編集室より

2021/03/20

ハチが飛ぶ

かこはハチを好んで作品に登場させています。それは日本の昔話で多く語れているからなのかもしれません。鬼や怖いものに逆襲する手段として、小さななりの一見弱そうなものが力を合わせるとき、ハチもその重要な役割を果たすのは「さるかに合戦」でご存知のとおりです。

『わっしょい わっしょい ぶんぶんぶん』(1973年偕成社・上)のぶんぶんぶんはハチの羽音で古くは万葉集でも「ぶ」という音で表現されていたそうですが、表紙にもハチがいますし、次の部分にかこの気持ちが込められています。 

(引用はじめ)
ぼらの わたしの
おくにでは
うたをうたって
はたらいて
はちまで ゆかいに
ぶんぶんぶん
わっしょい わっしょい ぶんぶんぶん
(引用おわり)

『あおいめくろいめちゃいろのめ』(1972年偕成社)でもハチが重要な役割をしていますので、裏表紙と見返しにズラリと並べています。

調べてみるとハチは驚くほどたくさん種類があることがわかります。その代表的なものが『あそびの大惑星 4いちぬけた にいにげたのあそび』(1991年偕成社)の中にでてきます。この本は数に関する数え歌やあそび、四季、各月の歳時記や自然、お祭りなど風土、生活と総合した遊びを紹介するもので、駄洒落好きのかこらしく8になぞらえています。

(引用はじめ)
【1】 いたいのは スズメバチ
【2】 にげるのは アシナガバチ
【3】 みつをせっせとミツバチ
【4】シシアブだってひとをさす
【5】 いんでゆくベッコウバチ
【6】むかってくるジガバチ
【7】なんども くるのは ハナバチ
【8】はっぱのうえに ハキリバチ
【9】くろい だんごの クマンバチ
【10】 とんだところに トックリバチ
(引用おわり)

シシアブは姿形がハチに似ていて刺すのですが、ハチの種類ではありません。

ジガバチは『ありちゃんあいうえお かこさとしの71音』(2019年講談社・下)にも登場しています。この本の前半は50音に濁音、半濁音の71文字の言葉遊びで、挿絵と言葉が面白く思わず笑ってしまいます。後半はかこさとし初めての詩集になっていて、孫にまごまごしつつ可愛くて仕方がない、じじばかぶりが露呈しています。

話をハチにもどしましょう。もちろん『地球』(1975年福音館書店)には、ミツバチ、ジガバチ、クロアナバチが飛んでいますし、クロアナバチの巣やクロスズメバチの巣なども描かれています。

そして2021年1月に刊行された童話集『くもとり山のイノシシびょういん』(2021年福音館書店)ではイノシシ先生が沢山のハチの針を抜いて治療する場面があります。

最近は都会のビルの上でハチを飼い蜂蜜を収穫する方があるそうですが、皆さんの周りにミツバチは飛んできますか。色々な花が咲き始め、植物の受粉のお手伝いをしてくれるミツバチたちが活発になるのはもうすぐでしょうか。