編集室より

過ち繰り返さぬ 創作の源

〈私はちいさいときから、秋がだいすきでした。
 ところが、そのすてきな秋を、
 とてもきらいになったときがありました。
 とてもいやな秋だったことがあります。〉

こんな引用からはじまる福井新聞文化欄【作家と戦争ふくい戦後80年下】ではこの作品で描かれた戦中、戦後にかこさとしが目にし、感じ、考えたことをかこさとし自身の言葉を紡いで伝えます。

「手のひらを返すように平和を語るようになった大人たちに絶望し」自らの判断を後悔、「子どもたちには自分の頭で考え、自分の力で判断して行動してほしい」との思いで創作を続けた、と紹介します。

戦争の話を作りたいと最後まで繰り返していたかこさとしが遺した『くらげのパポちゃん』(2025年講談社)にも触れ、秋の最後にある「戦争のない秋の美しさが続きました」という文章をうけ、この記事はつぎのように結んでいます。

「再び訪れた美しい秋が未来永劫続くよう、我々に強い覚悟を求めている。」


2025年8月20日福井新聞 作家と戦争

写真は藤沢市アートスペースで8月24日まで展示の『秋』原画。

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