドットコム)をご紹介しました。
8世紀の初め頃、日本は疫病(天然痘)が流行、悪天候や地震もあり世は乱れていました。それをたちきるべく聖武天皇は大仏建立を決意します。

そして752年、全てが完成したわけではありませんでしたが、インドからきた僧侶が大仏開眼法要の式で、
(引用はじめ)
「長さ1.2メートルもある大仏の目に筆で瞳を描きいれます。その筆には五色のひもがついていて、たれたその下に手を添えた聖武上皇・光明太皇・孝謙天皇はじめ、公卿や高い位の役人たちが、開眼の喜びをともにしました。
(引用おわり)

その華やかな様子は下の絵のようでした。金堂の屋根の上から散華が舞い、幟や旗がひらめき、現在で例えるなら、オリンピックの開会式のような華やかさ、といったところでしょうか。

五色のひもで「つながる」ことができ、感激を分かち合えたのは、確かに、お堂の前にぎっしり集まった大勢でしたが、それは限られた身分の人たちだけだったのです。本文には次のようにあります。

(引用はじめ)
しかし大仏建立のために実際に働いた人々は、祭りに参列することもできず、仕事を終えたものは遠い帰路の食料さえ与えられなかったので、途中で死ぬ者もいる有様でした。
(引用おわり)

その後も台座や塗金の工事が続き771年に大仏の光背が取り付けられ、人々のよりどころとしての大仏は見事に出来上がりましたが、国をまつる人々は「つながる」どころか様々な恐ろしい事件が続き、大仏さまも巻き込まれてゆくのでした。

1200年以上経た現在、コロナ禍の中にいる私たちの「つながる」は、いったいどんな状況なのでしょうか。

「かこさとし七色のおはなしえほん」シリーズは〈面白い〉という言葉の〈白〉に注目したかこが、白にまつわる話、そして白だけでなく、黒、赤、茶、青、ふじ、黄そして本作品の紫など各本にテーマの色を決めて作った絵本です。

小さな小さな男の子と女の子は、紫色の深い森に住む紫の服を着たおばあさんに出会い、りんごを食べると姿が変わってしまいます。二人が可愛がっていた犬が助けにやってくるのですが、お話の最後は、その犬のおかげで思わぬ嬉しいことが起こります。かわいい、そしてちょっとドキドキする不思議で楽しいお話です。

はやぶさ2が持ち帰った小さなカプセルに思い重ねて『ちいさな ちいさな ものがたり』のあとがきをご紹介します。

あとがき かこさとし

(引用はじめ)
子供の目から見ると、机や扉や窓や乗り物など、みな高くて大きくて手が届かず、恐ろしいものに映ります。子どもに適した大きさや逆に小さいものに出会うと、親しんだりいつくしむ心を伸ばし、積極性や勇気を持つようになります。小型の模型や意のままになる玩具が、子どもに喜ばれ、成長に大きな役割を持つ理由がここにあります。

そうした小さなもの、可愛い大きさのものを主題にしたお話を、小さな草の根や貝殻から美しい古代色を生み出した紫に託してまとめてみました。
(引用おわり
本文は縦書き、漢字には全てふりがながあります。 

2020/11/26

サンタの帽子

クリスマス気分を盛り上げるものを一つ身につけてください、といわれたら、何を選ばれますか。私は、サンタの赤い帽子でしょうか。かぶればそれだけで、周りのみんなもニコニコしそうです。
『こどもの行事しぜんと生活12がつのまき』(2012年小峰書店)の前扉には赤い帽子のミナ母さん。せいわ父さんは、義士の討ち入りの装束です。

帽子といえば、まず思い浮かぶのはあの場面。『だるまちゃんとてんぐちゃん』(1967年福音館書店)、だるまちゃんがてんぐちゃんの帽子(ときん)を見て、家中の帽子を出してもらい。。。ありますね、赤いトンガリ帽子。

かこが小さい頃、冬はボンボンが先についた毛糸の帽子をかぶっていました。それが影響したかどうかわかりませんが、生涯、頭を守る意味で帽子を愛用していました。

11月7日の編集室・作品によせて〈マスク〉の項でご紹介した『ゆきこんこん あめこんこん』(1987年偕成社)のサンタさんは、おやおや、なぜか帽子や服がびしょ濡れでほしています。(上)このあとがきには、加古の若い頃の写真が載せてありますので、ご覧ください。

世界中の子どもたちにプレゼントを届けるには大勢のサンタが活躍しているとか、クリスマスにまつわる「秘密」を教えてくれる絵本、『サン・サン・サンタ ひみつきち』(2019年白泉社)では、赤い帽子をかぶったサンタさんがずらりと並んで準備万端、夜空の星を背景に、いよいよ世界各地に向け出発です。

上の場面は11月27日(金)から12月27日までの1ヶ月間、越前市のふるさと絵本館でご覧いただけます。お近くの方はぜひお出かけください。

星空といえば『ふゆのほし』(1985年偕成社)の表紙にも、サンタの帽子の女の子が星空を見上げています。
今年はこんな風に夜空を見上げて過ごすクリスマスがいいかもしれません。

2020/12/04

紙テープ投げ

船が出航する場面のハイライトは、なんといっても汽笛が鳴る中、色とりどりの紙テープに縁取られ港を離れる時でしょう。航空路がなかった時代、海外に行くには船しかありませんでしたし、日数もかかるので別れを惜しむ気持ちを一筋の紙テープに込めるのもうなずけます。

コンサートや試合などでもこの紙テープ投げは、ずいぶん頻繁にされていたようですが、令和の時代はどうなのでしょうか。コロナ禍の今となってはテープ投げどころかコンサートもままならず、つながるのは電波によってのみですが、テープ投げの熱狂場面が加古作品の中にあります。

『まさかりどんがさあたいへん』(1996年小峰書店)。何が大変なのかといえば次から次へと道具たちが走り集まり大忙しで働き、出来上がったものでコンサートをするのです。その演奏の素晴らしさに拍手喝采、花やテープは投げられる、おまけに紙飛行機を飛ばすものや写真を散らす者も。その写真はどうやら丸めがねですから加古でないでしょうか!?

興奮のあまり、食べかけのミカンやゴミまで、手当たり次第投げてしまっています。〈良い子のみなさんは、まねしないで下さい〉とテレビならテロップが出てきそうですが、それほどの大変さが「さあたいへん」と繰り返される言葉とともに絵で伝わってきます。この独特のリズム感については福音館書店「こどものとも」12月号の折込付録「絵本のことば言葉のえほん」(下)で取り上げていただきました。

『まさかりどんが さあたいへん』まだご覧になったことがないですか?!
それは、たいへん。こんな道具、あんな道具も走っていて、あわただしい師走にぴったりの絵本です。

2020/11/20

将棋

将棋倒しは危険ですが、もともとは、こまを倒す遊びからできた言葉です。
本来の将棋ではなく、遊びとしての将棋を紹介しているのが『しらないふしぎなあそび』(2013年復刊ドットコム)、かこさとしあそびの本5巻シリーズの最終巻です。

あとがきによると、この本では156、シリーズ全体では573の遊びが紹介されていますが、しょうぎあそびとして、ぬすみしょうぎ、はさみしょうぎ、王ぜめなどがあります。

面白いのは「ふりしょうぎ」で金のコマ4枚をサイコロのように「ばん」のうえでふり、こまの立ち方で点数を決めるあそびです。斜めの小さい面が「ばん」に接して立つと最高得点、こまが重なるとマイナス点。この点数を使って「ばん」中央の王将にたどり着く遊び「おみやまいり」や、4人が角に自分の「こま」を置き進んでゆく「まわりしょうぎ」が紹介されています。

世界各地の不思議な遊びや将棋遊びのほかに碁石遊び、トランプやチェスの遊びもいろいろ掲載されています。お家時間が長くなる季節、こういった古くからある遊びも楽しいものです。