お知らせ

かこさとしのデビュー作『だむのおじさんたち』(1959年福音館書店/2007年復刊ドットコム)の全9場面と表紙・裏表紙が一望できるように展示されます。

春夏秋冬の自然を織り込んだ場面の展開とそのメリハリが一目でよくおわかりになることと思います。

表紙には、おじさんと子供たちが遠くを見つめ指差しています。最後の場面で描かれるのは、ダムで発電された電気を送る鉄塔と送電線。実はこの場面は最初は違う絵でしたが、表紙との呼応を考えて描き直しました。

描き直す前の絵、つまり絵本としては使われなかった絵も今回は特別に展示しています。それは、1枚の絵としてみれば春爛漫の素敵な光景ですが、ダム建設に関わるこの物語の主人公はやはりおじさんと、おじさんを支える家族、といいうことで現在の絵になりました。

こどものとも(復刻版)の表紙、「だむのおじさんたち」は小さく書かれている。秋の景色。

表紙のおじさんと女の子が、穏やかな春にダムの完成を祝う最終場面。

すると、その前の雪景色の場面との色の対比、調子と言った方が良いでしょうか、がよくありません。ということで最終場面の描き替えに伴い、その前の場面も構図は同じで色合いを変えて描き直しました。

1冊の本、物語の流れを考えた末の描き直しが成功している実例をぜひゆっくりご覧いただけたらと思います。

各場面に入れられたサインの「さ」やそれに変わるものにもご注目ください。

背景をしっかり描き、それぞれが1枚の絵のような完成度で描かれたデビュー作のなかで第3場面のみは、背景はナシにしてダム建設に使われる工事車両と工事を手伝うかのような動物が描かれ子どもたちの関心を惹きつけています。

この場面同様に、背景をほとんど描かない場面で構成されているのが、代表作『だるまちゃんとてんぐちゃん』です。今回は7場面をその下絵と共に展示します。下絵には加古の手書き文字で文章が書かれ、絵の配置など、試行錯誤の様子がうかがえます。

そしてもう一つのお楽しみは運動会シーズンにちなみ、『どろぼうがっこうだいうんどうかい』も3枚ですがご覧いただけます。 ご期待ください。

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  • 2025年9月5日(金)〜12月1日(月)越前市ふるさと絵本館の新展示「かこさとしさんデビュー作を味わおう!」