編集室より

2020/08/29

浦島太郎

昭和時代の日本では、おそらく浦島太郎を知らない子どもはいなかったのではないでしょうか。絵本を読んだことがなくても、聞いたことがある昔話です。

かこが川崎でセツルメント活動をしていた時のことを綴った中に、この浦島太郎のくだりがありますので、ご紹介します。

(引用はじめ)
。。。子どもたちが「学芸会」をやり出すのをみていると、お天気なのに長ぐつをもって来て、女の子のスカートをはくから妙だなと思ったら、それが浦島太郎の役だったのである。おかしくって脇腹がいたいほど笑ったあと、私は涙が出てきた。この子らは、学校なんかじゃ絶対に学芸会の役なんかまわってこないガキなんだ。それが自分たちで劇をやろうとなったら、たどたどしいけれどセリフを覚え、長靴をきれいに洗い、そのドタくつをはいて、それらしき仕草や演技をし、世にもうれしそうにおじぎをした顔や、そしてまたドタ靴をかかえて満足にかえるーーーその力はどこからでてくるのか。
(引用おわり)

『おもちゃの旅』(ほるぷ新書)の一部ですが『かこさとしの世界』(2019年平凡社)に該当部分は再録されています。

子どもたちの隠れた力の凄さを知ることになった、こどもたち演ずる浦島太郎の物語は、かこにとって特別なものになったに違いありません。

『あそびの大惑星5 こびとおとぎのくにのあそびー遊び宮殿かんらん車ー』(1991年農文協)には表紙(上)にも描かれ、絵探し(下)まであります。

『あそびの大惑星6 どじょっこ ふなっこのあそび ー遊びの水中実験船ー』(1991年農文協)は海の生き物にまつわる遊びが満載されています。その中に、【えにもかけない りゅうぐうじょう】の絵と玉手箱がひっくり返る不思議な紙おり遊びがでてきます。さらに、浦島太郎の3人の弟を絵入りで紹介するという、ユーモアあふれるものまであるのです。

下は【えにもかけない りゅうぐうじょう】の絵。画面左上にいる魚の名はリュウグウノツカイ(龍宮の遣い)。

さて、令和の子どもたちは、浦島太郎のお話を知っているのでしょうか。今一度、昔話を思い出してから、かこさとし作『だるまちゃんととうらしまちゃん』をお聞きください。残念ながら下絵の段階のままで出版されることはありませんでしたが、『母の友』(2018年福音館書店)10月号【ありがとう 加古里子さん!】に掲載されました。YouTubeでご覧いただけますので、以下でどうぞ。

だるまちゃんとうらしまちゃん