お知らせ

2016

かこ作品の中でも最も古い時代に属する「かっぱとてんぐとかみなりどん」(2014年復刊ドットコム)の全19場面と表紙・裏表紙を展示いたします。

登場するのは題名そして表紙の絵にある通りの面々と裏表紙に描かれたとうべいと息子のとうへいです。昔むかし、かっぱとてんぐとかみなりどんに難題をふっかけられ困り果てたとうべいを息子の機知が救います。

著者のあとがきをご紹介します。

(引用はじめ)
この物語は昭和30年、子ども会でおこなった〈素話〉がもとになっています。その後、手描きの紙芝居を作り、のちに童心社から、印刷、市販するに至りました。その筋は、昔話や「吉四六(きっちょむ)さん」「曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)」や「一休さん」に見られるとんち話、ちえ話の系列ですけれど、そうした話を、たんに「うまいことをしておもしろいな」で終わらせたのでは、いちばん大事な点がぬけたように考えます。

私たちふつうの人間、庶民は、なんとかその日その日を平穏におくりたい、家族が無事であればと思っているものです。その力もよわく、小心でささやかな人間が、時にまなじりとさいて何かをめざし、がんばり、執念をもつには、それなりの強い理由、たちあがらずにはおられなかった怒りや苦しみや呪いといったものが、その裏に必ずあるのだ、その人の心の中に渦まいていたのだということをぬきにしたのでは、それは意味のない「うそつき話」や「わらい話」となってしまいます。
この本を読んでくださる方が、もし、いわれのない不当な苦しさをしいられ、つらさの底におとされた時、どうするか、どう考え、行動しなければならないかを、この本でーーーこのシリーズの中で問いかけたいと思ってかきました。楽しい面白さに秘めた呪いの話であり、おどろな人間の怨念のものがたりです。
かこさとし
(引用終わり)

あとがきにもありますが、正確な時期は以下の通りです。

1955年にセツルメント活動で素話
1959年に手描き紙芝居をセツルメントで演じる
1960年紙芝居「てんぐとかっぱとかみなりどん」として童心社より出版。ただし、画はかこさとしでではない。
1978年絵本「かっぱとてんぐとかみなりどん」(かこさとし作・画)が童心社より刊行される。2014年上記を底本に復刊ドットコムより復刊。

お気づきのように、紙芝居の題名は「てんぐ」で始まっています。加古は当時から「てんぐ」を主人公にした物語を書けないかと探っていたのです。そしてうまれたのが主人公をだるまちゃんに譲り、てんぐちゃんが相手役となる「だるまちゃんとてんぐちゃん」(1967年福音館)でした。

そのことは、前扉と後扉の絵をご覧いただくとおわかりになることでしょう。
前扉にはてんぐのうちわ、後扉にはてんぐの履き物一本歯の下駄にからすが描かれていて、その後の加古の作品を予見させるようです。

上は前扉、てんぐのうちわ。
下は、あとがきに添えられたたてんぐの下駄。からすがいることで、この絵の表情・表現が物語の最後を余韻をもたせ締めくくる大きな役割を果たしています。

いよいよ来年はだるまちゃん誕生50周年を迎えます。
それにちなみ、だるまちゃんにつながる本作品を一足先に展示いたします。題字とともに絵の独特のタッチをお楽しみください。

尚、絵本館は展示替えのため11月16日は休館となります。

本の帯には「人生をより豊かにするヒントがつまった、日本を代表する文化人14人の滋味あふれるエピソード」とあります。

新聞に掲載されたロングインタビュー「この人に聞きたい」シリーズを収録したもので加古のインタビューは2013年9月に掲載されたものです。

見出しに〈子どもたちに僕の償い〉〈子どもに弟子入り〉〈将来を見通す力〉とあるように、子どもさんへの思いを語る言葉は深く胸に響きます。

楽しみな広場「まだ内緒なの?」かこさん監修詳細来年3月に

かこさとしが監修のお手伝いをする越前市武生中央公園の整備が進み、2017年夏に「市民の広場」が完成の見込みとなり、大型遊具など関心事について報じています。

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016110702000199.html

ただいま開催中の広島県福山市ふくやま文学館での「「かこさとしの世界展」に関しての記事が掲載されました。以下でご覧になれますが、有料の会員登録が必要です。会期は11月23日8水・祝)まで、詳しくは当サイトのトップ・展示会情報にてご案内しております。

http://www.sanyonews.jp/article/435985

藤沢市の図書館にイラスト寄贈、特設コーナーも

10月25日に開館30周年を迎える藤沢市民総合図書館に記念として「だるまちゃん」や「からす」のイラスト入りメッセージを寄贈。かこさとしの図書館に寄せる思いや今後の活動にも触れる。

http://www.sankei.com/region/news/161022/rgn1610220046-n1.html

鈴木恒夫藤沢市長と (写真提供:加古総合研究所)