作品によせて

サインは、「さ」
画にサインを入れるかどうか、画家さんにより個性やこだわりがあるようですが、加古の場合スケッチなどは、完成とおもったら、入れたようです。これ以上は加筆しないという自分への確認とでもいうのでしょうか、自分の描きたいものができたという満ちたりた瞬間の印。才能のない私は、そんな気持ちになれたらどんなにか幸せなんだろうと想像します。

デビュー作品「ダムのおじさんたち」(1959年 福音館書店)は、精魂込めて描いた一場面一場面や前・後扉にサインが入れられ、時には画面中の様々な物に大きく「さ」。初期の頃の作品に特にサインが多く、「かわ」(福音館書店)裏表紙には「1962さ」と制作年も入れてあります。ちなみにこの地図は全て加古の手描き、等高線、記号、文字も。「はははのはなし」「とこちゃんはどこ」(いずれも1970年福音館書店)では本文最終ページにあります「さ」。

サインではなく、さりげなく名前を書き込んでいる場合もあって、「あかいありとくろいあり」(1973年偕成社)のビスケットメーカーは、、、

海外版(アジア圏)にするとき、このサインは取ってほしいとのことでやむなく了承したこともありますが、サインがアルファベットだったら、そういうことはなかったかもしれません。「あなたの家わたしのいえ」(1969年 福音館書店)の大きな「さ」はフランス語版でもしっかりそのままです。字に見えなかったのかもしませんけれど。

このサイン、いつ頃から始まったのかというと絵本作家としてデビューする以前からサインは、さとしの「さ」。最近はサインをいれることも少なくなってしまいましたが、「この本読んで!」2014年春号表紙に。円形の画面指定があったのでこの位置です。お持ちの本にあるサインの「さ」、大きな「さ」、一つと言わず、たくさん見つけてください。「カラスのパンやさん」(1973年偕成社)、パンやさんに向かうからすたちの中にも、ほら!
「あそびの大宇宙」(農文協)147ページの重箱にも!

左:「だむのおじさんたち」10ページ、右「からすのパンやさん」より

「この本読んで!」2014年春号、真ん中の犬の足下に小さな「さ」

「あそびの大宇宙」(農文協)より