編集室より

「うらしまちゃん」は日本の昔話の三太郎と言われる、金太郎、桃太郎、浦島太郎、その浦島太郎のことです。

幼い頃、この三太郎の話を聞いて、熊にまたがる金太郎や鬼退治をして金銀珊瑚の宝物を持ち帰る桃太郎にも驚きましたが、竜宮城に行きお土産にもらった玉手箱を開けると、あっという間に若い浦島太郎がお爺さんになってしまうというところに衝撃を受けました。

『あそびの大惑星6どじょっこふなっこのあそび』にはこんなページも

それから半世紀以上過ぎた2018年、加古がなくなる一月半くらい前に、加古をまじえて浦島太郎の龍宮伝説が話題になりました。各地にゆかりのお寺などがあり中国にも似ている話があるとか、あちこちに話は飛びましたが、そのきっかけとなったのは加古が書き終えていた「だるまちゃんとうらしまちゃん」の原稿を読ませてもらったからでした。

その原稿には絵はなく、簡単な線画の下絵のようなものが添えてありました。玉手箱はどんなイメージかという問いかけに加古がサインペンで描いたりして楽しいお茶の時間がすぎていきました。ほどなくして加古はこの世を去り、 7年以上も前のその時のことを思い出すとまるで竜宮城にいたかのような錯覚がします。

「だるまちゃんとうらしまちゃん」はその年、2018年の10月号「母の友」(福音館書店)に掲載していただきました。そして2022年出版の『こどもに聞かせる一日一話』(福音館書店)にも収録されています。

「うらしまちゃん」からもらった玉手箱を開けると、さてどうなるのでしょうか。お楽しみください。