編集室より

いよいよ梅雨入りで、雨の日の3点セット、傘、長靴、そしてレインコートが活躍しそうです。加古流に言うと、コウモリ、ゴム長、カッパ。

ゴム長はゴム長靴。そう、だるまちゃんのお気に入りです。
『だるまちゃんとかみなりちゃん』(1968年)のこの第1場面、前扉につづき長靴姿で登場します。以来、うさぎちゃん、とらのこちゃん、だいこくちゃん、てんじんちゃんとお友だちになるだるまちゃんはいつでも黒い長靴姿。

かこは、雪国生まれですから、長靴はずいぶん履いたことでしょう。当サイトのプロフィールに掲載している、木馬に乗っている幼少時の写真を見ても足元は長靴です。雨や雪のお話では当然長靴で登場するので、それがだるまちゃんの一つのスタイルとして、てんじんちゃんまで続いていたのかもしれません。

『だるまちゃんとやまんめちゃん』(2006年)の表紙では運動靴ですが、この時はサッカーボール片手に遊びに行くのですから長靴は不向きですね。

話はそれますが、この前扉で、だるまちゃんの妹、だるまこちゃんがかかえている本の題名は、手で隠れている部分があるものの「むかし やまんば」と読めます。やまんめちゃん登場を示唆するようです。

おかあさんは手にコショウのボトルのような、あるいは塩でしょうか、を持っていて、この二人はスリッパを履いています。やまんめちゃんのおばあさんにお見舞いのネーブルを届けるあたりといい『だるまちゃんとてんぐちゃん』(1967年)のちゃぶ台から比べると現代風になっています。

長靴の話に戻りましょう。『やまんめちゃん』(下)でも、雨の日には、やっぱりいつもの長靴です。

やまんめちゃんの次作『だるまちゃんとにおうちゃん』(2014年)では、お寺の境内で相撲遊びに興じること、この物語の時代背景が「作者のことば」にあるように戦後間もない頃ということもあり素足で力くらべをしますが、長ぐつ姿は健在です。(下・松の葉で葉っぱ相撲)

2016年刊行の『だるまちゃんと楽しむ日本の子どものあそび読本』と『だるまちゃんしんぶん』では長靴と運動靴のだるまちゃんが見られますが、2018年の三作『だるまちゃんとはやたちゃん』『だるまちゃんとかまどんちゃん』『だるまちゃんとキジムナちゃん』では長靴は見当たりません。

雨の季節、長靴を履いたら、どうぞだるまちゃんを思い出してください。