編集室より

題名に色が入っているお話

投稿日時 2025/03/07

加古は絵を描くだけあって色に関心が強く絵本の題名に色がつくものがたくさんあります。

古い順にあげると①『おおいめ くろいめ ちゃいろのめ』(偕成社1972年)、②『あかいありと くろいあり』(偕成社1973年)、③『しろいやさしいぞうのはなし』(1985年偕成社/2016年復刊ドットコム)、④『かわいいきいろのクジラちゃん』(偕成社1985年/2021年復刊ドットコム)、⑤『青いヌプキナの沼』(1986年偕成社/2020年復刊ドットコム)。そして①②の続編『あおいめのめりーちゃんのおかいもの』『あかいありのぼうけんえんそく』(2014年)

40年後に出版された続編『あかいありのぼうけんえんそく』

続編『あおいめのめりーちゃんのおかいもの』(2014年)

『おおいめ くろいめ ちゃいろのめ』は当時まだSDGSなどという言葉はありませんでしたが、肌の色や目の色が違っても子どもは子ども、みんな同じということが小さいお子さんにも自然にわかるのが優れているところです。

「しろいやさしいぞう」と「きいろのクジラちゃん」はいずれも仲間とは違う色ゆえにいじめられるのですが、最後には皆に認められる物語です。

ヌプキナとはアイヌの言葉でスズランのことでスズランの花が縁取る青い沼を背景に、差別されてきたアイヌの人々の悲しみを伝える物語で、ぜひ知っておきたい歴史の一コマを再現しているかのようです。

科学絵本の題名にも色が出てきます。
『あか しろ あおいち』(1977年童心社)の赤は赤血球、白は白血球です。青は人間の静脈が青くみえることからの命名でしょうか。イカやタコの血は青です。

そのタコを主人公にした色を学べる科学絵本『あかですよ あおですよ』(福音館書店2017年)は、海の中、タコの学校の生徒たちが先生の指導でそれぞれの色を使って絵を描きます。

その様子は、かこさとしが20代後半からおよそ20年間川崎のセツルメント(ボランティア)活動で子ども絵の指導をしていた時の姿と重なります。赤や黄色、緑に青、茶色⋯黒は、いったいどんなものを描くのでしょうか。

紙芝居『あかくんぽっぽ あおくんぽっぽ』は童話集⑧の表紙にもなり、収録されています。
童話集の挿絵はモノクロですが、ここにも多くの色を含む題名のお話があります。それについてはまたの機会にお知らせいたします。

お子さんたちにとって色は大変魅力的なもので視覚による情報は記憶に長く残ります。さまざまなな色が登場する絵本をじっくり見ていただけたらと思います。