編集室より

2023/08/02

絵本で旅気分

夏休み、どこかに出かけたいけれど、こう暑いとためらってしまう方もいらっしゃることでしょう。そんな時には絵本で旅気分を味わってみてはいかがですか。

『出版進行!里山トロッコ列車』(2016年偕成社)は東京の近郊、千葉県の五井駅から房総半島を走る小湊鐵道、里見駅から養老渓谷駅までを特別なクリーンデイーゼルエンジンで運行しているトロッコ列車の旅です。里山の美しい景色を見ながらゆっくり進むので、鳥の鳴き声、今ならセミの鳴き声を風とともに存分に楽しめます。

この絵本では、トロッコ列車の全駅とその周辺の歴史や見どころ、自然や美味しいもの情報まで掲載しているので、本を読みながら、あっちへ寄り道、向こうにも寄り道と、気ままな旅ができます。あとがきの結びにあるように「機を見て里山トロッコ列車に乗車され房総半島の自然と文化を体験されるようおすすめ」します。東京のすぐそばにこんな場所があったのかときっと驚かれることでしょう。

帯にある言葉「千葉県南房総の魅力を伝える列車の旅 それは、全国各地にあるはずの日本の原風景をたずねる旅」に他ありません。

鉄道の始発駅から終着駅までの旅の次は、川の始まりから終わりまでです。『かわ』(1962年福音館書店)は高い山の清水や湧き水が、海に至るまでを追っていきます。山深い渓流、田畑を潤す川、そこに暮らす人々の生活やダム発電の電気が臨海地帯に届くまでもが描かれ、山も海の景色も味わえます。

全場面がつながっている『絵巻じたてひろがるえほん かわ』(2016年福音館書店)は、川の長さを感じられる迫力ある画面が旅気分をいっそう盛り上げてくれることでしょう。

普段行けないところを訪ねるのでしたら、『海』(1969年福音館書店)。潮干狩りをする浅瀬から、ついには大深海や南極まで訪ねることができます。

『地球』(1975年福音館書店)も同じように、地中の奥深く、果てはマントルのさらに中の地球の核にまで至り、太陽系の惑星を見ることになります。いずれの絵本にも、四季が描かれ、歴史的なものも織り込まれていますので、ページをめくたびに時空をかける旅となるのです。

そして『宇宙』(1978年福音館書店)。高層ビルを窓越しに見て、のみの大ジャンプを皮切りに、ついには地球を飛び出し「うちゅうせんの まどから つきが よくみえ」る宇宙旅行が始まります。
なんの訓練も準備も、荷造りもせずに、太陽系を遠くに見て銀河を見渡し、光の速度で1億年、そして最後には150億光年の宇宙のはてまで連れいってくれるのです。宇宙までふらっと一人旅、いかがでしょうか?