『つかまえられたことりちゃん』(1986年 ポプラ社)
投稿日時 2022/05/05
日本では5月10日から愛鳥週間だそうです。
かつて霞網という方法でツグミなどの野鳥を捕獲して食用などにしていました。現在では霞網を持っていること自体が違法だそうですが、本作ではまだその法律がない時代、そのやり方に疑問をいだき書かれた作品で、こころのほんシリーズ9冊の最後の巻です。
霞網は無くなっても、木の伐採など、それと同根の問題は大小色々なところにあるように思えてなりません。
あとがき
(引用はじめ)
自然の素晴らしさに人はよく感動します。しかしその美しい景観や地域が、ひとたび「金もうけ」になるとわかるや、どんなに貴重なところでものこらずズタズタになってしまう例を、これまでたくさん見てきました。心ある人びとが熱心にその非を説明し、正しく考えてもらうよう求めても、法律の目をくぐり、監視の手をくぐって、ときにはおどしや暴力をふるって「金もうけ」につき進む例を、ツグミで知っていただきたいと思いました。
まだ自然の仕組みや動植物の生態がよく分かっていなかった昔より、科学や技術の発達した現在や、文明が進んだ国の方が、ひどくなっているのはどうしてでしょうか。こうした「金もうけ」に対しては「おかね」でしか対抗できないというのはどうしてなのでしょうか。
「金もうけ」のためなら、かえることができない大切なものも次々に壊していく状況が、もっとも大きく子どもの心を暗くし、教育を荒廃させてゆくことを、私たちは知っておかなければなりません。
(引用おわり)
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