編集室より

【からすのパンやさんサイト】66おさかなパンで、少しご紹介した『すしさしみ貝かに塩やき』(農文協)は、かこのお魚に対する熱い思いが伝わる内容です。

冒頭で「お魚は三しいです」として「あたらしい、おいしい、うつくしい」とかいています。
魚のおろしかたや、2見開きにわたってすしを取り上げ「おすしはおいしい水族美術館」という見出しのように美しく描かれたすしの数々に思わず食べたくなってしまいます。

そのあとがき「タイ・えびすそして海の彼方」をどうぞお読みください。

「タイ・えびすそして海の彼方」

(引用はじめ)
この巻の最後に、タイと名のつく魚たちがたくさん出てきましたが、「あやかりタイ」がこんなにもあるというのは、ことのほか、日本人がタイ好きであるだけでなく、親しみ、あこがれ慕っていることを物語っています。

タイというと、七福神の恵比寿様を思い浮かべますが、エビスという言葉には、野蛮で遅れた者と見知らぬ異人という意味があって、はじめは漁師や海人を卑下したり海岸に住む異人・外人を呼称していたのでしょう。ところが、このなかですぐれたた人や集団ができて、それらのもたらす素晴らしい海の獲物や、技術が注目を浴び、尊敬をもたれ、「様」という尊称をつけてよばれながら、幾世代を経るうちに、その力をたたえる伝承やあやかりたいという祈りが、さまざまな信仰や民族行事をうみだし、ついに渡来人エビスは、海産物と幸福を海の彼方からもたらす神となったのだといわれています。

川の流れの果てや、水平線の彼方に、希望をもち、未来を託していたように、楽しい食事によってすばらしい生活をきりひらかれるよう祈ります。ごきげんよろしゅう。
(引用おわり)