くしゃみやおへそのあそび (農文協 1992年)
ー体と病気のなやみ問題ー かこさとし あそびの大星雲4
インフルエンザの流行やスギ花粉の季節が到来でくしゃみに敏感なこの頃です。
この本は、もくじが後見返しにある構造で「くしゃみはなぜでるのか? ハクションはくしのこたえ」から始まり、こどもの抱く様々な体に関する疑問に答える形式になっています。
前見返しには著者から大人に向けたメッセージがあります。ご紹介しましょう。
かこさとしから、おとなのひとへ
体のなやみや心配をのりこえる力
(引用はじめ)
子ども時代、急に体のあちこちが痛くなったりすることが起こり、子ども自身ひそかに恐れ心配するものです、専門家も「成長痛」とか「ちえ熱」で片づける原因不明の体の現象について、親や大人は、子どもの不安を除き、自信と意欲を取り戻す助言なんか、ほとんど与えてくれません。言いがたく表現しにくいしにくい子のなやみを放置、放任、ほったらかしか、いったん知れると勝手な独断で「虫封じ」とか「毒ぬき」と称する迷信まがいの試験台にされる恐ろしさを知っている子どもは、よほどのことでないかぎり体の悩みを親に話したりしないものです。
こうした中で、子どもが自分の体のことを正しく楽しく知り、個々の性格特徴に合った活用と、適応に役立ててほしいと願いを込め、この巻を作りました。読者の中からやがて自分の才能を健康に恵まれぬ人の救いに提供しようという、未来のパスツールやコッホが現れるのを期待しています。
(引用おわり)
下は、前扉で、五臓六腑の説明がシャレとともにあります。
かこさとし あとがき
3つ寝たらなおるか、病気
(引用はじめ)
恥ずかしい限りですが、私は「おやつ」を知らぬ北陸の貧しい家で幼少時代を過ごしました。野山にはえるチガヤやスカンポや桑の実で空腹を満たしていました。それゆえか、よく急におなかが痛くなりました。親に訴えれば叱られるだけなので、「3つ寝て、それでもつづいていたら病気で、なおれば病気でない」と自らなぐさめ、おかげで60数年何の支障もなく過ごしてきました。高名な内科の友人が「医療より人のもつ治癒力の方がずっとすぐれている」と「3つ寝る」方法を評価してくれたことに勇気をえて子どもが楽しく正しく、体のなやみをのりこえてくれるよう、この本を作りました。
(引用おわり)
下の絵左側の男の子が口にしているのが、甘い味のするチガヤ、その右にある植物がスカンポ。右端の男の子が取ろうとしているのが、桑の実です。