あとがきから

パラリンピックの年で、多様性のあり方が様々に報道されています。まだまだそういった事が世の中で多く語られていなかった時代、かこはいち早く1980年刊行の絵本で問いかけています。『かこさとし こころのほん』シリーズ(1980年〜ポプラ社)は当初9冊のシリーズとして刊行され、のち2005年に5巻が改めて刊行されました。順を追って、そのあとがきをご紹介いたします。

やや長い文になりますがお読みください。

あとがき かこさとし

(引用はじめ)
わたしたちの子どもは、父母の細胞核のなかにある染色体の組みあわせによって、形づくられます。お父さん似だとか、口もとがお母さんそっくりになるのは、そうした父母から受けた、体の設計図(書)の組み合わせによるからです。

この設計図(書)である染色体の数は、23対ありますから、その同一父母からの組合わせだけでも、2の23乗x2の23乗、すなわち70兆以上となります。ですから兄弟姉妹でも、よく似ているときも、ちがうときもあることとなります。

この染色体の数が23対、すなわち46個でなくて、過不足となって、子どもに伝えられるときがまれにおこります。ダウン症と呼ばれる子どもは、こうした染色体の、異常によっておこりますが、その原因は、まだあきらかとなっていません。

本人は、もちろんのこと、父母などになんら問題はないのに、こうした障害をもつ子どもにたいし、日本では、まだまだ真の理解が社会一般に、不足しているように思います。

ところが、健康な一般の子と、こうした障害をもつ子がいっしょにいる場合、とくにいじめられたり仲間はずれになることは、ふつうの場合ほとんどおこりません。ぎゃくにいたわりやかばいあうという、他ではみられぬ行動がわいてくるのです。

たまに、わるい状態になるのは、親やまわりの大人たちが、かげ口をいったり、忌避する態度をとっていることが、原因となっているのが大部分です。

欧米に行かれたなら、障害をもつひとや老人に子どもたちがすすんで席を立ってゆずる風景を、あたりまえのようにみうけられるでしょう。どうしてしたの?という余計な質問には、人間は必ずだれでも、健康であり金持ちであっても、年をとれば体が不自由となり、身障者となるのだから、とくべつな恩恵をするのではなく、自分たち自身をいたわり守ることなんだという答えがかえってくることでしょう。

この本は福祉というものを、一部の篤志家に任せたり、募金に応ずるだけでなく人間の意識や生きる姿勢なのだということを、子どもとともに大人の方が、考え直してほしいと念じてかいたものです。
(引用おわり)
本文は縦書き、漢字には全てふりがながあります。

北海道にこの4月ウポポイというアイヌの人々の文化を紹介する国立博物館が開館するそうです。

2020年年2月25日に復刊された絵本『青いヌプキナの沼』(2020年復刊ドットコム)はアイヌの兄妹とを主人公にした物語です。あとがきをご紹介します。

あとがき

(引用はじめ)
同じ人間でありながら、肌の色や風習が違うと言うだけで、地球上では、いまだに争いや憎しみが絶えません。しかもそれは、中近東やアフリカの例に見るように、人間の心を救うはずの宗教がさらに対立を激しくさせていたり、インディアンや黒人問題に見るように、文明や開発の名のもとに非道なことが行われてきました。そしてそれらの事は、何も遠い国の古い事件ではなく、この日本でも起こっていたし、今なお形を変えて行われていることに気づきます。

強大な武器や圧倒的な経済力、あくどい策略によって、勝者は輝かしい歴史を書き上げます。しかし、反対にそれによって奪い取られ、追いはらわれ、閉じ込められた側には、わずかな口伝えしか残りません。そうした小さな伝説や名残の中から、ふと耳にした白いヌプキナ(すずらん)の花の物語は、涙の連なりのように私には思えました。汚れた栄光で見失ってはならないものを、埋もれてはならないものを、この国の中で、この国の子どもたちに知ってほしいと思ってまとめたのが、このお話です。 かこさとし
(引用おわり)

本文は縦書きで、全ての漢字にふりがながあります。
2020年3月28日から7月5日までニセコにある有島記念館で開催される展示会では、この作品の絵も展示する予定です。

二月は逃げる、と言われます。1月や3月など31日ある月もあるのに何故2月だけが28日なのか、子どもならずとも不思議に思いますが、なかなかきちんとした説明ができないものです。

しかも、今年はうるう年。2月29日に生まれたら誕生日は4年に1回なの?そんな疑問にも、やさしく答えてくれるのが『こどもの行事 しぜんと生活 2月のまき』です。

「令和」命名とも関係する令月(れいげつ)・麗月、梅見月(うめみづき)、如月・衣更着(きさらぎ)などに加え、この本の冒頭の「2月の別のいいかた」(日本)には、短月(日数がすくなく、はやくすぎる月)も紹介されています。

「ふるいこよみ、あたらしい暦」「うるう年、うるうの日(2月29日)」「2月がみじかいのはなぜ?」「一週間が七日のわけ」という項目で、図をふんだんに使い順を追って説明してあるので、お子さんにもわかりやすい内容です。

「2月あとがき 新旧の暦と天体のうごき」

(引用はじめ)

カレンダーや学校の行事など、みな太陽暦(新暦)なのに、各地の行事の中には、旧暦やひと月おくれで行われているものがあります。すべて新暦にすればいいのにと言う意見もあります。

むかしの人たちは、月のみちかけを用いて昼と夜の時間や四季の変化をたくみにはかり、まちがいのないよう工夫をして、農耕や生活を実行していました。

この旧暦と新暦の関係と違いを知ることは、太陽・地球・月のうごきをただしく知る機会となります。むかしの暦などとおもわずに、宇宙と人間の生活をかんがえるきっかけにしましょう。
(引用おわり)
(縦書きで漢字には全てふりがながあります。)

上は、雪消月(ゆきげづき)言い方もある2月、あとがきに添えられた絵です。

「あとがき」コーナーではありますが、前書きとしてのかこさとしの言葉「はじめに」をご紹介します。

はじめに

このたび出版となった『あそびの大事典 大宇宙編』は『あそびの大宇宙 全10巻』(1990〜1991年)を時代に対応するように再構成編集したものです。

私は戦後、川崎の戦災跡の工場労働者住宅街で、会社に勤めながら子ども会を25年していて、遊びの持つ野性的な楽しさと生きる意欲を、子供たちから教わりました。その後、会社を退職し、六つの大学で10年間、児童文化と行動論の講義を担当しました。

その折、「遊びの本」出版の依頼を受けたので、子どもたちから受けたあそびの多彩な楽しさと、大学講義の基軸である子どもの成長発達の推進力を込めて記述したのが『あそびの大宇宙』で思い出深い著書です。

今回、新装出版にあたり、嬉しい懐かしさとともに、新しい読者の方々に、当時の子どもたちのいきいきとした行動と生き抜こうとする力が伝わるなら、最高の幸いです。

かこさとし

上は、表紙カバー内側で、この下には【この本の特徴】として、以下のような著者による解説が続きます。

【この本の特徴】

○ 子供の遊びの主人公である子供の立場、総合的な成長と発達と、個性孤独の心理環境を主軸とし、大人の遊びへの介入、関与、干渉を排しました。

○ 子供の遊びは森羅万象にわたり、その素材は従来の類書のように狭い一方に偏したものではなく、多元、多様、総合の形を目指しました。

○ クイズ、なぞなぞ、笑い話、絵さがし、さては頁の一部を切ったり、折ったりし、楽しくなるよう工夫しました。

子供の遊びでは、森羅万象全てが題材対象となります。しかも「トンボのハネの迷路探し」や「三輪車による町内見回り」のようにその楽しさは当人にしか味わえぬ個人個別なのが本筋です。一部の教育者や親のすすめる「よい遊び」や集団行動による成果期待の「大人の立場」ではなく、失敗・錯誤・忘却・偶然といった不安定非効率の集積をのりこえる魅力の源泉を、「本での遊び」の中に集約した、40余年実践と調査の結晶ですので、お楽しみ下さい。著者

「水菓子」、果物の事をこう呼びますが、今のようにお菓子が簡単に手に入らなかった昔、果物の甘さとみずみずしさは格別だったに違いありません。そんな時代の水菓子の代表は桃でしょうか。梨、それとも柿?

こういった果物が登場する昔話が『こわやおとろし おにやかた』(1986年偕成社)です。
桃から生まれた桃太郎だけではなく、梨、柿から生まれた三人が大きくなり鬼退治をする展開は昔話を元にした加古の創作です。物語の筋とともにその語り口調が味わい深く、漢数字以外は全てひらがなの分かち書きで、こう始まります。

(引用はじめ)
「むかしむかしの そのむかし、ちいさな さみしい むらに 一けんやが あってな、としよったばあさまが さびしく ひとりで くらしていたそうな。」
(引用おわり)

あとがき かこさとし

あとがきをご紹介します。
(引用はじめ)
今から30年ほど前、私は日本の昔話を調べたことがあります。その中に、いろいろな果実やなりものから子どもが生まれてくる話がありました。不思議な面白い話が、なぜたくさんあるのだろうかと考えました。果物・木の実を大切にしたこと、貧しいけれど努力して生活していたこと、不意に来る災害や悪者に怯えていたこと、老人はしっかりした子どもや身寄りをほしいと思っていたことなどを知って、若かった私がまとめたのが、この「おとろしばなし」です。
(引用おわり)

ラグビーの熱戦が繰りひろげられていますが、『遊びの大宇宙 1おにごっこ じんとりのあそび』(1990年農文協)には、数多くのおにごっこや球技、綱引き、石蹴りなどが紹介されていて、その1つが上の「ラグビーごっこ」です。「ごっこ」ですから本物のボールではなく、ドッジボールや身近にある軽い素材で簡易に作ったボールを使って遊びます。

側で見ている猫のセリフがふるっています。子猫に向かって「いいかい そばへいくと まちがえられて あぶないヨ」

かこさとし考案「ラグビーあそび」も登場しますが、ルールの最後に「すこしくらいのことで、ないたり おこったり するようでは、ラグビーを たのしむことはできませんよ。」とあり、以下のようなメッセージもあります。(漢字にはふりがながあります)

(引用はじめ)
「おしくらまんじゅう」や、「ラグビーごっこ」の楽しさは、こども同士、からだを動かし、はだををたがいにくっつけあって、全身で遊ぶところです。仲のよいなかまであれば、たおされたり、さわられることで、ますますしたしみが増し、おもしろさがふえてくるものです。
(引用おわり)

現在ではこのシリーズ全10巻を合本にした『あそびの大事典 大宇宙編』の第1パートの最後に『おにごっこ じんとりのあそび』の「あとがき」が収められています。

外あそびの すばらしさ かこ さとし

(引用はじめ)
子どもは、大人とちがって成長するものです。細胞がふえ、体は大きく、骨は強く、筋肉がしなやかになっていきます。その伸びてゆくものを、適切につかい、きたえ、活動させることが、次の成長の力となります。だから子どもは、ほうびや無理なすすめがなくても、かけまわり、動きまわるものです。そのため戸外で体を大きく動かす子どもの遊びは、特に大事です。この伸びゆく者の、全身の楽しい遊びを集めたのがこのパートです。
(引用おわり)

「おしくらまんじゅう」を見かけることは、ほとんどなくなってしまいましたが、「ラグビーごっこ」に名をかえた「全身の楽しい遊び」が盛んになればと思う今日この頃です。

8月15日がめぐってきます。今からさかのぼること八十数年前、日本は戦争に向かってすすんでいました。かこさとしは、まだ幼少期ではありましたが、そんな世の中の空気をかんじる出来事もあり、生まれ故郷、現在の福井県越前市の自然の中で遊んでいました。豊かな描写で表現される当時の様子は、かこさとしを知る上でも、その時代の日本を知る意味でも、貴重なものでしょう。

この本は、1975年じゃこめてい出版より刊行され、同年第23回日本エッセイスト・クラブ賞と第15回久留島武彦賞を受賞。2018年に復刊ドットコムより復刊されたもので、それに際し書き加えられた「新あとがき」をご紹介します。

新あとがき

(引用はじめ)
敗戦後の翌年(1951年)法学部の大講堂でこれからの日本の進む途について著名な学者や政治家、実業人の討論会が開かれた。敗戦で生きる方途に昏迷していた私は、良き手がかりを得ようと、最前列で次々開陳される名論卓説に耳を傾けていた中、新しく大臣となった政治家は戦争に負けてよかった、新しい憲法ができて、これによって日本は再生できるものだと涙をながして未来を謳歌した。全員が一通り論じ終わった最後に米国から交換船で帰ってこられた中年の女性*が登壇、それまでの怪説迷論を鮮やかに切りすて、禍をのりこえてゆく新時代の女性の姿を示された。

私はその明快な論旨と麗姿にわずかであるが何とか生きていく光明を得て様々な彷徨の後、臨港地の工場勤務の傍ら、未来ある子供との交流と生活の機会を得た。それで得た野生的な生きる意欲に満ちた子どもたちの行動と真意を教育雑誌に投稿していたが、じゃこめてい出版と言う出版社から原稿依頼を受け、それで、子どもの頃の思い出を綴ったところ、第23回日本エッセイスト・クラブ賞**を得る光栄に浴した。しかも強力に推薦されたのが、あの時登壇された坂西先生だったことを知り二度も私の人生を励まし推挙いただいためぐり合わせに、この上ない感謝と幸いに包まれた。

今回復刊して頂く機会に先生から頂いたご恩を記し、私の心からの感謝をお知らせする次第です。2018年2月 かこさとし

*坂西志保
1896年生まれ。教職を経て、1922年に渡米。ミシガン大大学院修了。同大学院助教授、ポリス大学助教授、米議会図書館日本部長などを務め、1942年に日米開戦に伴い帰国。帰国後、外務省嘱託、太平洋協会アメリカ研究室主幹、NHK論説員などを歴任。戦後はGHQ顧問、参議院外務専門調査員、立教大学講師、憲法調査会、選挙制度審議会、中央教育審議会、放送番組向上委員会、国家公安委員など20近くの委員を務めた。かたわら広く文化の全域にわたってアメリカン・デモクラシーに貫かれた評論家活動を展開。著書に『狂言の研究』『地の塩』『生きて学ぶ』『時の足音』など多数。1976年没。

**同年(1975年)第15回久留島武彦文化賞も受賞
(引用おわり)

夏休みですから、思い切って世界旅行をしましょう。観光ではなく、探検ですが心配はいりません。しかも用意するのは一冊の本で大丈夫です。『せかいあちこち ちきゅうたんけん』、見返しには世界各地の生き物が描かれています。全部の名前がわかりますか。

次のような著者の言葉から始まります。本文は、分かち書きで漢字にはふりがながあります。
(引用はじめ)
この 地球には おおきな りくちが
いくつも ちらばって あります。
そこには けわしいやまや ひろい へいやが
あったり します。
その やまや のはらの ようすは
どのように なって いるのか
この ほんで しらべてみましょう。
そこから どのような ことが地球で おこって きたのか、
おこって いるのかを さぐって ゆきましょう。

*この ほんでは、たいりくの ようすを あらわすため
ひょうしに かいた ような ちずを つかいました。
3かん などで つかった ちずと すこし ちがって いるので
ごちゅうい ください。
*とくに ほうがくを しめしていないとき、
ちずはうえのほうが きた、したのほうがみなみ、
むかってみぎのほうが ひがし、
むかって ひだりのほうが にしとなります。

ちきゅうの おおきな りくちを たいりくと よびます。
これから みんなでたいりくのたんけんにさっそくでかけます。
(引用おわり)

こうして、地図の番号順に6大陸を巡り、あとがきには5000万年後の世界地図が描かれているのです。あとがきをご紹介します。

あとがき

世界には、美しい景色やめずらしいようすのところが、たくさんあります。こうした風景を訪ね、たのしむのは、とてもよいことです。

そこで、この本は、いろいろなところの山や平野のようすをさぐりながら、それらがバラバラではなく、ほんとうはたがいにつながって、動いたりぶつかりあってきた、長い地球の変化を知っていただきたいとねがってつくりました。

迫力ある表紙です。ドラマとあるように、お芝居仕立てのこの科学絵本は、黒子さんが幕をあける前扉の絵から始まります。幕に描かれているのは「いなずまの家紋いろいろ」(下)。これらはかこの創作ではなく、実際にある雷文の一部を描いています。いなずまは稲妻と書くことがあるように稲作をする上でも大切であったようです。

第一幕は、「さあ、雷の劇がはじまります」とものすごい稲光りの様子です。そして第二幕「夏の舞台にもくもく雲があらわれる」と続きます。ところが、冬にも雷が鳴ります。第四幕は「冬の舞台、台風の場面」。雲と電気の関係を丁寧に図解しながら説明が進みます。

火事や火山でも雷がおきること、雷の様々なことがわかりやすく描かれています。雷の観察のきまりや注意事項も大切な内容で、最新の研究成果も伝えられています。大人が読んでも、なるほどと納得できることでしょう。

ちょっとかわったエピソードのあとがきをご紹介します。

あとがき

(引用はじめ)
この雷の原稿をいそいでいる最中、アトリエのはなれに泊まった娘の友人親子が、深夜、天井の激しいもの音で寝られなかったとのこと。それからが大変で、手をつくして探索した末、ようやく突き止めたのが、下の写真の3匹のハクビシン。野生のものか、逃げたペットなのかは不明でしたが、その昔、樹上と雲間をかけめぐった雷獣の元がこのハクビシンといわれていて、六足ニ尾ではなかったけど、爪はきわめてするどいものでした。悪臭と汚染のため、はなれは取り壊し、原稿の遅れで数日徹夜となるなど、やはり「伝説の獣でも雷は恐るべし」と思い知りました。

そうした出来事や、私にとっての未知の気象、大気電気学の分野であったのに、この本を皆様に見ていただけるようになったのは、専門的な立場から、懇篤なご教示とご指導に加え、走り書きの原稿を細かに点検、校閲いただいた元埼玉大学教授・理学博士北川信一郎先生のあたたかいご配慮のたまものです。感謝をこめて皆様にご報告するとともに、改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
(引用おわり)

下は、裏表紙。雲に乗っているのは「かみなりちゃん」とおとうさん!

七夕の表紙も涼やかな『こどもの行事 しぜんと生活 7月のまき』(2012年 小峰書店) です。
七夕を「たなばた」と読む理由は、この行事には色々な伝説や言い伝え、習わしが関係していることによります。
8月にこの行事をする地域もありますので、「7月あとがき」ご紹介しましょう。

七夕は、晴れか雨か

(引用はじめ)
七夕の行事では、雨が降らないのをいのる地方と、反対に「三つぶでも雨がふる」ようにとねがう地方があります。このちがいはなぜなのでしょうか。

それは、6~7ページにも書きましたが、七夕の行事には、次の四つのことが混じり合っているからだと考えられます。

① 棚機女(たなばたつめ)が布を神さまにささげ、わざわいをのぞくならわし
② なくなった人の霊をむかえ、なぐさめるならわし
③織女星(しゅくじょせい)と牽牛星(けんぎゅうせい)のふたつの星がであう伝説
④技芸や書の上達をねがうならわし

①と②では、水で身をきよめるので雨をまち、③と④では、星がみえるよう、晴れをねがいます。
あなたのすんでいるところどちらですか。
(引用おわり)

原文は縦書きで、漢字には全てふりがながあります。