編集室より

こぼれ話

「パポちゃん」をつくろう!

投稿日時 2025/08/12

『くらげのパポちゃん』が簡単に作れます!
考案したのは越前市ふるさと絵本館の山本さん。

2025年4月26日の絵本館の開館記念の日(お誕生日と呼んでいます)、新しい展示「祝・刊行 最新刊『くらげのパポちゃん』」にちなんで、みんなで作りました。

作り方を教わってから、それぞれ自分のパポちゃんの目をつけたり、かざりをつけたり。世界でたった一つの自分の「パポちゃん」が出来上がりました。

微調整に余念がありません

キラキラをたくさんつけてハナガサクラゲのようですね

ミズクラゲの特徴、かさにある4つの模様を再現!

その楽しさを藤沢でも、ということで藤沢市民ギャラリー(藤沢駅南口)「かこさとし作品展」の写真撮影コーナーのある部屋では工作を楽しめます。
目印はこの「だるまちゃん」。

「パポちゃん」工作キットも用意してありますのでお声をおかけください。

「だるまちゃん」がなんでこんなに驚いるかというと、越前和紙に皆さんが書いてくださった「すきなえほんのタイトル」がすでにもうこんなにたくさん!! ありがとうございます。

この部屋には、ほかにも遊べるものが用意されていますし、絵本もお読みいただけます。「だるまちゃん」たちと一緒に楽しいひと時をどうぞ!

皆さんのお好きな絵本⋯からすのパンやさん、だるまちゃんとかみなりちゃん、どろぼうがっこう、とこちゃんはどこ⋯パポちゃんもいます!!

『くらげのパポちゃん』(2025年講談社)はかこさとしの文に孫の中島加名が絵を描きました。
戦争で父親を亡くした少年が立派に成長したことを伝えようと、「くらげのパポちゃん」が大冒険をして、海に眠る少年のお父さんを探す物語です。

戦争を知らない世代に戦争のことを少しでも知るきっかけになればという願いを込めて出版されました。藤沢市アートスペース(辻堂駅北口)「かこさとし作品展」では初公開『くらげのパポちゃん』の絵3点を展示しています。こちらの会期は24日までです。

⭐︎市民ギャラリーでの展示会は19日(火)のみ休館、23日(土)までです。

絵本みたいな本物の世界

2025年8月9日、テラスモール湘南で開催された「おでかけえのすい」トークイベントでは新江ノ島水族館くらげの専門である足立さんに『くらげのパポちゃん』の絵を描いた中島加名がミズクラゲや海の生き物についてお尋ねし、ご説明いただきました。

会場にいらした方々からのご質問もあり、ミズクラゲの実物や画像でヤドカリなどを見ながらの説明に、なるほどとうなずく方もありました。

水槽にはミズクラゲのほか、ハナミノカサゴやクマノミなどもいて大人も子どもものぞきこんでは写真におさめていらっしゃいました。

この催しは8月20日までです。
会場には『くらげのパポちゃん』(講談社)や『クラゲのふしぎびっくりばなし』(小峰書店)のほか、海の生き物にまつわる絵本もあり、海の中の世界を楽しめる空間になっています。

「パポちゃん」はミズクラゲという種類のくらげです

ご存知クマノミ

会場にはハナミノカサゴに扮装できる衣装もありますす

またこの会場があるテラスモール湘南の道路を挟んで斜め向かいにある藤沢市アートスペース(ココテラス湘南6階)では「かこさとし作品展」を24日まで開催中です。

上記2冊の本の絵もご覧いただけます。初公開の『くらげのパポちゃん』をどうぞお見逃しなく!

鹿島田(かしまだ)の本屋さん

投稿日時 2025/07/27

かこさとしが20代半ば川崎セツルメント(ボランティア)活動を始めた頃、毎週日曜日には南武線の鹿島田駅で降り、徒歩で古市場(ふるいちば)第2公園、通称三角ひろばに向かいました。

駅前の道は雨が降るとぬかるむ中、子どもたちが絵を描いたり、ガリ版刷りの新聞に使う藁半紙を駅前のお店で買い求めて、毎週日曜日、加古自身が借りていた小さな貸家に通いました。

そのお店が現在の鹿島田駅前にある「北野書店」さんです。店さきにはそんなゆかりを伝える看板もありますし、お店近くには三角ひろばの場所を示す区の案内プレートもあります。

今はすっかり綺麗に整備された駅前ですが、鹿島田駅から三角ひろば、そして多摩川の土手を目指してかこさとしゆかりの地域を巡ってみてはいかがでしょうか。

2025年7月27日東京新聞で「北野書店」さんのことが紹介されました。

2025年7月 東京新聞

セツルメント活動で子どもたちに見せていた紙芝居が元になってできた絵本、藤沢市アートスペースで展示中

セツルメント時代の記念碑的作品。8月6日から藤沢市ギャラリーで展示予定

子どもたちが101ちゃんと言い出し題名にまでなった作品。紙芝居のタイトルは「市べえ沼の大じけん」。8月6日から藤沢市民ギャラリーで展示

コウノトリ

投稿日時 2025/07/22

かこさとしの生まれ故郷福井県越前市では長い間コウノトリの自然繁殖に取り組み、その甲斐があって今では毎年ひなが巣立つようになりました。

その取り組みに興味をもった加古が、現地におもむいて環境を整備している活動の様子を直接伺い、コウノトリがエサを取れるよう農薬を使わないたんぼを見学したのは、青々と鮮やかなイネの色が目に染みるような真夏のことでした。

こうして出版されたのが『コウノトリのコウちゃん』(2017年小峰書店)です。刊行当時は、まだ絵本に描かれているように繁殖が進みませんでしたが、しばらくするとまるで物語そのままに、次々とヒナが生まれ巣立ち、現在にいたっています。

越前市武生(たけふ)中央公園の大型遊具の支柱のてっぺんには「コウノトリのコウちゃん」が描かれた大きな看板があり、その側の「コウノトリと大空散歩」という遊具の周囲には、こうしたコウノトリ繁殖の取り組みがパネルで紹介されています。

そしてなんと!
2025年夏、コウノトリが藤沢市にも飛来したというニュースがあり、写真にはコウノトリが写っていました。

絵本のあとがきが現実になったようで嬉しく思っているところです。あとがきの一部をご紹介します。

「コウノトリが飛んできて住みたくなるようなところは、人間の生活にもよい自然と環境なので、そうした状況を守り、地球の生物がともに楽しく平和にくらせるようにとのねがいをこめて、つくりました。」

加古里子(かこさとし)を絵本の世界に招き入れてくださったのは当時福音館書店編集長の松居直氏でした。

この度文庫として出版された「絵本をみる眼」は序章と5つの章に分かれていてその第2章[日本の絵本画家の仕事]の中に「加古里子ー知的生産の技術者」という項目で加古との出会い、デビュー作『だむのおじさんたち』、『かわ』などの科学絵本「だるまちゃん」シリーズなどを例にかこさとしの絵本の特色、その思想性の大切さについて触れています。

あとがきの他に、加古の多くの絵本の編集を手掛けてくださった古川信夫氏による「松居直のふたつの眼」と題する深いエッセイもあり、絵本を読む人、編集する人にとどまらず、多くの気づきと発見があり示唆に富む355ページです。

こどもの日にちなんで都営地下鉄子育て応援スペースの広告を東京都交通局が東京新聞に掲載しました。

東京都交通局馬込車両検修場で開催されたイベントで撮影された車内の写真に写っているのは『だるまちゃんとてんぐちゃん』の場面。クリーム色の背景にお馴染みのお話の絵が車内いたるところにあります。

背景が表紙の色の空色の『だるまちゃんとかみなりちゃん』の絵がついた車両もあります。

都営地下鉄の子育て応援スペースは浅草線、三田線、新宿線、大江戸線に導入、かこさとし作品以外の絵もあります。都営交通アプリで応援スペースがある車両の走行位置が確認できるとのことです。

「かこさとしと地域のつながりを知って、これからのまちづくりを考えよう」のテーマで地域のみなさんと話し合い

加古は、1952年から川崎でセツルメント(ボランティア)活動として毎週日曜日に地域の子どもたちを相手に子供会や絵を描く会を指導していました。

その地域とは、幸区古市場(さいわいくふるいちば)で、三角ひろば(現在の古市場第二公園)で遊んだり、紙芝居を見せたりしていました。

川崎市政100年の2024年4月にはそのことを示すプレートが広場に設置されましたが、地域の方々にその当時の加古の活動や目指していたものを知っていただき、地域のこれからのまちづくりを考えようと、地域に関わる高校生や地元の子どもや子育てに関わる方々が古市場1丁目町会会館に集まりました。

さまざまなアイデアが出され、これを元にどんな企画が今後展開されるのか楽しみです。

三角ひろばでは、暖かくなってきた土曜日の午後ということもあり、子どもたちが遊んだり、犬連れの方々が談笑する姿が見られました。

『リレートーク 言葉の力 人間の力』(2012年 佼成出版社)で加古と対談したこともあり、交流があった中村桂子氏による『今 地球は? 人類は? 科学は?』(藤原書店)が出版されました。副題は「生命誌研究者、半世紀の本の旅」。

帯には、「科学者とは」「人間とは」「こころ」「AI」「戦争」⋯を問う59冊を書評、とあります。

全9章の中の第6章「子どもたちへの眼差し」で、加古里子による『伝承遊び考』全4巻(2006年〜2008年小峰書店)の紹介とそこで加古が訴えている問題提起と警鐘に触れています。

社会や環境が急激に変化している現在こそ、いずれもお読みいただきたい本です。

とてつもなく「大きなもの」

投稿日時 2024/11/15

「大きなもの」と聞いて何を連想されますか。

『ピラミッド』、『万里の長城』、『ならの大仏さま』⋯いずれも加古作品になっていますが、2024年11月16日の福井新聞「越山若水」では、その冒頭で加古のデビュー作『だむのおじさんたち』(1959年福音館書店)を紹介しています。

今からさかのぼること65年前、まだ戦後の復興途中にあった日本では電力の供給が追いつかず夕方になると停電が起きたりしていました。当時福音館の編集長であった松居直さんに「時代にふさわしい大きなテーマ」の絵本をかいてほしいと言われてかいたのが、水力発電のため次々と建設されていたダムについてでした。

その後、読者さんからのお手紙をきっかけに、国際協力でインドネシアに建設されたチラタダムを取材して『ダムをつくったお父さんたち』(1988年偕成社)を出版することとなりました。

この福井新聞ではじめて知ったのですが、福井県では足羽ダムが5年後の完成を目指し建設中だそうです。そのスケールの大きさに圧倒されたと記事を書いた方の感想がありました。加古が存命だったら、出かけて行って3冊目のダム絵本に挑戦したかもしれません⋯

加古の2冊のダム絵本については当サイトに詳しい記載があります。

2冊のダム絵本

ダムをつくったお父さんたち あとがき