編集室より

台所でできる立体幾何のイキイキ観察

「ごちそう」といっても豪華なステーキやハンバーグでも、上のような素敵なケーキ(『だんめんず』より)でもなく、ふつうの食べ物の意味です。

身近にある食材を切って知る断面のことを、ちいさいお子さんにわかるように説明していて、文のみかこさとしです。

あとがきをご紹介しましょう。

(引用はじめ)
私たちは、よく「まるい棒を持ってこい」とか、「あの人は、まる顔だ」といいますが、よく考えてみると、なかなかむつかしい表現です。「棒がどうしてまるいのか」「卵に目鼻をまる顔というのなら、卵はまるといえるのか」とひらき直られるかもしれません。

ことばのやりとりはさておき、こうした「まるい」という表現の中には、「断面や投影が円形となるもの」の認識がもとなっていると考えられます。簡単な平面図を見ただけで、家の完成形を思い浮かべる事は、なかなかむつかしいように、平面と立体を結合変換するのは、大脳の高度の働きが必要です。それなのに高次の内容を何の苦もなく、ことばであらわしたり、聞いたりしているのは、日常の経験と、特にあの台所で、毎日スッパリ切っておられる。おかあさん方の知恵の集積があるからだと思います。

このすばらしいおかあさんの知恵を、少々わけていただいて作ったのがこの本です。どうか指の断面などつくらぬよう気をつけて、おたのしみください。
かこ・さとし 
(引用おわり)

断面図については『だんめんず』『だいこんだんめん れんこんざんねん』(いずれも福音館書店)があります。どちらも長い間、お読みいただいている科学絵本です。合わせてお楽しみください。