編集室より

約40年前、1975年出版のこの本の「あとがきーおうちの方や先生方へ」には、加古の歯に衣着せぬ思いが記されています。
どうぞお読みください。

あとがきーおうちの方や先生方へ

(引用はじめ)
お正月は、もちろん一年のはじめの月です。ですから、昔も今も、過ぎた年の無事を祝い、みのりや努力の結果が良くなるよう、新しい年への願いをこめる大事な月です。それらが新年の行事となり、食事や風習、遊びなど、生活全部にわたって行われてきました。古くさいとか迷信とかいうまえに、そのように自分の生活に真剣に立ち向かっていた先祖の姿勢を私たちは、今、科学が発達して便利になった中で、方法こそちがえ、もっと受けつぎ発達させていかなければならないのではないかと考えます。そうした考えから、できるだけたくさんお正月にちなむものを、このまきにとりいれました。

また、グリム、ペロー、キャロル、ミルンといった児童文学作家や、セザンヌ、ミレー、黙阿弥、マネ、白秋、シューベルトなどの芸術家と関係深い月ですので、それらのことにもふれました。


子どもたちをつつむ、社会や環境を、子どもたちの力や才能を充分のばしていけるよう整備するか、逆に、文化の名に値せぬ非建設的なタイハイ的な状態のままにしておくかは、一に今のおとなたちの態度にかかっています。親たちがかしこく、誠実で、人生に真剣に立ち向かうかどうか、それが、これから何十年後かの子どもたちの時代を、真の幸福な時代へと発展させることでしょう。

ご自愛とご活躍をお祈りします。
(引用おわり)
本文は縦書き、漢字にはふりがながあります。