編集室より

2018/01/04

気になる犬

戌年ということで、犬が気になります。絵本の中に多く見られる子どもと犬の組み合わせを探してみましょう。
上の絵は『あなたのいえ わたしのいえ』(1969年福音館書店)の裏表紙で、このイヌはこの家に暮らし、屋根の上の小鳥同様、家族が増えていきます。

家族の一員として登場するイヌには、ネコと同じように凝った名前がつけられてることがあります。農文協の「食べごと 大発見」シリーズに出てくるイヌはコチいぬ。コチは東風(コチ)で、菅原道眞「東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花」からの命名です。

『子どもの行事 しぜんと生活』(2012年小峰書店)に出てくる茶色の垂れ耳をもつ白犬のマルスは、3月生まれだからこの名前です。

名前はないけれど物語を通して登場するイヌもいます。『たっくん ひろちゃんのちょうちょうとっきゅう』(1997年小峰書店)・下の写真)の白い毛並みに赤いブチは他の動物同様ぬいぐるみという設定です。小さな、たっくん、ひろちゃんと一緒に「ちょうちょうとっきゅう」に乗ってスリルあふれる旅のお供をします。

『だるまちゃんとにおうちゃん』(2017年福音館書店・下は裏表紙)には、だるまちゃんとにおうちゃんちゃん達が境内で遊んでいるのを遠巻きに見ている女の子が、イヌを連れています。

あとがきにもあるように、このお寺はかこさとしが戦後間もなく家族が住んでいた京都府宇治市に戻った際、近くの黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)の境内で実際に見かけた光景を取り入れています。食糧難の時にイヌを連れているのが非常に珍しく思われたそうです。お相撲遊びには加わらないのは女の子だからなのでしょうか。女の子を見つめるかこの視点が本を読む者と同じ側にあるのが感じられます。

この他にも、『とこちゃんはどこ』(1970年福音館書店)の裏表紙のイヌ(下の写真)など、子どもの友達として犬が描かれています。皆さんが気になるイヌはどこにいますか。