行事とお話し(2)大晦日
大晦日で思い出すお話は「笠地蔵」。これは小学校の教科書でも読みました。現在でも載っているようです。
この物語の筋はかえず、加古の言葉で表現したのが『童話集⑤ 』(偕成社2023年)に収録されている「じっさとばっさの年の暮れ」です。
いつ読んでも、つましい暮らしのおじいさんとおばあさんの深いおもいやりに心ふるえ、暖かな気持ちになります。
短いお話です。あわただしい日々ですが、お読みいただけたらと思います。
大晦日で思い出すお話は「笠地蔵」。これは小学校の教科書でも読みました。現在でも載っているようです。
この物語の筋はかえず、加古の言葉で表現したのが『童話集⑤ 』(偕成社2023年)に収録されている「じっさとばっさの年の暮れ」です。
いつ読んでも、つましい暮らしのおじいさんとおばあさんの深いおもいやりに心ふるえ、暖かな気持ちになります。
短いお話です。あわただしい日々ですが、お読みいただけたらと思います。
ある行事がめぐってくると読むお話し。かつて読んでもらったことを思い出したり、もう一度読み直したりするお話。みなさんにはそんなお話がおありですか。
クリスマスといえば筆者は幼稚園の頃に読んだ「マッチ売りの少女」や、チャールズディケンズの「クリスマスキャロル」が思い浮かびます。そしてクリスマスの日に子どもたちに化学のお話をしたマイケルファラデーこそクリスマスの精神を現す科学者であったのではないかと感じます。
上の写真にあるように『世界の化学者12か月』(偕成社2016年)で紹介しています。
クリスマスには、やはりサンタクロースのお話が読みたいという方におすすめは『サン・サン・サンタひみつきち』(2019年白泉社)です。
「ひみつきち」でつくられるたくさんのおもちゃの数といったら!物尽くしというよりそのおびただしい洪水のような数に驚かれことでしょう。クリスマスといわず、筆者は1年中見て楽しんでいます。
夜空をゆくトナカイロケットに注目
裏表紙にもかわいいおもちゃ
何の本の裏表紙かというと、絵本ではなく中央公論新社の文庫『ちっちゃな科学』(2016年中央公論新社・上)のことです。
福田伸一先生と加古の対談を中心に、理科教育や科学についての編集部からのご質問に文章でお答えするほか、科学についての著述を一部再掲載する充実した内容です。当時、90歳を迎えようという加古はだるまちゃんの3作品に加え、各社からのご依頼に応えるべく執筆に多忙でしたので、本書のために表紙や裏表紙を描き下ろす時間の余裕が全くありませんでした。
若い頃なら無理をしてでも描いたかもしれませんが目の状況も芳しくなく、高齢ということもあり、これまでに描いたものを使って表紙と裏表紙の絵とすることになりました。そして裏表紙の候補に上がったのは、当時絶版だった『みんなの生命くらしの化学』(偕成社下左)の表紙の絵でした。
絶版だった本は、その後おかげ様で2024年に講談社より『かこさとし 新・絵でみる化学のせかい 地球と生命 自然の化学』(下右)として情報を新しくした新版として出版となりました。
というわけで現在刊行されている2冊の本の表紙と裏表紙に同じ絵がある、という稀なこととなりました。
なお、新版『絵で見る化学のせかい』出版にあたり、帯にコメントつけてくださったのは福岡伸一先生。これも奇遇でした。
越前市の秋といえば菊人形展です。10月10日から「だるまちゃん広場」など、かこさとし絵本の世界が盛り込まれた越前市武生中央公園で始まります。
広い公園内にはさまざまな菊が飾られ、目でもそして香りでも秋を満喫できるこの催しは入場無料です。市外、県外からも訪れる方が多く、食べ物、お土産も揃い、山々を背景に清々しい空気を思いきりお楽しみいただけることでしょう。
もちろん遊具はいつものように遊べますし、絵本館もすぐ近くです。
絵は『こどもの行事 しぜんと生活9月のまき』より。
絵本館の10月休館日は以下の通りです。
越前市が誕生20年を迎え、お祝いのステージが2025年9月27日に越前市文化センター大ホールで開催されました。
その最後を飾ったのが、小中学生ジュニア合唱団による「うみにうまれ いのちをつなぎ」です。
この歌は絵本『にんじんばたけのパピプペポ』の続編『パピプペポーおんがくかい』(2014年偕成社)の最終場面、音楽会の舞台の上と客席が一体となって歌いあげられる感動のフィナーレの歌です。
加古の詞に「いぬのおまわりさん」「さっちゃん」で知られる大中恩氏が素晴らしいメロディをつけてくださり、絵本の中の合唱がまさに現実のものとして歌えるようになった経緯は、大中氏と加古の2016年の奇跡的な再会がきっかけでした。
その夢のような実話は以下で詳しくお伝えしております。
「ほかほかー
こんがりー
おいしい パンが
たくさん
やけました。」
とある『からすのパンやさん』(1973年偕成社)のこの場面、加古は「食べ物は美味しそうに描かなければならない」というのが口ぐせでした。
戦争の頃食べ物に苦労し食べ物のありがたさが身に染みているからこその言葉です。
美味しそうなパンが並ぶこの絵本をFacebookとxで東大校友会がご紹介くださいました。
『くらげのパポちゃん』が簡単に作れます!
考案したのは越前市ふるさと絵本館の山本さん。
2025年4月26日の絵本館の開館記念の日(お誕生日と呼んでいます)、新しい展示「祝・刊行 最新刊『くらげのパポちゃん』」にちなんで、みんなで作りました。
作り方を教わってから、それぞれ自分のパポちゃんの目をつけたり、かざりをつけたり。世界でたった一つの自分の「パポちゃん」が出来上がりました。
微調整に余念がありません
キラキラをたくさんつけてハナガサクラゲのようですね
ミズクラゲの特徴、かさにある4つの模様を再現!
その楽しさを藤沢でも、ということで藤沢市民ギャラリー(藤沢駅南口)「かこさとし作品展」の写真撮影コーナーのある部屋では工作を楽しめます。
目印はこの「だるまちゃん」。
「パポちゃん」工作キットも用意してありますのでお声をおかけください。
「だるまちゃん」がなんでこんなに驚いるかというと、越前和紙に皆さんが書いてくださった「すきなえほんのタイトル」がすでにもうこんなにたくさん!! ありがとうございます。
この部屋には、ほかにも遊べるものが用意されていますし、絵本もお読みいただけます。「だるまちゃん」たちと一緒に楽しいひと時をどうぞ!
皆さんのお好きな絵本⋯からすのパンやさん、だるまちゃんとかみなりちゃん、どろぼうがっこう、とこちゃんはどこ⋯パポちゃんもいます!!
『くらげのパポちゃん』(2025年講談社)はかこさとしの文に孫の中島加名が絵を描きました。
戦争で父親を亡くした少年が立派に成長したことを伝えようと、「くらげのパポちゃん」が大冒険をして、海に眠る少年のお父さんを探す物語です。
戦争を知らない世代に戦争のことを少しでも知るきっかけになればという願いを込めて出版されました。藤沢市アートスペース(辻堂駅北口)「かこさとし作品展」では初公開『くらげのパポちゃん』の絵3点を展示しています。こちらの会期は24日までです。
⭐︎市民ギャラリーでの展示会は19日(火)のみ休館、23日(土)までです。
2025年8月9日、テラスモール湘南で開催された「おでかけえのすい」トークイベントでは新江ノ島水族館くらげの専門である足立さんに『くらげのパポちゃん』の絵を描いた中島加名がミズクラゲや海の生き物についてお尋ねし、ご説明いただきました。
会場にいらした方々からのご質問もあり、ミズクラゲの実物や画像でヤドカリなどを見ながらの説明に、なるほどとうなずく方もありました。
水槽にはミズクラゲのほか、ハナミノカサゴやクマノミなどもいて大人も子どもものぞきこんでは写真におさめていらっしゃいました。
この催しは8月20日までです。
会場には『くらげのパポちゃん』(講談社)や『クラゲのふしぎびっくりばなし』(小峰書店)のほか、海の生き物にまつわる絵本もあり、海の中の世界を楽しめる空間になっています。
「パポちゃん」はミズクラゲという種類のくらげです
ご存知クマノミ
会場にはハナミノカサゴに扮装できる衣装もありますす
またこの会場があるテラスモール湘南の道路を挟んで斜め向かいにある藤沢市アートスペース(ココテラス湘南6階)では「かこさとし作品展」を24日まで開催中です。
上記2冊の本の絵もご覧いただけます。初公開の『くらげのパポちゃん』をどうぞお見逃しなく!
かこさとしが20代半ば川崎セツルメント(ボランティア)活動を始めた頃、毎週日曜日には南武線の鹿島田駅で降り、徒歩で古市場(ふるいちば)第2公園、通称三角ひろばに向かいました。
駅前の道は雨が降るとぬかるむ中、子どもたちが絵を描いたり、ガリ版刷りの新聞に使う藁半紙を駅前のお店で買い求めて、毎週日曜日、加古自身が借りていた小さな貸家に通いました。
そのお店が現在の鹿島田駅前にある「北野書店」さんです。店さきにはそんなゆかりを伝える看板もありますし、お店近くには三角ひろばの場所を示す区の案内プレートもあります。
今はすっかり綺麗に整備された駅前ですが、鹿島田駅から三角ひろば、そして多摩川の土手を目指してかこさとしゆかりの地域を巡ってみてはいかがでしょうか。
2025年7月27日東京新聞で「北野書店」さんのことが紹介されました。
セツルメント活動で子どもたちに見せていた紙芝居が元になってできた絵本、藤沢市アートスペースで展示中
セツルメント時代の記念碑的作品。8月6日から藤沢市ギャラリーで展示予定
子どもたちが101ちゃんと言い出し題名にまでなった作品。紙芝居のタイトルは「市べえ沼の大じけん」。8月6日から藤沢市民ギャラリーで展示
かこさとしの生まれ故郷福井県越前市では長い間コウノトリの自然繁殖に取り組み、その甲斐があって今では毎年ひなが巣立つようになりました。
その取り組みに興味をもった加古が、現地におもむいて環境を整備している活動の様子を直接伺い、コウノトリがエサを取れるよう農薬を使わないたんぼを見学したのは、青々と鮮やかなイネの色が目に染みるような真夏のことでした。
こうして出版されたのが『コウノトリのコウちゃん』(2017年小峰書店)です。刊行当時は、まだ絵本に描かれているように繁殖が進みませんでしたが、しばらくするとまるで物語そのままに、次々とヒナが生まれ巣立ち、現在にいたっています。
越前市武生(たけふ)中央公園の大型遊具の支柱のてっぺんには「コウノトリのコウちゃん」が描かれた大きな看板があり、その側の「コウノトリと大空散歩」という遊具の周囲には、こうしたコウノトリ繁殖の取り組みがパネルで紹介されています。
そしてなんと!
2025年夏、コウノトリが藤沢市にも飛来したというニュースがあり、写真にはコウノトリが写っていました。
絵本のあとがきが現実になったようで嬉しく思っているところです。あとがきの一部をご紹介します。
「コウノトリが飛んできて住みたくなるようなところは、人間の生活にもよい自然と環境なので、そうした状況を守り、地球の生物がともに楽しく平和にくらせるようにとのねがいをこめて、つくりました。」