編集室より

2024/05/19

絵本の題字

絵本の題字は、デザイナーさんや装丁の方がその字体や色をデザインすることが多いようですが、加古は題字を自らかいたりデザインをしたりしていました。

小峰書店から出版されているお天気の本5冊(1997〜98年)は、その良い例です。
タイトルの文字に雨、かぜ、曇りをイメージして線が入っています。

下右側『はれのひのおはなし』は題名の文字が光っているように見えますが、これも線を入れてそのように見えるようにしているからです。左の『ゆきのひのおはなし』では雪がたくさん降っています。

下の2冊の題字は加古の書き文字で『あさですよ』は豆をイメージした◯が字にも表紙の下部にも描かれています。『あかですよ』の方は海の中のタコのお話なので、同じ◯でも泡のイメージです。

『まさかりどんがさあたいへん』(1984/1996年小峰書店)は、大木を切り倒してピアノを作るまでを描いていますが完成までには数多くの道具を使います。電動ではなく手で切り出したり彫ったり。そのイメージとこの手書き文字はピッタリです。

『とこちゃんはどこ』(1970年福音館書店)の題字も手がきのシンプルなものですが、黒でも茶色でもなく白抜きで一部のみ彩色されていて表紙全体とのバランスも良く、軽快なイメージで洒落ています。

様々なフォントがある現在にあって、こういった手がきの題字がかえって新鮮に思えるのは筆者だけでしょうか。



他の作品に見られる手書き文字については(2018年のご紹介ですが)以下をどうぞ。

手書き文字