編集室より

お家にいよう!
そんなメッセージを込めて、かこ作品の中から「いえ」に関連する絵本のあとがきをお届けする第2回めは『あなたのいえ わたしのいえ』(1969年福音館書店)です。

モダンな絵ですが出版まもない頃フランス語に訳され、描かれてから半世紀以上経た現在は中学の技術家庭科の教科書でも紹介されるなど、長年にわたり読まれています。

尚、今回ご紹介する「あとがき」は東日本大震災の後に書かれたものです。

あとがき

(引用はじめ)
家の造りを屋根、壁、出入口、床、窓の順に述べたこの本を見て、専門の建築家はきっと笑われるでしょう。しかし、まだ戦災の名残が残っていた当時、浴室、台所、トイレのない寄宿舎などに住む人が大勢いたのです。そうした所の子に「自分が住んでいる所も立派な家だ」と思ってもらえるよう描いたのが、上に述べた5つの要素となりました。その後、各地で災害が起こるたび、特に2011年3月11日に起きた東日本大震災で、体育館や仮設住宅に居住している子どもたちの様子を当時と比べ、胸が痛む思いです。加古里子
(引用おわり)