編集室より

2021年は出版に恵まれた一年でした。

かこ自身の作品に孫の中島加名の挿絵を加えた『くもとり山のイノシシびょういん』(福音館書店)や、初公開の多数の写真を掲載し、かこの人生に迫る、鈴木愛一郎による伝記『かこさとし 遊びと絵本で子どもの未来を』(鈴木愛一郎・文/あかね書房)が出版されました。

また、かこの紙芝居についての貴重なエッセイと手描き紙芝居を含む全紙芝居について鈴木万里が解説を加えた『かこさとしと紙芝居 創作の原点』(童心社)も誕生しました。

これまでに出版されたものに新たな写真や挿絵を加えて文庫化した『だるまちゃんの思い出 遊びの四季 ふるさとの伝承遊戯考』(文春文庫) は『未来のだるまちゃんへ』とともに、お読みいただきたい、かこさとし珠玉のエッセイです。

1986年にアメリカ向けに出版された幻の『Chock Full o’Fun』(小学館)が、2021年日本で出版され、その日本語版『てづくり おもしろおもちゃ』も同時に刊行されました。

かこの初稿から60年以上の時を経て世に出ることとなった『秋』(講談社)は、かこの青年時代の衝撃的な戦争体験を一人称で語る絵本で大きな反響がありました。
2022年2月号MOEでは「先人たちの絵本」として紹介されています。

これぞ絵本といえる可愛らしい『うさぎのパンやさんのいちにち』『たろうがらす じろうがらす』は、『からすのパンやさん』とは違う様々なパンやからすの表情が魅力的です。

また、時代を大きく先どりしてSDGsを扱った『かわいいきいろのくじらちゃん』はその美しい絵と深い内容に心打たれることでしょう。

こうして2021年新たに出版された10冊の本は趣やテーマは様々ですが、いずれもかこの思いが滲み出ています。

そして2022年には『かこさとしと紙芝居』の作品リストで触れているように「かこさとし自選集」シリーズが出版の予定となっていますし、かこが精魂込めた絵本が復刊されます。どうぞご期待ください。