2017

「だるまちゃん広場」が、加古作品の世界を投影しキャラターを感じられる自然いっぱいの広場であるのに対し「パピプペポー広場」は絵本の物語が再現された遊具で小さなおこさんたちも遊べる場所です。

『にんじんばたけのパピプペポ』(1973年偕成社)のぶたちゃんたちが迎え案内してくれるのは続編『パピプペポーおんがくかい』(2014年偕成社)で発表される歌の数々。歌詞は絵本にある通りで教育、音楽に精通している神原いずみ先生の作曲をもとにしたチャイムが下の写真右後方に見える時計から10:00・12:00・15:00・17:00に園内に響きます。

この時計、見覚えのある方はアッと思われますね。『あさですよ よるですよ』(1986年福音館)の世界を小さなおこさんたちに遊んでいただけるようにした「まめちゃんえん」です。絵本館の工作やイベントでお馴染の早未恵理先生に遊具デザインの協力を得て絵本のまめちゃんたちの1日を体験できるようになっています。さやベッドに入ってまめちゃんと一緒の写真を是非撮って下さい。

もう一つの絵本の世界は『あかいありとくろいあリ』(1973年 偕成社)です。ありになったつもりで大きなツクシやタンポポを通り、ギャングアリにさらわれたぺっちゃん(下の写真)探しをするアスレチックの要素が入った遊具が並びます。ビスケット渡り、頑張って!

だるまちゃん広場・「そらどくの森」のさくらの花びら型のウッドデッキと中央図書館の間をとおるルートは知的な好奇心を刺激される道です。

宇宙誕生から、生命誕生、人類の出現、そして現在までの150億年を6つのモニュメントを辿りながら想像していただけたら、現在の地球や私たちの存在を改めて見つめることになるのではないでしょうか。

かこさとしが「川」「海」「地球」「宇宙」といった科学絵本を通しお伝えしたかったことのごく僅かでも感じていただけたら幸いです。

下の写真はモニュメント2 [海の誕生と〈化学進化〉]で、「みんなの生命 くらしの化学」(1981年偕成社)の画像を使用しています。モニュメント裏面にも図があり地球の様子がわかります。

かこさとしに関しての最新刊『文藝別冊 KAWADE夢ムック かこさとし 人と地球の不思議とともに』(下の写真)には、地球科学・鎌田浩毅氏による[「大地変革時代」の子どもたちへ ]、生物地球化学・大河内直彦氏[地球という星を体感する]また、天文学・縣秀彦氏や海洋学・長沼毅氏ら専門家によるエッセイが掲載され、かこさとしが上記の科学絵本に込めた思いを読み解くガイドになっています。

武生中央公園の全体図です。武生中央公園のメインともいうべき「だるまちゃん広場」は北側に駐車場、東に駐車場と文化センター、南側に図書館が隣接する黄緑色の部分です。

「だるまちゃん広場」には、ぐるりとバリアフリーの遊歩道があり、おおよそ2等分してだるまちゃんルート、からすのパンやさんルートとなっています。


だるまちゃんルート

下は拡大図です。トイレマークの東(右)側から南(下)にむかうのがだるまちゃんルートです。

『だるまちゃんとてんぐちゃん』

だるまちゃんがお出迎えてくれる場所から始まるこのルートには「だるまちゃんとてんぐちゃん」のお話に出てくるものが道のそこかしこにあり、絵本の中のだるまちゃんになった気分で歩けること間違いなしです。

『だるまちゃんとかみなりちゃん』

目をひくのは、かみなりまちの大きなふわふわ雲のような遊具(マップの白い部分)。トランポリンになっていて、靴を脱いで飛んだり跳ねたりお子さん専用です。

『宇宙』

その先には平面噴水「宇宙」があります。上から見ると円になっていて中央の色が違う部分が太陽です。その周りにあるのは、水星、金星、地球、火星。。。太陽の大きさに比べて見るとどうでしょう。太陽からの距離もわかるようになっています。水遊びをしながら地球の軌道を歩いてみたり、太陽系を巡り「木星に集合!」なんて面白そうです。

『かわ』

「絵巻じたてひろがるえほん かわ』のような、とまではいきませんが長さ51メートルの人工の川が流れています。小さいお子さんたちが安全に安心して遊べるように石の形状や水深に配慮し上水を流しています。川底の石の大きさの違いで上流下流の区別がつくようになっていて笹も植えてありますので笹船流しをお楽しみ下さい。

公園のシンボル大壁画「越前山歌」

村国山や日野山を借景にだるまちゃんたちが行進する大壁画「越前山歌」が望めるおうちで、壁画を背景に記念撮影をどうぞ。広々とした大空間は都会ではなかなか味わえない贅沢です。
笑顔の前に、思いきり深呼吸!

この壁画のために2016年に描きおろされた絵と添えられている言葉を記したモニュメントもあります。

「そらどくの森」

読書のまち、越前市の木、桜の花びら型のウッドデッキは紙芝居やお話会をしたり、星空観察をしたり、ステージになったり、いろいろな使い方ができます。隣接する図書館で借りた本を青空の下で広げるのも素敵。そんな思いを込めて「そらどくの森」と呼んでいます。木が大きく茂るのが待ち通しいですね。

『だるまちゃんとにおうちゃん』

ウッドデッキ近くにある土俵でいろいろな力比べや遊びをしてみましょう。

さて、だるまちゃんルートの最後に待っているのは、いったい誰でしょう?

からすのパンやさんルート

からすのパンやさんルートは、公園北東(上のマップ右上)の角の大型遊具へ向かい、図書館の方に行くルートです。
ルート途中の木々には、見たことのあるような光景がありますので、木の形や枝ぶりをじっくりご覧下さい。

からすのパンやさんのかざぐるま塔

最大のアトラクションは小高い丘の上にそびえる大きな複合遊具。その斜面を一気に滑りおりる20メートルのローラースライダーは大人気。側面にも動物の走る速度に関する絵がついていますので注目です。
青空を背景に頂上にあるのは、もちろん「からすのパンやさん」(1973年)に登場するかざぐるまで、塔の中にも仕掛けがあります。上から広場を見下ろすと今まで見えなかったものが見えてきて発見があります。

チューブの中をグルッと3、6メートルの落差で回る滑り台や、上の写真のように幅4メートルのビッグウェーブスライダーでスピードを楽しめます。

スピードではなくのんびりを楽しめるのは棚田のような砂場。

この大型複合遊具は、森の中を歩くような気分で年齢、体力に合わせ思いのままに様々な遊具を巡り遊べるのが魅力です。

いちべえぬま

下の小さな池は、いちべえぬま。そう、「おたまじゃくしの101ちゃん」(1973年偕成社)にちなんでいます。開園当初にはおたまじゃくしがいたのですが、今はもう大きくなってしまったでしょうか。そっとのぞいて見て下さい。
端に植えてあるのはイネ。越前市は美味しいお米の産地でもあります。池の周りのあるのは何でしょう?

他にも大人向け、健康のための「からすちゃんの運動場」もあります。

だるまちゃん広場のあちこちにあるベンチはこんな形。ここに座っていたらかみなりちゃんのおとうさんが迎えてきてくれるかな?

カラス

加古は戦中戦後の食料難の若い頃、畑を耕してはカラスに種を取られたりと苦労をしたものの、なぜかにくめず、むしろ人間の有様をじっと見ているカラスに興味をもったようです。やがてカラスを主人公にした手描きの絵本や紙芝居を作成したことから後に「カラスのパンやさん」(1973年 偕成社)が生まれることになりました。

上にご覧いただいているのは2012年越前市の子どもたちへむけて描いたメッセージで原画は絵本館に展示してあります。
(引用はじめ)
未来をひらくため
自分で努めて学問や科学を学び
芸術や文化を愛する
かしこい子どもをめざしましょう
また自分のくせや力にあった方法で
すこやかな心と体をそなえた子どもになりましょう
そしてこうのとりのように世界に向って
力いっぱいはばたいて進んでゆきましょう
(引用おわり)

越前市の鳥・コウノトリとからすが一緒に飛んでいます。

コウノトリ

2017年2月に刊行された、加古の書き下ろし最新作「コウノトリのコウちゃん」(小峰書店)では越前市の取り組むコウノトリを育む活動を紹介しながら生き物の共生をテーマにしています。

カ・コのコンビ

ところが、カラスとコウノトリ、実は仲が良くないそうです。上にご覧いただいている写真は、コウノトリ育む会の三好栄氏が2016年4月19日に撮影されたものです。コウノトリがからすを追いかけるかのようです。自然界ではそれぞれの種がバランスを保つのは難しいのでしょう。

8月11日に開園するかこさとし監修の全国でたった一つの公園、越前市武生(たけふ)中央公園には、「だるまちゃんひろば」「パピプペポーひろば」「コウノトリひろば」があります。絵本の世界が投影され、山並みを望む大空間、綺麗な空気の中でのびのび遊ぶことができます。そこでは自然界ではむずかしいカラスとコウノトリも仲良く一緒に皆様をお迎えします。カ・コのコンビに会いに是非お越し下さい。

かこさとしの監修により再整備がすすめられていた越前市武生中央公園が2017年8月11日午前10時半にいよいよオープンします。

下の写真は広大な公園の中ほどからの光景。8月11日のオープニングの式典で右手建物の壁面に描かれた画がお披露目されます。

エントランス

現地からのレポートを順次掲載いたしますが、すでにエントランス部分は昨年より使用されていて、公園内にも登場するご覧のような紙芝居台のような掲示板があります。

大きなクスノキ(下の写真・整備中のもので現在の状況とは異なります)とケヤキの木々をいずみがもりの一部に見立て、掲示板では「からすのパンやさん」に登場するからすの大群ががまっしぐらに飛んでいる様子を見ることができます。

越前タンスと言われるように越前市には木工技術に優れた伝統がありその技をいかしつくられています。襖のように滑らせて画面を左右に動かすことができ、その動かし方で違った画面構成になる仕掛けです。

3つの広場

だるまちゃんひろば

中央公園には、かつて野球場がありましたが移転したためその跡に3つの特色ある広場が誕生しました。中でも一番ひろいのが「だるまちゃん広場」です。かこ作品のキャラクターを感じつつ年齢を問わず自然や歴史にも親しめ、思い切り走り回り遊べる広場です。

大型遊具・長~い滑り台や大人も楽しめるトランポリンもあります。特に夏には嬉しい噴水「宇宙」や、「かわ」も再現され安心して川遊びが楽しめます。
だるまちゃんルート、からすのパンやさんルート、どちらからでも広場をぐるっと一回りできますが、どちらから回るか悩むところです。次回は各ルートの特色をお伝えします。

パピプペポーひろば

市民の皆様におなじみのお子さん用モノレールに囲まれたところは「パピプペポーひろば」として、絵本の世界が再現された遊具が置かれ小さいお子さん向けのエリアもあります。命名の理由は、いらしてのお楽しみにとっておきましょう。

コウノトリひろば

観覧車の周辺は越前市の鳥、コウノトリを中心に「コウノトリひろば」となってお目見えです。ちょっとお化粧直しをした「コウちゃんの観覧車」、今まで同様よろしくお願いします。

モノレール、メリゴーランド、観覧車は期間限定での運行です。各広場の詳細は間も無く次回でご披露いたします。乞うご期待。

公園の簡易マップは以下からご覧下さい。

http://www.city.echizen.lg.jp/office/070/020/kouen/tyuuoukouenn_d/fil/open.pdf

泳ぎ方のコツを教えてくれる絵本、と思われるでしょう。
確かに、水の親しみ方、水泳の練習方法、泳ぐ時の注意が細かに書かれていますが、なんとこの本では、私たち人間は10億年以上も前に海に生まれた生き物を祖先としているところから始まり、その証拠に体液のイオン濃度が海水と比較すると似ていることをクラゲ、タラ、カエル、カメ、イヌ、ヒトを例にグラフと図で示しています。

こういった生き物の泳ぎ方や速さ、水泳の効果や泳ぎの歴史にもふれます。水に親しむことの多い季節、泳ぐことを様々な視点から知って実践していただければ幸いです。

これまでにもご紹介してきた「かこさとしの食べごと大発見」シリーズですが、今回は第4巻「うれしいフライ 天ぷら天下」をのぞいてみましょう。

「からすのてんぷらやさん」(2014年偕成社)で天ぷらの秘伝(?)を披露した加古ですが、調理には温度と時間、具材の濃度等が大切な点は化学実験と共通ですから、かつて化学会社の研究室で働いていた著者にとってはお手の物かもしれません。

上の絵は、前見返しにある図で、その右にある〈この本のねらい〉には次のように書かれています。

あげもののヒミツをこめた本

(引用はじめ)
てんぷらやフライなど、あげものの料理はとてもおいしのですが、これほど調理法がうるさくヒケツや秘伝が渦まいているものはありません。 油の種類、成分、まぜ方、濃度にはじまり、ころものつくり方、つけ方、落とし方、入れ方はもちろん、下にひく紙にいたるまで、いちいち理由や自慢や相伝が入り交じり、はては一般家庭のあげものを、「油煮のたぐい」とか「パン粉の油こがし」と嘲笑する専門家がいます。
けれどもそんな油煮天ぷらでも、食べ残しパン屑のフライでも、忘れがたくおいしかった事実があります。どうした事か今までこのヒミツは語られてきませんでした。そのヒミツを発見し追求したのがこの本です。どうぞよろしくご活用ください。
(引用おわり)

さていよいよ本のページをめくると扉には 次のような見出しで説明が続きます。(この部分を含め本文の漢字にはかながふってあります。)

あげものは様変わりの世界

○まず色が変わります
油であげると、こんがり、きれいなきつね色や黄金色(こがねいろ)に変わります。本当の「金」(きん)になったらどうしましょう!
(引用はじめ)
○様変わり
小麦粉のころもやパン粉のドレスにつつまれて、すてきなよそおいに変わります。
○歯ざわり
ひと口かじったときのハリハリ、パリパリのころもの下からふっくらやわらかい、いもや白い魚があらわれます。
○味変わり
油と、こうばしいころもと中の材料のおいしさがまざりあって、すてきな味となります。
(引用おわり)

よだれの出てきそうな前置きがあって、いよいよ天ぷらにする魚の下ごしらえ、ころものつくり方、いか、エビ、かき、豚肉、鶏肉、野菜を材料に天ぷら、フライ、素揚げ、唐揚げ。
コロッケ、ピロシキ、ポテトチップス、大学芋まで一気に面白、楽しいキャラクターによって紹介されます。

最後には大人向けの(振仮名なしの)次のような文で、本文はおわりとなります。

危険な水と油、火と油の戦い

(引用はじめ)
熱い油の中に揚げる材料をいれるとジュウジュウ、パチパチするのは、材料の水を油が追い出し、出された水がとびはね、油も一緒にとびはねているので、小さい子が顔を近づけるのは、とても危険です。

また、油を火で熱してるのは、ちょっとまちがえると「火に油をそそぐ」ことになりかねません。事実、揚げものをしているときに電話がなって、話しこんでいる間に火事になる率がとても高いことがはっきりしています。
化学実験では、安全メガネと火災対応が実験者の常識であるように、台所という高度の実験室で油を使うおいしい反応をおこなうのは、この水と油、火と油の危険防止を、ごくあたりまえの事としてしっかり守っていただくようお願いして、この巻の終わりといたします。
(引用おわり)

そしてさらに次のような大人に向けたメッセージがあります。

水を流しても油を長さぬこと

「牛や豚なら簡単で完全にできるが一番だめなのが人間なんだ」と友人の下水道学者が嘆いたことがあります。動物はけっして異物をながしたり、混入したりしないが、どんなに警告しても、防止策をとっても、とんでもないものを密かに流したり、無理に投入するのが人間で、技術以前のところでホトホト困ってしまうとのことです。揚げ物の場合、油は食用なのでやがて分解されますが、できるだけ流さないようにしたいものです。特に皿や食器をあらう洗剤は、河川や湖や海を汚染してしまいます。
一番よいのは、紙で油を拭きとって、水は流しても油は川や海へ流さないことです。おいしいものをつくったり、食べたりする楽しさは、後始末まできちんと気持ちよくすることで、まっとうされることを、どうぞご指導ください。それは、あげもの食事における大切な発見のひとつなのですから。

2017/07/16

コウモリ

雨傘や日傘が出番の季節ですが、加古が子どものころは傘のことを"こうもりがさ"、あるいは"こうもり"と呼んでいました。"こうもり"と聞いて傘だとわかる方は、今ではずいぶん少ないかもしれません。

番傘や唐傘に対して洋傘のことを指して言ったようですが、半世紀ほど前にようやくナイロン傘が一般的になるまでは、"こうもり"は布製で大雨が降ると重たく、雫がたれてきた記憶があります。

その時代は、夕方薄暗くなるとコウモリが飛び回ったものです。「こどものカレンダー8月のまき」(1975年偕成社)には、[こうもりのわらべうた]が、6つほど紹介されています。(下)こうもりに草履やわらを投げ上げてそれにつられて降りてくるのを捕まえようとして唄ったものだそうです。

「コウモリは昼、ほら穴や木の穴などにぶら下がっていますが、夜、人には聞こえない超音波をだして、反射してくる音波を耳で受けてとぶので、ぶつからずに虫をすばやくつかまえられるのです。」と左ページ左下[おうちのかたへ]というコーナーで説明されています。

「ことばのべんきょう くまちゃんの1年」(1971年福音館書店)には、お月見をする夜空にこうもりがとんでいます。

「たこ」(1975年福音館書店)の最後の場面、いろいろな種類のたこが空を舞うところに、こうもりだこが上がっています。子供達にコウモリが身近な存在だったあかしでしょう。

下の絵は、「地球」(1975年福音館書店)春の場面、カルスト地形を流れる谷川脇にある洞窟にいる、きくがしらこうもり、ゆびながこうもりが描かれています。

冬ごもりのコウモリは「こどもの行事 しぜんと生活 11月のまき」(2012年小峰書店)にあります。

コウモリの出す超音波のことがありましたが、エックス線で見たコウモリもあります。

下の画面の右上です。
これは「かこさとし あそびの大星雲7 くしゃみやおへそのあそび」(1992年農文協)の[骨までみえる]という項目にある絵で「どんなことをしているのかわかりますか?」とあります。

答えは次の絵にある通り。
「やっぱり このすがたのほうがたのしくて いいですね。」ですって⁉︎

楽しいといえば、コウモリが出てくる愉快なお話しに「とんぼのうんどうかい」(1972年偕成社)があります。

とんぼたちを捕まえて袋に入れた「ぎゃんぐこうもりの かくいどりは」と下の絵の本文にありますが、かくいどりとは蚊喰い鳥の意味でコウモリの別名、夏の季語だそうです。この場面から物語は一転するのですが、その痛快な場面は越前市ふるさと絵本館で2017年6月29日から8月30日まで展示していますので機会があれば是非ご覧下さい。

そして、だるまちゃんシリーズにもコウモリが登場します。ほらあなにに住むやまんめちゃんとやまんばあちゃんが「ごろ」と呼ぶコウモリが「だるまちゃんとやまんめちゃん」(2006年福音館書店)でご覧のように活躍します。

ところで、皆さんのご近所ではコウモリを見かけますか。

葛飾北斎が「富嶽三十六景」を制作していた頃のこと、1827年江戸で小栗忠順が、10年後ヴェルニーがフランスで生まれました。1853年7月8日(嘉永6年6月3日)アメリカの軍艦4隻を率いるペリー提督が来航。この三人は神奈川県横須賀を舞台に鎖国から開国という怒涛のような時代に相見え生きることとなりました。
(下は表紙。右からヴェルニー、小栗、ペリー)

勘定奉行として日本の将来を考え近代的造船所の建設を推進した小栗は、1868年薩長軍に倒されます。造船所建設によって横須賀を近代工業技術の基地に育てたヴェルニーとともにその功績は忘れてはならないものです。彼らを支え、ともに協力した数々の人々についても知ることができる歴史物語であり、その生き様に圧倒されます。

あとがき 加古里子(かこさとし)

(引用はじめ)
この本に描いたのは、徳川幕府の末期から明治の初めにかけての激しく動いた時代です。鎖国から開国、国内の対立と戦争、社会の乱れと生活の不安など、当時の人々の苦難を思い、たびたび絵をかく手がとどこおりました。

そうした厳しい中、さらに難しい立場に出会いながら、自分の道をそれぞれ貫いた先人の立派な行いから、人間はどう考え、力を使い、行動しなければならないかを、この絵本を通じて、ぜひ学んでほしいと願っています。
(引用おわり)

尚、2017年7月15日ペリー公園(横須賀市久里浜)で「水師提督ペリー上陸記念式典」が行われインターネットでも生中継されるとのことです。
下は本作、ペリー神奈川上陸のようす(一部)