編集室より

展示会情報

「戦争って・・・どう伝える? 絵本で、司書おすすめの4冊

福井新聞、戦後80年のコーナーで、子どもたちにどうやって戦争の悲惨さや平和や命の尊さを伝えたら良いか、を考えるコーナーで、子どもの心理に詳しい識者のアドバイスなどと共に福井県立図書館の司書の方が薦める絵本が紹介されました。

その中で取り上げられたのが『秋』(2021年講談社 )。
この絵本は終戦の前年1944年の秋、美しい青空に起こった悲劇を描いています。18歳のかこさとしが目撃した実話です。
描写の中に流血やご遺体などはありませんが、小学生でしたらこの出来ごとが意味することを理解できることでしょう。

8月24日まで藤沢市アートスペース(最寄り駅は辻堂)で4枚の絵を展示しています。お近くの方はぜひご覧ください。

「パポちゃん」をつくろう!

投稿日時 2025/08/12

『くらげのパポちゃん』が簡単に作れます!
考案したのは越前市ふるさと絵本館の山本さん。

2025年4月26日の絵本館の開館記念の日(お誕生日と呼んでいます)、新しい展示「祝・刊行 最新刊『くらげのパポちゃん』」にちなんで、みんなで作りました。

作り方を教わってから、それぞれ自分のパポちゃんの目をつけたり、かざりをつけたり。世界でたった一つの自分の「パポちゃん」が出来上がりました。

微調整に余念がありません

キラキラをたくさんつけてハナガサクラゲのようですね

ミズクラゲの特徴、かさにある4つの模様を再現!

その楽しさを藤沢でも、ということで藤沢市民ギャラリー(藤沢駅南口)「かこさとし作品展」の写真撮影コーナーのある部屋では工作を楽しめます。
目印はこの「だるまちゃん」。

「パポちゃん」工作キットも用意してありますのでお声をおかけください。

「だるまちゃん」がなんでこんなに驚いるかというと、越前和紙に皆さんが書いてくださった「すきなえほんのタイトル」がすでにもうこんなにたくさん!! ありがとうございます。

この部屋には、ほかにも遊べるものが用意されていますし、絵本もお読みいただけます。「だるまちゃん」たちと一緒に楽しいひと時をどうぞ!

皆さんのお好きな絵本⋯からすのパンやさん、だるまちゃんとかみなりちゃん、どろぼうがっこう、とこちゃんはどこ⋯パポちゃんもいます!!

『くらげのパポちゃん』(2025年講談社)はかこさとしの文に孫の中島加名が絵を描きました。
戦争で父親を亡くした少年が立派に成長したことを伝えようと、「くらげのパポちゃん」が大冒険をして、海に眠る少年のお父さんを探す物語です。

戦争を知らない世代に戦争のことを少しでも知るきっかけになればという願いを込めて出版されました。藤沢市アートスペース(辻堂駅北口)「かこさとし作品展」では初公開『くらげのパポちゃん』の絵3点を展示しています。こちらの会期は24日までです。

⭐︎市民ギャラリーでの展示会は19日(火)のみ休館、23日(土)までです。

『あおいめ くろいめ ちゃいろのめ』(1972年偕成社)は加古がまだ絵本作家としてデビューする前、川崎でセツルメント(ボランティア)活動をしていた時に作った作品です。

登場するのは、あおいめのめりーちゃん、くろいめのたろーちゃん、ちゃいろのめのばぶちゃん。みんな何をして遊ぼうかと考えて、それぞれ好きなものを提案しますが⋯

ご覧のように色紙を切り抜いて作った作品です。その経緯については是非以下をお読みいただけたらと思います。

『あおいめくろいめちゃいろのめ』 あとがき

その続編が40年余後に出版された『あおいめのめりーちゃんのおかいもの』(2014年偕成社)です。

めりーちゃんはお母さんとかいものに出かけます。今日は特別に買いたいものがあるのです。洋服屋さん,文房具屋さん八百屋さん、肉屋さん、色々なお店でかいものをして、家に帰って準備です。何の? それは読んでのお楽しみです。

ただいま藤沢市アートスペースでは下の絵の他、もう一枚を展示しています。
野菜の並んでいる台の部分はかこさとしのふるさと越前市の特産、越前和紙を使っています。会場でぜひじっくりご覧ください。

絵本みたいな本物の世界

2025年8月9日、テラスモール湘南で開催された「おでかけえのすい」トークイベントでは新江ノ島水族館くらげの専門である足立さんに『くらげのパポちゃん』の絵を描いた中島加名がミズクラゲや海の生き物についてお尋ねし、ご説明いただきました。

会場にいらした方々からのご質問もあり、ミズクラゲの実物や画像でヤドカリなどを見ながらの説明に、なるほどとうなずく方もありました。

水槽にはミズクラゲのほか、ハナミノカサゴやクマノミなどもいて大人も子どもものぞきこんでは写真におさめていらっしゃいました。

この催しは8月20日までです。
会場には『くらげのパポちゃん』(講談社)や『クラゲのふしぎびっくりばなし』(小峰書店)のほか、海の生き物にまつわる絵本もあり、海の中の世界を楽しめる空間になっています。

「パポちゃん」はミズクラゲという種類のくらげです

ご存知クマノミ

会場にはハナミノカサゴに扮装できる衣装もありますす

またこの会場があるテラスモール湘南の道路を挟んで斜め向かいにある藤沢市アートスペース(ココテラス湘南6階)では「かこさとし作品展」を24日まで開催中です。

上記2冊の本の絵もご覧いただけます。初公開の『くらげのパポちゃん』をどうぞお見逃しなく!

「かこさとし作品展〜これまでの100年、そして未来へ〜」の見どころご紹介

7月8日藤沢市アートスペース(辻堂)での展示が始まりました。

2会場で開催の本展示会ですが、まずは70点を超える藤沢市アートスペースの【見どころ】をご紹介しましょう。
(8月6日から開催の藤沢市民ギャラリーの展示については改めてご案内いたします)

辻堂の藤沢市アートスペースでは「わたしたちのまち」をテーマにしています。市政85周年を迎えた藤沢、そして日本中のあるいは世界の「わたしたちのまち」にも思いを馳せます。

【見どころその1】
初公開作品が展示のおよそ4分の1を占めます。
その中には今回のテーマとなる歴史に関して『わたしたちのまちです みんなんまちです』(1987年童心社/復刊ドットコム)の7枚や、かこが小学3年生の時にあった東北冷害・飢饉に関しての絵『ヒガンバナのヒミツ』(1999年小峰書店)ほか、『童話集』(2023-24年偕成社)の挿絵、『秋』(2021年講談社)や本年2月に刊行の最新作『くらげのパポちゃん』(講談社かこさとし・文、中島加名・絵)も登場します。

【見どころその2】
初公開ではありませんが、ほとんど展示されたことがない珍しい絵もあります。
例えば1983年に童心社出版(現在は復刊ドットコム)された『しんかんせんでも どんかんせんでも』は当時の二色刷りの過程がわかる絵が並びます。

一方非常に色鮮やかで大きな『宇宙』の2枚の絵や日本科学未来館での展示会ポスター用に描かれたキャラクターがたくさんの絵も見応え十分です。

【見どころその3】
『だるまちゃんとかみなりちゃん』の表紙を除く全場面を展示、その下絵も合わせてご覧いただけます。下絵にはかこが鉛筆で書いた文があり、本描き直前でも推敲している様子がわかり出来上がった絵と見比べられます。


他にもまだまだありますが、それは会場でのお楽しみ⋯
お楽しみといえば、かこさとしの生まれ故郷、福井県越前市と藤沢市がかこさとし生誕100年をコラボしてお祝いするということでスタンプラリーを開催します。越前市と藤沢市の会場でスタンプを集めるともれなくプレゼントがあります。詳しくは会場ででどうぞ。

越前市の絵本館や公園をご紹介コーナーもありますので、この夏に越前行きを計画されてはいかがでしょうか。

*本展示会会場でのギャラリートークはありませんが、7月12日(土)午後2時〜3時半市民文化会館での鈴木万里の講演会にて、展示作品にまつわるお話をいたします。ご興味ある方はぜひご参加ください。

7月12日 講演会「未来につなぐこころのかたち 〜絵本でたどる思い〜」

2021年10月3日まで東京都町田市民文学館ことばらんどで開催の「つながる・つながれ!のりものえほん展示」で、『地下鉄のできるまで』(1987年福音館書店)の表紙を含め5枚の複製画が初披露されています。
乗り物好きの皆様だけでなく、季節の変化やそれにともなう人々の暮らしも描きこまれ、機械以外のところにも見所があります。
この展示会には鈴木まもるさんの「ピン・ポン・バス』の絵など船や新幹線など乗り物がたくさんです。
10月3日まで、「お乗りの方はお急ぎくださ〜い。」

「かこさとし絵本展in豊岡」2021年7月17日〜9月26日

「コウノトリ舞う豊岡にだるまちゃんたちがやってくる!」
ポスターやチラシにこうあるように、豊岡はコウノトリの保護や繁殖を全国に先駆けて取り組んできましたので、本展示会の注目は『コウノトリのコウちゃん』(2017年小峰書店)の原画全場初公開です。この本は文、絵共にかこが手がけた最後の作品です。また、コウノトリをデザインした手ぬぐいの下絵もご披露致します。下絵の段階で、かこは亡くなってしまいましたが、これを元に手ぬぐいを作ることができました。

豊岡の豊かな自然に通じる『かわ』や『おたまじゃくしの101ちゃん』の伸びやかな絵もお楽しみいただけます。
詳しくは以下をどうぞ。

かこさとし絵本展in豊岡

2021年7月19日、神戸新聞で紹介されました。記事は以下でどうぞ。

神戸新聞

2021年8月1日、日本海新聞で紹介。以下でどうぞ。

日本海新聞

2021年9月4日兵庫県サンテレビ「コウノトリと共生する豊岡を描く 絵本の展覧会」

豊岡 コウノトリのコウちゃん他

2021年9月7日 NHK 兵庫県のニュース「かこさとしさん展覧会コウノトリ絵本の原画など展示」

NHKニュース 

2021年7月23日 東京新聞(千葉版)でも紹介

市川市文学ミュージアム「かこさとし展 ーこどもは みらいにいきるひとー」2021年7月17日〜9月20日

ポスターやチラシにもあるように、市川市を走る小湊鉄道を舞台にした『出発進行!里山トロッコ列車』(2016年偕成社)の原画に注目です。
もちろん、「だるまちゃん」シリーズ(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)やその続きのお話をはじめ、かこにとって大変思い出深い『わっしょいわしょいぶんぶんぶん』(1973年偕成社)からは展示会では初めてご覧いただく場面、それに『まさかりどんがさあたいへん』(小峰書店)もあるのですから、さあたいへんです!

まだまだあります。2019年の復刊以来、この本の虜になる人が急増している『サン・サン・サンタひみつきち』(白泉社)の全場面展示。これも初めてですから必見です。今からサンタ?と思われた方、今からすでにサンタはクリスマスに向けて一生懸命なんです。その秘密基地の様子を是非、じっくりご覧ください。
以下のMOEニュースでもご紹介しています。

市川市文学ミュージアム かこさとし展

市川市からの情報は以下です。

市川市文学ミュージアム

こちらもどうぞ。

市川市文学ミュージアム グッズ情報

2021年8月11日毎日新聞(千葉)でご紹介。以下でどうぞ。

毎日新聞 市川市文学ミュージアム

2021年8月24日 読売新聞(東京) かこさとし 市川で企画展

市川市文学ミュージアムで開催中の「かこさとし展 ーこどもはみらいにいきるひとー」を紹介、9月20日まで。

2021年9月9日 東京新聞 TOKYO Web みんなで絵本にワクワク 市川で「かこさとし展」 「小湊鉄道沿線の旅」原画など紹介

東京新聞

全国巡回・福井  

福井ふるさと文学館2021年7月16日〜9月20日

全国巡回展、2021年夏は福井県ふるさと文学館(福井市)で7月16日から9月20日まで開催されます。
副題の通り、だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合。本巡回展では、原画も多く飾られますのでも楽しみ倍増です。毎回各地で好評のご当地コーナーでは、なんと、あの、くまさか校長先生が、生徒と共に原画で登場します! しかも、もしかしたらご覧になったことがない場面、初公開です。

2021年5月に文春文庫として刊行された『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』は、かこが7歳まで過ごした福井県での幼き日々を回想し、子どもにとって大切なものは何なのかを問うエッセイスト賞受賞作品です。その手書き原稿も初展示します。勢いのある筆致をどうぞ間近でご覧ください。

福井ふるさと文学館 かこさとしの世界展

福井チラシ

はぐくむネット

2021年8月11日北陸・信越観光ナビやYahoo!ニュースでも見どころを詳細に紹介しています。以下でどうぞ。

北陸・信越ナビ

福井 ふるさと文学館

同じく2021年8月11日福井新聞でも写真とともにたっぷりご紹介されました。

福井新聞D刊

2021年8月30日「かこさとしの世界」堪能絵本原画、自筆原稿など155点 来月20日まで

毎日新聞 福井

2021年9月11日 日々URALA(ウララ)福井県のおすすめ情報

『ふるさと文学館』で「かこさとしの世界展」。故郷・武生に絵本の原点。

ウララ

2021年2月26日〜4月11日福井県ふるさと文学館 加古里子特集展 宇宙とどうぐ

ナビや通信など人工衛星のお世話になっていることを忘れるほど現在では当たり前のことですが、世界初の人工衛星打ち上げは1957年、日本の国産衛星の成功は1970年でした。
半世紀を経た現在、宇宙にある衛星の数は8000以上とも言われ、各国が競って打ち上げをしていた頃を知っている筆者にとっては、その数の多さとその半数以上が機能を停止している宇宙ゴミの状態ということに驚かざるをえません。

最近は宇宙ゴミにならないよう、燃え尽きる木製の衛星打ち上げも計画されているとか。そしてこの3月には福井県が日本初の県民衛星を打ち上げます。それに因んだ展示「福井県民衛星打ち上げ記念 加古里子特集展 宇宙と道具」が福井県ふるさと文学館で始まりました。

その模様がNHK福井で放映されました。以下でどうぞ。

人工衛星

衛星といっても地球を周回するものから、探索のため他の星に向かうものなど様々ですが、かこ作品ではどんな本に登場するのか見てみましょう。

『できるまで とどくまで 通信衛星』(1979年みずうみ書房・上)よると 初期の衛星の寿命は2年もなく、アポロ11号の月面着陸を中継したインテレサット3号の寿命は5年間でした。この本の最後には次のように書かれています。
(引用はじめ)
これからも、通信衛星は世界をむすぶ”塔のないアンテナ”として、宇宙に浮かぶ電波の中継基地として、ますます活躍することでしょう。
(引用おわり)

この時代は、各家庭ではテレビのアンテナを屋根の上に立てて電波を受信していました。そして現在は通信衛星や気象衛星にとどまらず、軍事衛星や科学衛星も地球の周りを回っています。

球形である地球の裏側の人や物が落ちてしまわない理由は引力があるからで、その引力のおかげで地球の近くであれば宇宙でも地球の周りを回って落ちることがないのです。ユーモラスな絵(上)とともに説明しているのは『あさよる、「なつふゆ ちきゅうはまわる』(2005年農文協)です。

『遊びの大星雲 1ひみつのなぞときあそび』(1992年農文協・上)〈じんこうえいせいのひみつ〉には、
「どんな おもい ものでも 1びょうで7、8キロ すすむ はやさで なげだすといつまでも ちきゅうの まわりを まわりつづけます。(くうきや ほかの ほしの えいきょうが ないようにしないといけません。)」
とあります。

さらに詳しい説明があるのは『宇宙』(1978年福音館書店・下)のこの場面。左上に小さく見えるのは宇宙船回収グライダー(アメリカ・1964年)で、左下方が世界最初の人工衛星スプートニク1号です。

人工衛星が地球を回る速度をさらにあげると、「じゅうりょくの ひっぱるちからを ふりきって、ちきゅうを はなれ、もっととおくへ とんで」ゆき、他の星の周りをまわって観測することができるようになります。『宇宙』の話はまだまだ続きますが、人工衛星の追跡はこの辺でおわりといたします。
肉眼でも見ることができる人工衛星。宇宙からこの地球を見下ろしたらどんなことを感じるのでしょうか。

*福井県民衛星は2021年3月22日に無事打ち上げ成功したそうです。